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共同親権はいつから?すでに離婚した人も「親権者変更」で共同親権にできる?弁護士が解説

2026 7/05
2026年法改正
2026年7月5日
共同親権はいつから?すでに離婚した人も「親権者変更」で共同親権にできる?弁護士が解説

「共同親権っていつから始まったの?」「もう離婚してしまった自分には関係ない?」

答えを先に言うと、共同親権を導入した改正民法は2026年4月1日に施行済みです。そして、施行前に離婚した方も「親権者変更」の申立てによって、単独親権から共同親権への変更を求めることができます。

この記事では、離婚・親権問題を専門とする弁護士・佐々木裕介が、共同親権の適用時期と、すでに離婚した方のための親権者変更の制度を解説します。

この記事でわかること

  • 共同親権がいつから・誰に適用されるのか
  • 施行前に離婚した人ができること・できないこと
  • 親権者変更の要件と、裁判所が考慮する事情
  • 親権者変更の手続の流れ
  • 変更が認められやすいケース・難しいケース
目次
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共同親権はいつから?——2026年4月1日施行

離婚後の共同親権を導入した「民法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第33号)は、2024年5月に成立し、2026年4月1日に施行されました。

したがって、2026年4月1日以後に離婚する夫婦は、協議により共同親権・単独親権を選択できます。裁判所が親権者を定める場合も、双方を親権者と定めることが可能になっています。

共同親権制度そのものの仕組み(選択制であること、DV・虐待事案では単独親権となることなど)は、共同親権とは?の解説記事で詳しく説明しています。

すでに離婚した人はどうなる?——「親権者変更」という道

改正で「単独→共同」への変更が可能になった

改正前の民法では、親権者変更といえば「父から母へ」「母から父へ」という一方から他方への変更しかありませんでした。

改正民法819条6項は、この点を大きく変えました。家庭裁判所は、子の利益のため必要があると認めるときは、親権者を変更することができるとされ、その変更のバリエーションとして、

  • 一方の単独親権 → 他方の単独親権(従来どおり)
  • 単独親権 → 共同親権(新設)
  • 共同親権 → 単独親権(新設)

が可能になりました。

これは施行日前に離婚した方にも開かれています。「2026年3月以前に単独親権で離婚したから、共同親権は一生関係ない」ということはありません。

従来の親権者変更との大きな違い

従来の親権者変更は、多くの場合「子どもを実際に監護する親を入れ替える」ことを意味しました。改正後はそうではありません。

たとえば、母が単独親権者として子どもと同居しているケースで、父が「監護は今のまま母が担い、自分は共同親権者として重要事項の決定に関与したい」と考える場合、子どもの生活環境を変えずに、親権の形だけを変更する申立てがあり得ます。子どもがどちらと暮らすかと、誰が親権者かは、別々に検討されるのです。

親権者変更の要件——裁判所は何を見るのか

親権者変更は自動的に認められるものではなく、家庭裁判所が「子の利益のため必要があると認めるとき」に限って認められます。

改正民法819条8項は、父母の協議で定めた親権者を変更する場合の考慮要素を明文化しました。裁判所は、次のような事情を考慮します。

  1. 協議の経過——離婚時にどんな話し合いを経て親権者を決めたのか。その際、父母の一方から他方への暴力等(DV・モラハラなど心身に有害な影響を及ぼす言動)がなかったか。養育費等について公正証書を作成したかどうかなどの取り決めの状況
  2. その後の事情の変更——離婚後の監護の状況、父母の関係の変化、子どもの成長や意向など
  3. その他の事情

注目すべきは、離婚時の取り決めの「質」が考慮される点です。きちんと話し合い、書面(公正証書)で取り決めをしてきた実績は、その後の親権者変更の場面でも意味を持ちます。逆に、DVや強要によって決められた親権者の定めは、変更の方向に働き得ます。

子ども本人も申し立てられるようになった

改正前は、親権者変更を申し立てられるのは「子の親族」だけでした。改正後は「子又はその親族」となり、子ども本人にも申立権が認められました。親権者変更は子ども自身に直接影響する問題であり、子の意見を制度的に反映させる趣旨です。

親権者変更の手続の流れ

  1. 家庭裁判所に調停・審判を申し立てる:親権者変更は、父母の合意だけで届出することはできず、必ず家庭裁判所の手続(調停・審判)を経る必要があります。
  2. 調停での話し合い:調停委員を交えて、変更の必要性、今後の監護・養育の在り方を話し合います。家庭裁判所調査官による子の意向・監護状況の調査が行われることもあります。
  3. 調停成立または審判:合意ができれば調停成立。まとまらなければ審判で裁判所が判断します。
  4. 市区町村への届出:変更が確定したら、戸籍の届出を行います。

申立ての前に「親同士の合意形成」が重要な理由

裁判所の手続は、父母の対立が深いほど長期化します。逆に、父母間で「共同親権に変更し、監護や重要事項の決め方はこうする」という具体的な合意ができていれば、手続は格段にスムーズになります。

つまり、親権者変更を考えたとき最初にやるべきことは、裁判所への申立てではなく、変更後の養育の設計図を作ることです。監護の分担、養育費、親子交流、重要事項の決定方法——これらをセットで整理して初めて、裁判所にも「子の利益のための変更」だと説明できます。

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変更が認められやすいケース・難しいケース

認められる方向に働きやすい事情

  • 離婚後も父母双方が子育てに協力してきた実績がある(親子交流の継続、養育費の誠実な支払いなど)
  • 父母間の連絡・協議が現に機能している
  • 子ども自身が別居親の関与を望んでいる(年齢・発達に応じて)
  • 変更後の監護・決定方法について具体的で現実的な計画がある

