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財産分与を拒否されたときの対処法|強制的に実現するための手段

2025 9/05
Uncategorized
2025年9月5日

離婚を決意した際、多くの人が直面する問題の一つが財産分与です。夫婦で築いた財産を公平に分け合うことは法律で定められた権利ですが、相手が財産分与を拒否するケースは決して珍しくありません。「財産は自分のものだ」「分けるつもりはない」といった主張に困惑し、諦めてしまう人もいますが、財産分与は相手の一方的な拒否によって消滅する権利ではありません。

本記事では、相手が財産分与を拒否する場合の具体的な対処法から、強制的に財産分与を実現するための法的手段まで、段階的に詳しく解説します。財産分与の拒否に直面している方、将来的に拒否される可能性を心配されている方は、ぜひ参考にしてください。

目次

1. 財産分与を拒否されるケースとは

1-1. 相手が「分けたくない」「財産は自分のものだ」と主張する

財産分与の拒否で最も多いパターンが、相手が財産の共有性を認めないケースです。特に以下のような主張がよく見られます。

「俺の名義だから俺のものだ」 預貯金や不動産の名義人である配偶者が、名義を根拠に財産の独占を主張するケースです。しかし、名義と財産分与の対象となるかどうかは別問題です。夫婦の協力によって形成された財産であれば、名義に関係なく財産分与の対象となります。

「俺が稼いだお金だから関係ない」 主たる家計の担い手が、自分の収入から形成された財産だと主張するケースです。しかし、家事労働や育児も夫婦の財産形成に貢献しているため、収入の有無に関わらず財産分与の権利は認められます。

「家事しかしていないのに財産をもらう権利はない」 専業主婦(夫)に対して、直接的な収入がないことを理由に財産分与を拒否するケースです。これは法的に全く根拠のない主張です。

1-2. 財産を隠して協議に応じない

より悪質なケースとして、財産の存在自体を隠匿する行為があります。

預貯金の隠匿

  • 複数の金融機関に分散して口座を開設
  • 家族に内緒で積み立てていた定期預金の隠匿
  • 現金化して隠し場所に保管

収入の過少申告

  • 実際の収入よりも少ない金額を申告
  • 副業収入の隠匿
  • 現金収入の申告漏れ

不動産や有価証券の隠匿

  • 親族名義で購入した不動産
  • 証券会社での取引履歴の隠匿
  • 投資信託や株式の存在の否定

1-3. 離婚自体には応じても、財産分与だけを拒否する

離婚に関する他の条件(親権、養育費、慰謝料など)については合意できても、財産分与だけは拒否するケースがあります。このパターンでは、相手は離婚を急いでいるものの、経済的な損失を避けたいという心理が働いています。

離婚を急ぐ理由

  • 再婚相手がいる
  • 職場での立場を考慮
  • 精神的な負担からの早期解放

しかし、離婚を急いでいることを理由に財産分与の権利を放棄する必要はありません。離婚後でも一定期間内であれば財産分与の請求は可能です。

1-4. 感情的な対立から交渉が進まない

離婚に至る過程で感情的な対立が激化し、建設的な話し合いができないケースも多くあります。

感情的対立の典型例

  • 不貞行為に対する怒りから一切の協議を拒否
  • DVやモラハラの被害者が加害者との接触を避けたがる
  • 子どもの親権争いが影響して財産分与の話し合いも困難

話し合いが困難な状況

  • 相手が話し合いの場に出てこない
  • 話し合いをしても感情論になってしまう
  • 脅迫や暴言により正常な協議ができない

2. 財産分与は拒否できるのか?

2-1. 法律上の権利(民法768条)

財産分与は民法768条に定められた離婚に伴う法定の権利です。条文を確認してみましょう。

民法768条第1項 「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。」

民法768条第2項
「前項の場合において、協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、当事者の一方の請求により、一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定めることができる。」

この条文から明らかなように、財産分与は「請求することができる」権利として法律に明記されています。相手の意思に関係なく、一方的に行使できる権利なのです。

2-2. 財産分与の法的性格

財産分与には以下の3つの性格があります。

①清算的財産分与 夫婦が婚姻中に協力して築いた財産を離婚時に清算・分配する性格。これが財産分与の中心的な性格です。

②扶養的財産分与
離婚後の一方の生活保障を目的とする財産分与。特に専業主婦(夫)や高齢者、病気の配偶者などに認められやすい性格です。

③慰謝料的財産分与 不貞行為やDVなど、一方の有責行為に対する精神的損害を財産分与に含める性格。

2-3. 相手の拒否で権利が消滅することはない

重要なポイントは、財産分与の権利は相手の一方的な拒否によって消滅しないということです。ただし、以下の点に注意が必要です。

時効の存在 財産分与の請求権には時効があります。原則として離婚成立の日から2年間で消滅時効にかかります(民法768条2項ただし書き)。この期間を過ぎると、原則として財産分与の請求はできなくなります。

