あなたはどうして離婚したいと思っていますか?
きっと幸せになるため、または不幸を断ち切るために離婚したいと思っているはずです。
でもでも、離婚はするかどうかだけでなく、どうやってするかで幸せなものになるか不幸なものになるかが変わってしまうんです!
この記事では子づれ離婚を検討されている方むけに、離婚するときに決めるべきことから、決める方法の選択肢までを解説します。
※2024年8月の情報を基に解説しています。
※本記事では一般的な事項を簡易な言葉で説明していますが、実際に受けられるサポートや費用などの条件は利用機関によって異なります。
離婚紛争の解決に際しては、ご利用になる事業者や公的機関のサービス内容・契約内容をご理解のうえ、ご利用は自己責任でお願いします。
離婚は幸せ?不幸せ?
離婚の決意と同時にやってくる、最初の分かれ道とは?
離婚を決意した方は、気づかないうちにもう1つの決断をしています。
それは、すべてを投げ捨ててでも離婚するか、何も捨てずに離婚するかという選択です。
離婚手続きを楽に済ませて離婚後に不幸を持ち越すか、苦しい離婚手続きを乗り越え幸せを手にするかという選択といってもよいでしょう。
なんでもいいからとにかく早く離婚したい!そういう状況に追い込まれている方もたくさんいることは事実です。
しかし実は、あなたがすべてを放棄することは、あなたが早く離婚するための唯一の方法ではありません。
日本の法律や社会は、だれもが安全で公平に離婚するための様々な仕組みを用意しています。
とっても大事な離婚前の情報収集
離婚を幸せなものにするためには、最初の分かれ道から、いくつもの分かれ道を正しい方向に進んでいく必要があります。
どの道を通るのが正しいのかは人それぞれ、あなたを取り巻く状況によって変わります。
あなたの友人が成功した道が、あなたにとっての最良の道ではないかもしれません。
だからこそ離婚前の情報収集は本当に本当に大切なんです!
離婚後の生活が問題なければ大丈夫?
「わたしと子どもさえいれば、生活は最悪なんとかなるっしょー!」
どんな生活を思い描くかは人それぞれですが、離婚したらしたなりに生活できるというのは事実です。
日本では憲法で「健康で文化的な最低限度の生活」が保証されていますので、少なくとも生活できず死んでしまうということは考えづらいでしょう。
なんとかなる、という考え方はとてもポジティブで素晴らしいといえます。
でもその覚悟が決まったのであれば、「なんとかなる」の方向を離婚手続きに向けることで、もっと心を楽にすることができます。
実は離婚時にすべてを投げ捨ててしまうことの悪影響は、実際の利益や経済的な影響以上に、心に与える影響の方が大きいかもしれません。後悔する気持ちがいつまでも残り続けるということです。
離婚してもしなくても、どうやって離婚しても、この先どんな幸運に恵まれたとしても、人生には必ずつらい瞬間が訪れます。自分の正当な権利を主張せずに離婚してしまうと、つらいときにそのことを思い出すことになります。
あの時こうしておけばよかった・・・とか、あいつのせいだ・・・とか、つらさの原因を過去に求めてしまい、心の底から前向きになることができなくなります。
自分の権利をちゃんと主張し、また相手の権利をちゃんと認めることで初めて、楽しかったころの思い出とともに未来へ歩き出すことができるのです。
とにかく身の安全が最優先!
具体的な離婚の進め方に入る前に、多くの方には関係ない、でも絶対に間違えてはいけない大切なことをお伝えさせてください。それは身の安全を守ることです。
特にすでに暴力を受けている方は身の安全を最優先にして行動してください。
幸せになるための離婚は、身の安全を確保してからでも十分間に合います。
DV(家庭内暴力)については警察の相談窓口や、各地域の配偶者暴力相談支援センターへ連絡すれば手厚い支援が受けられます。相談窓口が合っているかわからない・・・と不安になるかもしれませんが、間違っていても正しい相談先へつないでもらえますので、安心して連絡してください。
特にDVにおいては、共依存と呼ばれる心の状態が発生しやすいと言われています。
相談することで相手を傷つけると思われるかもしれませんが、これらの相談機関はあなたと相手、2人とも救いたいと考えてサポートしてくれます。
すこしでも迷ったら、深く考えずに相談しましょう。
2×2通り 離婚協議の進め方
さて、ここからは何も捨てずに離婚するという最初の選択をした方向けに、具体的な離婚協議の進め方について解説をしていきます。相手との離婚協議はたしかに苦しいものですが、自分の状況に合わせた正しい方法で進めることができれば、その負担をかなり抑えることができるでしょう。
離婚協議の最大の選択とは?!
