養育費保証に興味はあっても、入れるかどうか不安ですよね?
この記事では子づれ離婚を検討されている方向けに、養育費保証に入るための一般的な条件や審査の傾向について解説していきます。
養育費保証ってなに?という方は別の記事で解説していますので、さきに「あなたに合った養育費保証サービスは?養育費保証サービスの違いを解説!」をご覧ください。
※2024年8月の情報を基に解説しています。
※本記事では一般的な事項を簡易な言葉で説明していますが、実際の審査の内容や条件は保証事業者ごとに異なります。
養育費保証への加入に際しては各保証事業者との契約内容をご理解のうえ、ご契約は自己責任でお願いします。
どうすれば養育費保証に入れるの?
養育費保証に加入するための必須条件とは?
どの保証事業者にも共通する、養育費保証に加入するための必須条件が1つだけあります。
それは、保証の対象となる養育費の合意が存在することです。
この合意には2つのポイントがあります。
1つ目のポイントは、その合意の内容が強制執行を行うための正式な書面(公正証書、調停証書または審判書)で証明できることです。「正式な」というところがポイントで、単に口約束や自分で作成した書面では不十分ですのでご注意ください。
2つ目のポイントは、その合意が現在も守られ続けていることです。
すでに不払いが発生している場合は紛争状態にあり、合意に対する保証を行うことができないため、まずは弁護士へ相談するなどの方法で支払いを再開させる必要があります。
正式な書面はどうやって作るの?
正式な書面を持っていない方でも、これから作成することが出来れば養育費保証に加入できる可能性があります。
保証事業者によっては正式な書面の作成をサポートしてくれる場合もありますので、まずは各事業者へ問い合わせをしてみるとよいでしょう。
養育費の合意の仕方や正式な書面の作り方については、別の記事で詳しく解説していますのでそちらを参考にしてください。
養育費保証ではどんな審査を行うの?
養育費保証への加入には、どの事業者でも審査があると考えた方がよいでしょう。
審査で見るポイントや基準は事業者ごとの判断となりますが、ここでは一般的に保証事業者がチェックしていると考えられるポイントを解説していきます。
養育費保証に審査が必要となる理由については別の記事で解説していますのでそちらを参照してください。
養育費保証の審査にはどんな情報が必要なの?
養育費保証に加入するのは養育費を受け取る側ですが、実質的に審査の対象となるのは養育費の支払い側になります。
そのため、保証事業者から審査のために、養育費の支払い者の情報の提出を求められることがあります。
提出が必要な情報は事業者により様々ですが、相手の収入や資産に関する情報、就業状況に関する情報、住居や連絡先などは提出を求められることが多い情報です。
また、場合によっては保証事業者から関係各所へ情報照会が行われることもあります。
審査では何を確認しているの?
保証加入者への養育費の支払いがとまったとき、保証事業者は相手に対して強制執行を行います。
この強制執行に対して、保証事業者は以下の2つの想いを持っています。
- 強制執行をする回数をできるだけ減らしたい
- 強制執行の成功率をできるだけ上げたい
強制執行は、弁護士に依頼すれば1回で平均30万円以上もかかるような手続きなので、保証事業者としても本当はすっごくやりたくないのです。
養育費の支払いが止まらなければ強制執行を行わずに済みますので、保証事業者は相手からの養育費の支払いが止まる可能性を評価します。その際に重要になるのが、相手の社会的信頼です。
社会的信頼性をどのように評価しているかについては、本記事の後半で説明していますのでぜひ最後までお読みください。
また、強制執行の失敗は保証事業者にとって最も避けたいリスクです。
強制執行に失敗した場合には、保証加入者に支払う保証金がそのまますべて保証事業者の損失となるためです。
強制執行に成功する可能性を評価するために、保証事業者が見るのは相手の収入や資産です。
この点についても後半に詳しく説明しています。
審査が厳しい事業者と緩い事業者はあるの?
保証事業者によって審査の基準は異なるものの、おおむね保証料率がそのまま審査の基準に反映されていると考えてよいでしょう。保証事業者によっては保証料率の異なる複数のプランを提供している場合もあります。
保証料率が高いほど利用しやすいサービスであると言えるでしょう。
どんな人が養育費保証の審査に通りやすいの?