除斥期間の性格 財産分与請求権の2年という期間は、厳密には時効ではなく「除斥期間」とする判例があります。除斥期間の場合、中断や停止がないため、より厳格に期間が管理されます。

2-4. 早めの対応が必要な理由

財産分与の請求には2年という期間制限があるため、以下の理由から早めの対応が重要です。

証拠の散逸防止 時間が経過すると、財産に関する証拠書類が散逸したり、相手によって隠匿される可能性が高くなります。

財産の減少・隠匿 相手が意図的に財産を減少させたり、隠匿する時間を与えてしまいます。

記憶の曖昧化 財産の詳細についての記憶が曖昧になり、正確な財産分与が困難になる可能性があります。

3. 拒否されたときの段階的対処法

財産分与を拒否された場合、以下の段階的な対処法により解決を図ります。

3-1. 話し合い(任意交渉)

①当事者同士での協議

まずは当事者同士での話し合いから始めます。感情的にならず、以下の点を整理して臨むことが重要です。

準備すべき資料

  • 預貯金通帳のコピー
  • 不動産の登記事項証明書
  • 有価証券の残高証明書
  • 保険の解約返戻金証明書
  • 退職金規程や退職金見込み額の資料
  • ローンや借金の明細

話し合いのポイント

  • 感情論ではなく、法律に基づいた権利であることを説明
  • 具体的な財産目録を提示
  • 分与の方法や時期について現実的な提案

②協議離婚協議書の作成

話し合いがまとまった場合は、必ず書面に残しましょう。口約束だけでは後日トラブルになる可能性があります。

協議離婚協議書に盛り込むべき内容

  • 財産分与の対象となる財産の詳細
  • 分与の割合と具体的な方法
  • 履行期限
  • 履行されない場合の措置

③公正証書の作成

より確実な履行を確保するために、協議内容を公正証書にすることを強く推奨します。

公正証書のメリット

  • 執行力を持つ(強制執行認諾条項を入れた場合)
  • 相手が任意に履行しない場合、直ちに強制執行が可能
  • 証拠力が高い
  • 原本が公証役場に保管されるため紛失のリスクがない

3-2. 弁護士による代理交渉

当事者同士では話し合いが困難な場合、弁護士に依頼することで状況が改善する場合があります。

弁護士介入のメリット

法的知識に基づく交渉 弁護士が介入することで、相手も法的リスクを認識し、より現実的な対応をする場合があります。

感情的対立の緩和 当事者同士では感情的になりがちな交渉も、弁護士という第三者が介入することで冷静な話し合いが可能になります。

証拠収集のサポート 弁護士会照会制度などを活用し、相手が隠匿している財産の調査が可能になる場合があります。

心理的プレッシャー 相手にとって弁護士からの交渉申し入れは心理的プレッシャーとなり、応じる可能性が高くなります。

3-3. 家庭裁判所での「財産分与調停」

任意の話し合いでは解決しない場合、家庭裁判所に財産分与調停を申し立てます。

調停の概要

調停委員の役割 調停委員(通常2名)と裁判官1名で構成される調停委員会が、当事者の間に入って話し合いを進めます。調停委員は中立的な立場で、双方の言い分を聞きながら合意形成をサポートします。

調停の進行

  • 申立人と相手方が交互に調停室に入る
  • 調停委員が双方の主張を聞き取り
  • 必要に応じて資料の提出を求める
  • 合意に向けた調整を行う

調停で決定される内容

  • 財産分与の対象となる財産の範囲
  • 各財産の評価額
  • 分与の割合(通常は1/2)
  • 分与の方法(現物分与、代償分与、換価分与)
  • 履行方法と期限