離婚協議における最大の分かれ道、それは裁判所の離婚手続きを使うか使わないかです。
円満離婚を目指すか、闘争離婚も致し方なしと考えるかの違いといってもよいでしょう。
裁判所の離婚手続きを利用する場合は、離婚調停から始まり、調停で決着がつかない場合には離婚裁判へとそのまま入ります。この道を選択した場合、さらに弁護士を使うか使わないかという2択を迫られます。
裁判所の離婚手続きを利用しない場合は、お互いの話し合いにより離婚条件を決める協議離婚の手続きに入ります。
この道を選択した場合には、さらに民間事業者の提供するADR(裁判外紛争解決手続き)を利用するかしないかを選ぶことができます。
離婚するなら弁護士に相談するべき?
それぞれの選択肢について詳しく説明する前に、弁護士への相談について説明します。
チャイルドサポートの代表で、離婚問題を専門に扱う佐々木弁護士は、離婚する9割以上の夫婦では、安易に弁護士へ相談するべきではないと断言します。
理由は単純で、弁護士に相談するということは、裁判所の離婚手続きを使うと決めたこととほぼ同じだからです。
曲がりなりにも円満離婚を目指すことができたかもしれない夫婦にとって、裁判所手続きを使うことは紛争性をいたずらに高め、しなくてもいい闘いを強いられることにつながります。
離婚後の当事者間の関係性も悪いものになり、子どもにも悪い影響を与えることにもなりかねません。
弁護士へ相談すると、なぜ紛争性が高まるの?
その答えは、弁護士の専門領域と収益の仕組みにあります。
弁護士は法的な紛争を解決するプロフェッショナルであり、紛争を解決することにより報酬を得ています。
裁判所での調停や裁判に慣れている弁護士にとっては、常にその方法が最短の解決策であり、またそうすることで初めて自分の報酬を確保できるのですから、ほかの方法を案内したがらないのは当然です。
それでも弁護士がついていれば安心じゃないの?
弁護士はたしかに、とても頼れるあなたの味方です。
しかし忘れてはいけないのは、相手も別の弁護士に依頼することができるという点です。
あなたが弁護士に依頼をした場合、相手も弁護士に頼らざるをえなくなるといってもよいでしょう。
最強の矛であり最強の盾でもある弁護士同士がぶつかり合う結果、1年以上に渡る長い期間と、双方それぞれに100万円近い費用がかかります。
結論はより公平なものに近づいてはいくものの、そうして得られる結論は、初めから双方が冷静に話し合えば得られたものと大差はないでしょう。
よく勘違いされている方がいらっしゃいますが、弁護士はあなたがもともと持っている権利を守るために使うものであり、あなたがもともと持っていない権利を余分に得るために使えるものではないのです。
裁判所の離婚手続きってどんなもの?
ここでは裁判所の離婚手続きについての解説と、どんな人が裁判所の離婚手続きを使うべきかについて説明します。
裁判所の手続きのメリット・デメリット
裁判所の離婚手続きは、まさに最終手段というにふさわしいものです。
その最大のメリットは、ほかの方法ではどうしても解決できない離婚問題に対しても、最終的には裁判所が公平な判断を下して解決してくれる点にあるでしょう。
一方で裁判所の手続きには多くの労力、費用、時間が必要となり、その期間は精神的な苦労も絶えないというのが最大のデメリットであるといえます。
裁判所の離婚手続きを使うべき人はどんな人?
裁判所の離婚手続きを使うのが最適という方も、割合的には少ないながらも人数でいえばかなりいるというのが現実です。
離婚すること自体の合意が取れないケース
相手がどうしても離婚しないと言い張っている場合には、ほかの手段での解決は難しいため、早期に裁判所の手続きを利用することを検討しましょう。ただし、裁判所が必ずしも離婚を認めるわけではないという点には注意が必要です。
相手が全く離婚の話し合いをしてくれないケース
離婚をすること自体には同意してくれた場合でも、細かい条件の話になると逃げてしまうようなケースでは、どこかのタイミングで裁判所手続きの利用を決断することになります。
話し合いが決裂してしまったケース
円満離婚を目指して協議を進めたものの、まとまらなかったケースです。
この場合はできる限りの手段は尽くしたうえでの闘争になりますので、裁判所の離婚手続きを使うのが正当であると自信をもって進めましょう。
離婚後に離婚条件を取り決めることはできない?