難しい方向に働きやすい事情

  • DV・虐待またはそのおそれがある(この場合、共同親権への変更は認められません)
  • 父母の対立が激しく、共同での意思決定が機能する見込みがない
  • 変更の目的が子の利益ではなく、相手への牽制や養育費の減額など別の狙いにあると見られる場合

ポイントはシンプルです。裁判所が見るのは「親の権利」ではなく「子の利益」。変更後の共同親権が子どもにとって実際に機能するかどうかが、すべての判断の軸になります。

ケースで見る親権者変更——2つの典型例

ケース1:2024年に協議離婚。母が単独親権者。父は養育費を毎月支払い、月2回の面会交流を継続中。

父母の協力関係が実績として積み上がっている典型例です。父が「進学などの決定に親権者として関与したい」と望み、母も「決定の責任を分担してもらえるなら」と前向きな場合、共同親権への変更が認められる可能性は十分にあります。ポイントは、変更後の決定方法・連絡ルールを具体化した「設計図」を父母で共有してから申し立てることです。合意ができていれば、調停は数回で成立し得ます。

ケース2:2023年に調停離婚。母が単独親権者。離婚原因は父のモラハラで、現在も連絡はほぼ途絶。父が一方的に共同親権への変更を申立て。

裁判所は、離婚時の協議・調停の経過(暴力等の有無)を明文の考慮要素として審理します。モラハラの経緯が認定され、父母の協力関係が見込めない場合、共同での親権行使は困難として、変更が認められない方向に働きます。申し立てられた側は、過去の経緯の資料(調停記録・相談記録など)を整理して臨むことが重要です。

申立てに必要な主な書類

  • 親権者変更調停(審判)申立書
  • 子の戸籍謄本(全部事項証明書)、父母それぞれの戸籍謄本
  • 申立ての実情を示す資料(監護状況、交流・養育費の実績、変更後の養育計画など)

収入印紙・郵便切手代を含め、裁判所費用は子1人あたり数千円程度です。事案の複雑さに応じて、弁護士への依頼やADRでの事前合意形成を組み合わせてください。

あわせて確認したい——養育費・親子交流の見直し

親権者変更を検討するタイミングは、離婚時の取り決め全体を見直す好機でもあります。

  • 養育費を取り決めていなかった方:2026年4月1日以後に離婚した場合は、取り決めがなくても子1人あたり月2万円の法定養育費を請求できます。施行前に離婚した方も、調停等での取り決めは従来どおり可能で、取り決め後は改正法の強化された履行確保の仕組み(先取特権など)を利用できます。
  • 親子交流が途絶えている方:改正法では親子交流のルールも整備されました。試行的実施の促しなど、再開に向けた手段が増えています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 施行前(2026年3月以前)に離婚しました。何もしなくても共同親権になりますか?

A. なりません。施行前に離婚した方の親権は、現状のまま(単独親権のまま)です。共同親権にするには、家庭裁判所に親権者変更の調停・審判を申し立て、認められる必要があります。

Q2. 元配偶者が同意してくれれば、届出だけで変更できますか?

A. できません。親権者変更は、父母双方が合意している場合でも、必ず家庭裁判所の手続を経る必要があります。ただし合意があれば調停は円滑に進みやすくなります。

Q3. 相手が親権者変更を申し立ててきました。拒否できますか?

A. 調停・審判の中でご自身の意見を述べることができます。最終的には裁判所が子の利益を基準に判断します。DVからの避難など安全に関わる事情がある場合は、必ず裁判所と代理人に伝えてください。

Q4. 親権者変更にはどれくらいの期間がかかりますか?

A. 事案によりますが、調停は月1回程度のペースで進むため、数か月から1年程度かかることが一般的です。父母間の事前の合意形成の程度によって大きく変わります。

Q5. 親権者変更を申し立てると、今の監護(子どもとの生活)まで奪われませんか?

A. 改正後の親権者変更は、必ずしも監護する親の交代を意味しません。「監護は現状のまま、親権の形だけ変える」申立ても想定されており、裁判所も子の生活の継続性を重視します。もっとも、相手が監護者の変更まで求めてくる場合もあるため、申立書の内容を確認し、ご自身の希望する監護の在り方を明確に主張してください。

Q6. 一度、変更の申立てが却下されました。もう二度と申し立てられませんか?

A. 再度の申立て自体は可能ですが、前回の判断の基礎となった事情から変化(事情の変更)があることが実質的に必要です。子の成長、交流・養育費の実績の積み上がり、父母の関係改善などが、再申立ての土台になります。

Q7. 変更を求める側に費用はどれくらいかかりますか?

A. 家庭裁判所への申立費用自体は数千円程度ですが、弁護士に依頼する場合は別途費用がかかります。まず父母間の合意形成から始める場合は、ADR等の費用感も比較して検討するとよいでしょう。

まとめ

  • 共同親権は2026年4月1日施行。施行日以後の離婚から選択できる
  • 施行前に離婚した人も、親権者変更の申立てで単独→共同への変更を求められる
  • 変更の判断基準は「子の利益」。協議の経過(DVの有無・公正証書の有無)や事情の変更が考慮される
  • 子ども本人にも申立権が認められた
  • 変更を目指すなら、まず変更後の養育の設計図(監護・養育費・親子交流・決定方法)を作ることから

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執筆・監修:弁護士 佐々木裕介(株式会社チャイルドサポート)
典拠:民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)/東京改正家族法研究会「改正家族法の要点と解説Ⅰ 第2章 親権者変更」家庭の法と裁判58号

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