相手が出席しない場合の対応

相手が調停に出席しない場合でも、以下の措置により手続きを進めることができます。

呼出しの強化

  • 家庭裁判所から相手方への呼出し
  • 不出頭の場合の制裁(過料)の告知
  • 必要に応じて裁判所職員による説得

資料提出命令 相手が必要な資料を提出しない場合、裁判所から提出命令が出されることがあります。

3-4. 「審判」への移行

調停が不成立となった場合、自動的に審判手続きに移行します。

審判の特徴

裁判官の判断 調停とは異なり、裁判官が提出された証拠と当事者の主張を基に、財産分与について判断を下します。

強制力 審判書は確定判決と同じ効力を持ちます。相手が従わない場合、強制執行が可能になります。

不服申立て 審判に不服がある場合は、審判書を受け取った日から2週間以内に即時抗告を申し立てることができます。

審判で考慮される要素

財産形成への貢献度 夫婦それぞれが財産形成にどの程度貢献したかが評価されます。

婚姻期間 婚姻期間の長さも分与割合に影響します。

各当事者の年齢・健康状態 離婚後の生活能力なども考慮要素となります。

子どもの養育状況 親権を持つ親への配慮も行われます。

3-5. 強制執行

調停調書や審判書に基づいて、相手が任意に履行しない場合は強制執行を申し立てることができます。

強制執行の種類

金銭執行 預貯金、給与、売掛金などの債権を差し押さえる方法です。

不動産執行 不動産を競売にかけて換価し、その代金から配当を受ける方法です。

動産執行 自動車、貴金属、家具などの動産を差し押さえる方法です。

4. 強制的に実現する具体的手段

4-1. 預金差押え

対象となる預金

  • 普通預金
  • 定期預金
  • 当座預金
  • 積立預金

差押えの手続き

①債務名義の取得 調停調書、審判書、判決書など、強制執行の根拠となる公的な文書が必要です。

②執行文の付与 債務名義に執行文の付与を受けます(調停調書の場合は不要)。

③送達証明書の取得 相手方に債務名義が送達されたことの証明書を取得します。

④差押命令申立書の提出 地方裁判所に差押命令の申立てを行います。

預金差押えのポイント

金融機関・支店の特定 差押えを行うためには、相手の預金がある金融機関と支店を特定する必要があります。

調査方法

  • 給与振込先の銀行
  • 公共料金等の引き落とし銀行
  • 以前に見た通帳やキャッシュカードの情報
  • 弁護士会照会による調査

差押え可能額 預金の全額が差押え可能ですが、生活に必要な最低限の金額(66万円)は差押禁止財産とされる場合があります。

4-2. 給与差押え

給与差押えの特徴

給与差押えは、相手の勤務先から直接給与の一部を回収できるため、確実性の高い回収方法です。

差押え可能な範囲

  • 税引後給与の1/4まで
  • ただし、33万円を超える部分は全額差押え可能
  • 賞与も差押え対象

継続的な効力 給与差押えは一度申し立てると、相手が転職するまで継続的に効力を持ちます。

勤務先の調査方法

公的資料からの調査

  • 住民票(勤務先が記載されている場合)
  • 社会保険の加入状況
  • 源泉徴収票

私的調査

  • SNSでの情報発信
  • 知人からの情報収集
  • 興信所による調査

勤務先への影響

給与差押えは勤務先にも手続きの負担をかけるため、相手が任意履行に応じる場合があります。

4-3. 不動産差押え・競売

不動産差押えの手順

①不動産の特定 登記事項証明書により、相手名義の不動産を特定します。

②差押登記 裁判所により差押登記が行われ、相手は不動産を処分できなくなります。

③競売開始決定 裁判所が競売開始決定を下し、競売手続きが始まります。

④評価・入札 不動産鑑定士による評価の後、入札が行われます。

⑤代金納付・配当 落札者が代金を納付し、債権者に配当されます。

不動産差押えの注意点

住宅ローンが残っている場合 住宅ローンが残っている不動産の場合、ローン残高が売却価格を上回る「オーバーローン」の状態では、実際の配当を受けられない場合があります。