離婚条件をちゃんと取り決めず離婚してしまった方も、裁判所の手続きを使うのが最適である可能性が高いでしょう。
離婚して2年以内であれば財産分与を含めた請求を行うことが出来ますし、養育費については子どもが成人するまで請求可能ですが、離婚後に時間が経つほど話し合いでの解決は難しくなります。
話し合いが難しい場合でも安易に泣き寝入りせず・・・と言いたいところですが、時間の経過により泣き寝入りするのが最善という状況になっていることもありえますので、まずは法テラスへ連絡して無料の弁護士相談を利用するのもおすすめです。
どんな感じで進むの?
初めから裁判にはならず、離婚調停⇒離婚裁判の順に進みます。
離婚調停では、双方が自分の望む離婚条件や主張の根拠を提示します。
基本的にはそれぞれが時間をずらして部屋へ入室し、調停委員を介して相手と条件のすり合わせを行いますので、相手と直接会話する必要がない点は安心できます。
調停は通常1年間、2か月おきくらいでおこないます。
1年間の調停でも条件のすり合わせが完了しない場合には離婚裁判へと進みますが、相手が調停にさえ応じない場合には半年ほどで離婚裁判へ進むこともあります。
新しい主張がなければ調停で提出した情報を基に、半年ほどで判決がでて離婚裁判は終わりますが、双方が主張を戦わせる場合には2年以上かかることもめずらしくはありません。
弁護士への依頼は必要?
裁判所の離婚手続きは、自分でももちろん行うことは可能です。
しかし、準備にかかる労力が多いことや長期間に渡って行われること、その間仕事を休んで平日に調停や裁判へ出席しなければならないことから、弁護士に依頼する方も多いのが実情です。
すでに紛争状態になっていることから精神的な負担も大きく、相手が弁護士を付けた場合にはそのままだと不利になってしまうことからも、費用が出せるのであれば弁護士に依頼するのも間違いではありません。
なお、多くの資産を持っている方の場合は財産分与の結果の影響が大きくなるため、初めから弁護士をつけて裁判所手続きを利用するのが適切です。
協議離婚はどうやって進めるの?
ここからがようやく本記事の本題です。
どのような形であれ、離婚の条件を当事者間の話し合いで決めるのが協議離婚です。
協議離婚の分かれ道とは?
当事者同士で直接話し合って離婚条件を取り決めると決めた後にも、1つの大切な分かれ道があります。
それは完全に2人だけで話し合って決めるか、第三者の手を借りて話し合いを進めるかの分かれ道です。
第三者の手を借りて話し合いを進める場合には、ADR(裁判外紛争解決手続き)を利用します。
2人だけで話し合って決める方は、公正証書の作成を忘れずに!
2人だけで離婚条件を話し合って決めるのは、まさに理想的な離婚の仕方であるといえます。
双方の離婚後の関係性も良好に保てるほか、もっとも費用を抑えて離婚することができます。
ただし、この場合には1つだけ絶対に守るべき注意点があります。
これから離婚をする2人が、話し合いの結果を2人だけの約束にしておくというのでは、話し合った意味が全くないと言っても過言ではないでしょう。
話し合いの結果をだれが見てもわかる形で残して、約束を破った場合には、裁判所により約束を守るように強制されても構わないという意思表明をお互いにしておく方がよいでしょう。
そのために作成するのが、強制執行認諾文言付き公正証書です。
公正証書はどうやって作るの?
