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  2. 離婚公正証書とは?作り方・費用・必要書類・強制執行認諾文言を解説【弁護士監修】

離婚公正証書とは?作り方・費用・必要書類・強制執行認諾文言を解説【弁護士監修】

要点:離婚公正証書は公証人が作成する公的書面で、強制執行認諾文言を入れれば未払い時に裁判なしで差押えができます。2026年改正民法により、養育費(子ども一人あたり月額8万円以下)は要件を満たす離婚協議書でも差押えの申立てが可能になりましたが、年金分割・財産分与・慰謝料を含む場合は公正証書が引き続き有効です。当社の実データでは要否はほぼ半々でした(独自調査:336件分析)。取り決め額の目安は養育費の相場・算定表、無料シミュレーションは離婚の問診票、法定養育費の回収はチャイルドサポートリカバリーをご覧ください。

結論:養育費を「確実に受け取る」ための最有力の書面が離婚公正証書です

離婚公正証書(正式には「離婚給付等契約公正証書」)とは、夫婦が話し合い(協議)で離婚するときに決めた養育費・財産分与・慰謝料などの取り決めを、公証人が法律にもとづいて作成する公文書です。夫婦だけで作る離婚協議書(私文書)と異なり、強制執行認諾文言を付けておけば、支払いが滞ったときに裁判を経ずに給料や預金の差押え(強制執行)に進むことができます。

2026年4月1日に施行された改正民法により、要件を満たす離婚協議書(私文書)でも、子ども1人あたり月額8万円以下の養育費に限っては差押えが可能になりました。一方で、離婚公正証書は金額の上限なく差押えが可能です。養育費が月8万円を超える場合や、財産分与・慰謝料など養育費以外の金銭の支払いがある場合には、引き続き公正証書の作成を検討する価値が大きいと考えられます。とくに、財産分与・慰謝料を分割払いにする場合や、年金分割(合意分割)を取り決める場合は、公正証書でなければ確実に実現できないことがあります。

離婚公正証書のよくある誤解

「公正証書があれば必ず払ってもらえる」「離婚協議書があれば公正証書は不要」などは誤解です。公正証書は差押えの“入口”を確保する書面であり、私文書とは差押えできる範囲が異なります。

誤解1:「公正証書を作れば、必ず払ってもらえる」

公正証書は「支払いを強制的に回収するための入口」を確保する書面であり、相手に財産や収入がない場合まで支払いを保証するものではありません。未払いリスクそのものに備えたい場合は、養育費保証サービスの併用も選択肢になります。

誤解2:「離婚協議書があれば、公正証書は要らない」

離婚協議書(私文書)だけの場合、従来は、不払いが起きたら改めて調停や裁判を経なければ差押えできませんでした。2026年4月の改正民法で、要件を満たす離婚協議書であれば月8万円/人以下の養育費に限り差押えが可能になりましたが、それを超える養育費や、財産分与・慰謝料などには及びません。取り決めの内容によっては、公正証書でなければカバーできない部分が残ります。

誤解3:「2026年の法改正で、公正証書は不要になった」

改正民法で私文書の効力が一部強化されたのは事実ですが、公正証書が不要になったわけではありません。差押えできる範囲(月8万円/人以下の養育費に限るか、上限なしか)に明確な差があるため、ご自身の取り決め内容に応じた選択が必要です。

あわせて読みたい:【独自調査】改正民法で公正証書が不要になる人はどれくらい?(336件分析)

誤解4:「夫婦で署名していれば、どんな書き方でも強制執行できる」

強制執行に進むためには、支払額・支払期日・支払方法が特定されていることに加え、公正証書の場合は「強制執行認諾文言」が入っていることが必要です。金額や期日があいまいな書面は、いざというときに使えないおそれがあります。

公正証書にすべきかどうかの判断基準

次のいずれかに当てはまる場合は、公正証書の作成を積極的に検討することをおすすめします。

  • 養育費が子ども1人あたり月額8万円を超える
  • 財産分与・慰謝料・婚姻費用の精算など、養育費以外の金銭の支払いがある
  • 財産分与・慰謝料・解決金などを分割払いで受け取る取り決めがある(養育費以外は私文書では差押えできないため、公正証書が必要)
  • 年金分割(合意分割)で按分割合を取り決める(相手の協力なしで手続きするには公正証書等が必要)
  • 相手の支払いに少しでも不安がある

反対に、受け取る金銭がない純粋な合意確認のみの場合や、養育費が月8万円/人以下で、要件を満たす離婚協議書をきちんと作成できる場合には、私文書のままでも実害が生じにくいケースもあります。どちらが適しているか迷う場合は、専門家に確認しながら進めると安心です。

財産分与・慰謝料を「分割払い」にするなら公正証書が必要です

2026年4月の改正民法で、要件を満たす離婚協議書(私文書)に認められた差押えは養育費に限られます。そのため、財産分与・慰謝料・解決金などを分割払いで受け取る取り決めをする場合、私文書のままでは、不払いが起きても直ちに差押えできません。分割払いは支払いが長期にわたり不払いリスクが高いため、強制執行認諾文言付きの公正証書にしておくことが重要です。これにより、滞納時に裁判を経ずに給料や預金の差押えへ進めます。