共有不動産の場合 夫婦の共有名義の不動産の場合、相手の持分のみの差押えとなります。

居住用不動産の特別な配慮 相手や子どもが居住している不動産の場合、強制執行に時間がかかる場合があります。

4-4. 動産差押え

対象となる動産

  • 自動車
  • 貴金属・宝石
  • 美術品・骨董品
  • 高級家具・家電
  • 楽器

動産差押えの手続き

執行官による差押え 地方裁判所の執行官が相手の住居等に赴き、差押えを行います。

差押禁止動産 以下の動産は差押えが禁止されています。

  • 生活に欠くことができない衣服・家具
  • 1ヶ月間の生活に必要な食料・燃料
  • 仏壇・位牌など祭祀用具
  • 職業遂行に必要な器具

自動車の差押え

自動車は比較的高額な財産であるため、差押えの対象となりやすい財産です。

手続きの流れ

  • 陸運支局での所有者確認
  • 執行官による現物確認・差押え
  • 売却(競売)手続き
  • 売却代金からの配当

4-5. 財産の所在把握の重要性

強制執行を成功させるためには、相手の財産の所在を把握することが不可欠です。

財産調査の方法

①弁護士会照会制度 弁護士が弁護士会を通じて、金融機関等に対して照会を行う制度です。

照会できる内容

  • 預貯金の有無・残高
  • 貸金庫の有無
  • 証券口座の有無・残高

②裁判所の調査嘱託制度 裁判手続き中に、裁判所が職権で財産調査を行う制度です。

③第三者からの情報収集 合法的な範囲内で、以下の方法により情報収集を行います。

  • 共通の知人からの情報
  • 相手の勤務先情報
  • SNS等での公開情報

財産隠匿への対応

相手が財産を隠匿している疑いがある場合、以下の対応が可能です。

詐害行為取消権の行使 相手が債権者(財産分与請求権者)を害することを知って財産を処分した場合、その処分を取り消すことができます。

財産開示手続き 平成15年の民事執行法改正により、債務者に財産の開示を求める手続きが創設されています。

5. 拒否された場合の注意点

5-1. 感情的に動かず、証拠の確保が最重要

冷静な対応の重要性

財産分与を拒否されると、多くの人が感情的になってしまいます。しかし、感情的な対応は問題の解決を困難にするだけでなく、後の法的手続きにも悪影響を与える可能性があります。

避けるべき行動

  • 相手への脅迫的な発言
  • 無断での財産の持ち出し
  • SNSでの感情的な投稿
  • 相手の職場への押しかけ

優先すべき行動

  • 冷静な記録の作成
  • 証拠書類の収集・保全
  • 専門家への相談
  • 法的手続きの準備

証拠確保の具体的方法

①預貯金関連

  • 通帳のコピー(過去2~3年分)
  • キャッシュカードの写真
  • ATM利用明細
  • 定期預金証書のコピー

②不動産関連

  • 登記事項証明書(全部事項証明書)
  • 固定資産税評価証明書
  • 住宅ローン残高証明書
  • 賃貸借契約書(賃貸不動産の場合)

③有価証券関連

  • 証券会社からの取引残高報告書
  • 株券(現物株式の場合)
  • 投資信託の運用報告書
  • 確定申告書(株式の譲渡所得がある場合)