公正証書を作成するために、まずはお互いに話しあって合意した内容を、箇条書きでもよいので漏れなくメモにまとめます。
メモができたら、公証役場へ連絡して離婚協議の結果を公正証書にしたい旨を伝えましょう。
連絡をするとメモの受け渡しや予約についての案内がありますので、案内に従って手続きを進めれば公正証書を作成できます。意外と知られていませんが、公正証書を作成してくれる公証人は、退官した元裁判官をはじめとする最高ランクの法律のプロですので、安心して任せても大丈夫です。
公正証書の作成費用は取り決めの内容によって異なりますが、一般的にはだいたい2~4万円くらいになるでしょう。
お住まいの自治体によっては公正証書の作成費用を補助している場合もありますので、ご自身の自治体の離婚窓口へ問い合わせてみるとよいでしょう。
なお、公証役場に連絡する前に、行政書士へ依頼して離婚協議書を作成してもらうこともできます。
勘違いされている方も多いのですが、行政書士の作成する離婚協議書は体裁の整ったただの私文書であり、自分で作成したメモと大差はありません。弁護士の作成した離婚協議書であっても同じです。
離婚協議書を基に公正証書を作成して初めて、法的効力を持った文書になりますのでご注意ください。
また、行政書士の職域はすでにまとまった双方の合意を文書化することです。
法的な相談は弁護士の独占業務であり、行政書士には相談できませんので、合意が完全にまとまってから行政書士へ依頼をするようにしましょう。
ところで、協議離婚では何を決めるんだっけ?
一般的には「親権」「養育費」「親子交流」「慰謝料」「年金分割」「退職金分割」「財産分与」「婚姻費用清算」「貸付金清算」などが取り決められます。
ほとんどの方は???と思われたことでしょう。
実は2人だけで漏れなく公平に離婚条件を決められる人はほとんどいません。
そこで専門家の手を借りて、話し合いにより離婚条件の取り決めを行うための仕組みがADR(裁判外調停手続き)です。
離婚する人の80%はADR(裁判外調停手続き)を選ぶべき?
ADRはわりと新しい方法であるため、あまり一般的には知られていませんが、国の認証を受けた民間機関や一部の弁護士が提供する信頼性の高いサービスです。
専門家が2人の間に入って話し合いをエスコートしてくれますので、漏れなく公平に離婚条件を決めることができます。
また、ADRの一番の利点はなんといっても、2人で話し合って決めるという円満離婚の利点を残しつつも、2人ではできない話し合いができるという点です。
たとえば相手がモラハラ気質で2人では話し合いにならない方であっても、第三者が入ることで話し合いが可能になる場合があります。実はモラハラをおこなう人の多くは外面がいいという特徴を持っており、ほかの人がいる場では意外なほど素直に話し合いに応じてくれる場合もたくさんあります。
また、暴力的な相手でさえも、ADRでは話し合いができる可能性があります。
実はADRの一種にODR(オンライン紛争解決手続き)と呼ばれるものがあり、オンラインで離婚協議を進めることが可能です。
すでに住居が別れていることが前提にはなりますが、相手が目の前にいなければ暴力をふるうこともできませんし、こちらも意外と素直に話し合いに応じてくれる場合が多いです。
チャイルドサポートの代表で、数々の離婚問題を取り扱ってきた佐々木弁護士によると、実際にまったく話し合いにならない方は多くないといいます。8割くらいの夫婦では、当事者の一方が上手く立ち回ることで、ADRを活用して話し合いができるだろうと感じているそうです。
2人で話し合うことでこれ以上の関係の悪化を防ぎ、離婚が与える子どもへの影響を最小限に抑える手段として、ADRの活用が広がることを期待しています。
2週間~2か月程度とほかの方法に比べて圧倒的に短い期間と、平均で30万円程度という低コストも、佐々木弁護士がADRをすすめる理由の1つです。
ADRの費用を抑えるには?
「費用が30万円もかかるなら、ADRは使えない(泣)」
確かにほかの方法に比べて安いとはいえ、軽々しく出せる金額ではないのも事実でしょう。
そんな方向けにチャイルドサポートが開発したサービスが、チャイルドサポートの養育費保証です。
養育費保証に加入することでチャイルドサポートのADRを実質0円で利用できるようにしたサービスで、すべての子どもの権利を守りたいという、佐々木弁護士の想いの詰まったサービスです。
養育費保証ってなに?という方は、別の記事で詳しく解説していますので、ぜひそちらも合わせてお読みください。
まとめ
この記事では、離婚をする際に決めるべきことと、離婚協議の進め方について解説しました。
あくまで一般的な内容ですので、より詳しい情報は裁判所や各ADR機関、弁護士法人のホームページなどでご確認ください。
ところで、やっぱり養育費は決めなきゃダメ?と思っている方は別の記事で解説していますので、まだ読んでいない方はぜひ「児童手当?児童扶養手当??養育費との関係は?」もご覧ください。