審査への通りやすさは保証事業者やプランによっても変わりますが、どのような人が審査に通りやすいかの傾向はあります。
ここでは具体例を挙げて、審査の通りやすさごとに★をつけて説明していきます。
ここで説明している審査対象は、養育費を支払う側の人であることにご注意ください。
また、以下で審査が通りにくいとされている場合でも、養育費を支払う側に十分な資産がある場合には審査に通る場合があります。
★☆☆☆☆ 生活保護受給者
生活保護を受給されている方には収入も財産もほとんどありません。
生活保護費は受給者自身が憲法に定められた最低限の生活を送るための費用であり、弁護士であっても強制執行により差し押さえることはできません。
経済的な立て直しに成功し、生活保護の受給が停止されたあとなら審査に通る可能性はあるものの、生活保護の受給を続けている状況では保証審査は絶望的といわざるをえないでしょう。
★☆☆☆☆ 連絡先や住居が不明の方
保証への加入時点ですでに相手への連絡が取れない場合は、失踪状態であるとみなされるため保証することができません。
弁護士は住民票照会を行う権限を持っていますので、まずは弁護士へ相談して相手の所在を明らかにする必要がありますが、相手が住民票を変更していない場合には弁護士でさえ相手の住居を突き止められない可能性があります。
★★☆☆☆ 重度の身体障害や精神障害がある方
重度の身体障害や精神障害がある方は、安定的な収入を得ることが難しいと判断されます。
たとえ現在就労中で真面目に働いているとしても、保証審査に通る可能性は低いといわざるをえません。
★★☆☆☆ 定職についていない方
現在働いていなかったり、パートやアルバイトで収入を得ている方は、養育費の支払いを継続できなくなる可能性が高いと判断されます。残念ながら保証審査に通る可能性は低いといえるでしょう。
★★★☆☆ 自営業の方
自営業の方は第三者が収入の実態を把握することが難しく、会社員の給与のように支払い元で差し押さえることが難しいため、審査に不利になると考えられます。
★★★☆☆ 特定の業種の方
たとえば風俗業にお勤めの方などは、審査で不利になる場合があります。
これは風俗業のイメージがよくないため・・・ではありません。
不況の際に誰もが真っ先に減らす支出が交遊費であり、中でも風俗業では元々の単価が大きいことから、とても不況の影響を受けやすい業種であると考えられているためです。
★★★☆☆ 勤め先の社会的な信用が低い方
個人事業主や小規模法人に雇われている方の場合、勤め先が倒産したり雇用が維持されない可能性が比較的高いと判断され、審査に不利になることがあります。
★★★☆☆ 非正規雇用の方
派遣社員や契約社員などの非正規雇用の方は、雇用が維持されない可能性が比較的高いと判断され、審査に不利になることがあります。
★★★☆☆ 金融事故情報がある方
過去にクレジットカードやローンの延滞を起こしている場合、完済から5年間は信用機関に事故情報が登録されています。
いわゆるブラックリストと呼ばれるものであり、社会的信頼が著しく低いと判断されます。
この情報を重視するかどうかは保証事業者の方針によってかなり変わる部分ですので、この点が不安な方はいくつかの事業者に申し込みをしてみるとよいでしょう。
★★★☆☆ 使途不明の借金がある方
個人の借り入れ状況は信用機関を通じて共有されています。
消費者金融などでの借り入れなど、使用目的が明らかでない借金のある方は、養育費の支払いを継続できなくなる可能性が比較的高いと判断されます。
ただし、住宅ローンや自動車ローンなど使いみちが明らかであり、一般的に広く利用されているローンについてはあまり気にしなくてもよいでしょう。
この情報を重視するかどうかは保証事業者の方針によってかなり変わる部分ですので、この点が不安な方はいくつかの事業者に申し込みをしてみるとよいでしょう。
★★★☆☆ 収入に比べて養育費の金額が高い方
意外と見られているのがこの項目です。
養育費保証では不払い発生時に、保証事業者が養育費と同額を立て替え払いする契約が一般的です。
養育費月額が高いほど保証事業者の立て替え払い金額も高くなるため、より高い信頼性が求められることになります。
とはいえ子どものための養育費は多いに越したことはありませんので、保証審査では少し不利になるといった程度で捉えておくのが良いでしょう。
なお、一般的な養育費の金額はチャイルドサポートの特設ページで計算できます。
★★★★☆ 勤続年数の短い方
会社員や公務員の方は自営業の方よりも審査に有利な場合が多いのですが、勤続年数が短い場合は有利になりません。
やはり何事も継続が大切ですね。
★★★★☆ 収入が低い方
基本的に収入は養育費月額との比較で判断されるため、収入が少なくても必ずしも不利なわけではありません。
しかし、ご自身の生活さえ危ぶまれるほど収入が低い場合には、審査に不利に働く場合もあります。
★★★★★ 勤続年数の長い方
1つの職場で長続きしている会社員や公務員の方は、審査には非常に有利です。
これからも同じ職場で勤務を続ける可能性が高いと判断され安定感が評価されるほか、強制執行で給与が差し押さえられることにより、社内で噂になることを避けたいという気持ちが強いと推測されるためです。
★★★★★ 公務員や大企業にお勤めの方
大企業にお勤めの方や公務員の方は、勤め先の倒産やリストラのリスクが低いと評価されるため、審査には有利です。
★★★★★ 専門的な職種の方
技術系の職種や国家資格が必要な職業、医療関係の職種などは、転職先が見つかりやすく収入の増加や安定が見込めるため、審査には有利になる傾向があります。
★★★★★ 持ち家にお住まいの方
なんだかんだで最強と言えるのが、離婚後も持ち家にお住まいの方です。
ただし、ご自身の名義の持ち家であり、他の方との共有名義ではないことが条件になります。
持ち家は簡単には処分できないことや、いざというときに差し押さえの対象となることから、審査には非常に有利です。
どの程度なら審査に通るの?
実際に審査に通るかどうかは、この記事で触れていないような情報もふくめて複数の情報の組み合わせで判断されるため、一概にいうことは難しいのが実情です。
あくまで目安でしかありませんが、この記事の発行元であるチャイルドサポートの養育費保証でみてみると、
- ★1や★2の条件に当てはまる方の場合は、ほとんど審査に通らない
- ★3の条件に当てはまらなければ、審査に通る可能性は高い
- ★3の条件に当てはまる場合は、審査に通る可能性が少し下がる
- ★4の条件はほとんど審査に影響しない
と言えるでしょう。
なお、チャイルドサポートは審査基準が比較的緩めの事業者であると推測されます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?この記事では養育費保証サービスへの加入条件や審査について解説しました。
あくまで一般的な内容となっていますので、より詳しい情報は各保証事業者のホームページなどでご確認ください。
加入条件や審査の内容は保証事業者によって様々ですので、ご自身の判断だけで諦めたりせず、まずは保証事業者へ問い合わせをしてみることをおすすめします。