④保険関連

  • 保険証券
  • 保険料払込証明書
  • 解約返戻金一覧表

⑤退職金関連

  • 退職金規程
  • 退職金見込額証明書
  • 企業年金の加入状況

⑥債務関連

  • 借入金返済予定表
  • クレジットカードの利用明細
  • 住宅ローンの金銭消費貸借契約書

5-2. 財産隠匿の可能性を視野に入れる

財産隠匿のパターン

相手が財産分与を拒否する場合、同時に財産の隠匿を図る可能性があります。

①預貯金の隠匿

  • 家族や知人名義での預金
  • 馴染みのない金融機関での口座開設
  • 現金化して自宅等に隠匿
  • 海外口座の開設

②不動産の隠匿

  • 親族名義での不動産購入
  • 登記前の不動産売買契約
  • 海外不動産への投資

③その他財産の隠匿

  • 貴金属・宝石の隠匿
  • 美術品・骨董品の隠匿
  • 仮想通貨での資産保有
  • 現金商売での所得隠し

財産隠匿の兆候

以下のような兆候が見られる場合は、財産隠匿の可能性を疑う必要があります。

行動面での変化

  • 郵便物を隠すようになった
  • パソコンやスマートフォンにロックをかけるようになった
  • 外出が増えた(銀行回りなど)
  • 現金での支払いが増えた

経済面での変化

  • 給与振込口座の残高が急激に減少
  • 生活費の支払いを渋るようになった
  • 高額商品の購入(隠匿目的)
  • 投資や事業投資を始めた

5-3. 時効(離婚から2年)への注意

除斥期間としての性格

財産分与請求権の2年という期間は、一般的な債権の消滅時効とは異なり、「除斥期間」としての性格を持ちます。

時効と除斥期間の違い

  • 時効:中断・停止が可能
  • 除斥期間:中断・停止が原則として不可能

起算点 離婚が成立した日(協議離婚の場合は離婚届が受理された日)から2年間です。

期間経過の効果 2年の期間を経過すると、原則として財産分与の請求はできなくなります。ただし、以下の例外があります。

例外的に期間経過後も請求できる場合

①財産分与の合意がある場合 離婚時に財産分与について何らかの合意(履行時期を離婚後とする合意など)がある場合は、2年の制限を受けません。

②詐害行為がある場合 相手が財産分与義務を免れる目的で財産を隠匿・処分した場合は、詐害行為取消権により対応できる場合があります。

③不法行為に基づく請求 財産の隠匿が不法行為に該当する場合は、不法行為に基づく損害賠償請求として3年間(または20年間)の消滅時効期間が適用されます。

時効中断の方法

除斥期間の場合、原則として中断はありませんが、以下の場合は例外的に中断が認められる場合があります。

調停申立て 財産分与調停の申立てにより、除斥期間の進行が停止する場合があります。

裁判上の請求 財産分与に関する訴訟の提起により、除斥期間が中断する場合があります。

6. まとめ

6-1. 財産分与は相手が拒否しても「当然に認められる権利」

本記事で詳しく解説してきたように、財産分与は民法768条に定められた法定の権利であり、相手の一方的な拒否によって消滅するものではありません。

法的権利としての財産分与

  • 夫婦が婚姻中に協力して築いた財産の清算
  • 離婚後の生活保障
  • 有責配偶者に対する損害の償い

これらの性格を持つ財産分与は、離婚に伴って当然に発生する権利です。

相手の拒否理由の法的意味 相手がどのような理由で財産分与を拒否しても、法的には以下の対応が可能です。

  • 「俺の名義だから」→ 名義と財産分与は無関係
  • 「俺が稼いだから」→ 家事・育児も財産形成への貢献
  • 「専業主婦は関係ない」→ 法的に全く根拠なし
  • 「離婚を急いでいるから」→ 離婚後でも2年間は請求可能
  • 「財産はない」→ 隠匿の場合は調査・追及可能

6-2. 段階的解決フローの確認

財産分与を拒否された場合の解決フローを改めて確認しましょう。

第1段階:話し合い(任意交渉)

  • 当事者同士での協議
  • 協議離婚協議書の作成
  • 公正証書の作成
  • 弁護士による代理交渉

第2段階:調停

  • 家庭裁判所への調停申立て
  • 調停委員による仲裁
  • 資料提出命令の活用
  • 調停調書の作成

第3段階:審判

  • 調停不成立時の自動移行
  • 裁判官による判断
  • 審判書の確定
  • 即時抗告への対応

第4段階:強制執行

  • 債務名義に基づく執行
  • 預金・給与・不動産・動産の差押え
  • 競売・換価による回収
  • 配当による権利実現

6-3. 成功のためのポイント

①早期の対応

  • 2年の除斥期間を意識した迅速な行動
  • 証拠の散逸防止
  • 財産隠匿の予防

②証拠の確実な保全

  • 財産関係書類の網羅的収集
  • デジタル証拠の保存
  • 第三者証人の確保

③専門家との連携

  • 弁護士による法的サポート
  • 税理士による財産評価
  • 不動産鑑定士による価格算定

④戦略的な手続き選択

  • 相手の対応に応じた適切な手続き選択
  • 費用対効果を考慮した執行方法
  • 和解の可能性も視野に入れた交渉

6-4. 最後に伝えたいこと

財産分与の拒否に直面した際、多くの方が「諦めるしかない」「争いたくない」と考えがちです。しかし、財産分与は法律で保障された正当な権利であり、適切な手続きを踏めば必ず実現できるものです。

諦める必要は全くない

  • 相手がどれだけ強固に拒否しても法的手段で解決可能
  • 財産の隠匿があっても調査・追及の方法は存在
  • 時間はかかっても最終的には権利を実現できる

専門家のサポートを活用 財産分与の問題は法的知識だけでなく、実務的な経験も重要です。一人で抱え込まず、弁護士などの専門家のサポートを受けることで、より確実に権利を実現できます。

感情的にならず冷静に 相手の拒否や財産隠匿に対して感情的になることは理解できますが、冷静かつ戦略的な対応が結果的に最も効果的です。

将来への投資として 財産分与の手続きには時間と費用がかかりますが、これは将来の生活基盤を確保するための重要な投資です。目先の負担を恐れず、長期的な視点で取り組むことが大切です。

財産分与を拒否されても決して諦めず、法的な権利を適切に行使することで、公平な財産分与を実現してください。あなたの権利は法律によってしっかりと守られているのです。

佐々木裕介

佐々木 裕介(弁護士・行政書士)

「失敗しない子連れ離婚」をテーマに各種メディア、SNS等で発信している現役弁護士。離婚の相談件数は年間200件超。協議離婚や調停離婚、養育費回収など、離婚に関する総合的な法律サービスを提供するチャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所を運営。

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