年金分割(合意分割)を確実に行うにも公正証書が有効です

婚姻期間中の厚生年金を分け合う「年金分割」のうち、按分割合を当事者の合意で決める合意分割では、年金事務所での手続きに合意内容を証明する書類が必要です。当事者双方(または代理人)で出向く場合は当事者が作成した合意書でも手続きできますが、相手の協力なしに一方だけで手続きするには、公正証書の謄本または公証人の認証を受けた合意書が必要とされています。離婚後に相手の協力が得られるとは限らないため、年金分割を取り決める場合は公正証書にしておくと確実です。(制度の詳細は日本年金機構の案内もご確認ください。)

強制執行認諾文言とは

強制執行認諾文言とは、「金銭債務の履行を遅滞したときは、直ちに強制執行に服する」ことを支払う側が認める条項です。公正証書の実務では、次のような文言を最後の条項に入れます。

甲は、本公正証書に定める金銭債務の履行を遅滞したときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した

この文言があってはじめて、その公正証書は「強制執行認諾文言付き公正証書」となり、裁判をしなくても給料・預金口座の差押えに進めるようになります。逆に、この文言のない公正証書は、私文書とほぼ同じ効力にとどまってしまいます。公証役場では作成時に必ず確認されるため入れ忘れは起きにくいものの、ご自身で原案を作る場合は、最初からこの条項を書いておくとスムーズです。

離婚公正証書を作成する流れ

離婚公正証書は、①夫婦で取り決め内容を合意し原案を作る→②公証役場に提出→③公証人が文案を作成→④夫婦で署名・押印、という流れで作成し、期間はおおむね2週間〜2か月程度です。

  1. 離婚協議書の原案を作成する(取り決め内容を夫婦で合意しておく)
  2. 最寄りの公証役場に予約を入れ、原案を提出する
  3. 公証人が原案をもとに公正証書の文案を作成する(2週間程度〜2か月程度)
  4. 文案の内容を、メールなどで夫婦双方が確認する
  5. 公証役場に夫婦で出向き、公証人の前で署名・押印する(所要30分〜1時間程度)
  6. 正本・謄本を受け取る

相手が公証役場に出向けない場合には、代理人による作成が認められることもあります。事情がある場合は、公証役場または当社までご相談ください。

必要書類

離婚公正証書の作成には、夫婦双方の本人確認書類・印鑑・お子さまの戸籍謄本などが必要で、不動産の財産分与や年金分割がある場合は追加書類が要ります。

  • 夫婦双方の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等のうち1点、または健康保険証+住民票など2点)
  • 印鑑(実印が望ましい)
  • お子さまの戸籍謄本(親権者・監護者の特定のため)
  • 不動産がある場合:登記事項証明書(登記簿謄本)と固定資産評価証明書
  • 年金分割をする場合:年金分割のための情報通知書(年金事務所で発行)
  • 離婚協議書の原案(印刷物またはデータで提出)

必要書類は取り決めの内容や公証役場によって異なることがあるため、予約時に確認しておくと確実です。

費用の目安と自治体補助の探し方

離婚公正証書の費用は公証人手数料が中心で、合計はおおむね2万円〜7万円が目安です。多くの自治体に作成費用の補助制度があります。

公証人手数料の目安

公正証書作成の手数料は公証人手数料令で定められており、目的価額(証書のなかで動くお金の総額)によって変わります。

目的価額公証人手数料の目安
100万円以下5,000円
100万円超〜200万円以下7,000円
200万円超〜500万円以下11,000円
500万円超〜1,000万円以下17,000円
1,000万円超〜3,000万円以下23,000円
3,000万円超〜5,000万円以下29,000円

このほかに用紙代・正本や謄本の交付手数料が加算されます。離婚公正証書の場合、合計でおおむね2万円〜7万円におさまるケースが多いとされています。なお、養育費のように長期にわたる支払いは、全期間分ではなく一定年数分を基準に目的価額を計算する取り扱いがあるため、支払期間が長くても手数料が際限なく増えるわけではありません。

自治体補助の探し方

近年、ひとり親家庭の養育費確保を支援するため、公正証書の作成費用(公証人手数料)を補助する自治体が増えています。お住まいの自治体で使える制度があるかどうかは、次の方法で確認できます。

  • 「お住まいの自治体名+養育費 公正証書 補助」で検索する
  • 自治体のこども家庭課・子育て支援課などの窓口で「養育費確保支援」の制度がないか尋ねる
  • 公正証書の手数料だけでなく、ADR利用料・養育費保証の初回保証料まで補助する自治体もあるため、あわせて確認する

当社は複数の自治体と連携して養育費確保支援を行っています。連携自治体の制度については自治体向け養育費確保支援のページもご参照ください。

離婚協議書・調停調書との違い(比較表)

離婚協議書(私文書)・離婚公正証書・調停調書は、作成者・費用・不払い時に差押えできる範囲が異なります。公正証書は強制執行認諾文言付きなら金額の上限なく差押えができます。

項目離婚協議書(私文書)離婚公正証書調停調書
作成者夫婦本人公証人(公証役場)家庭裁判所
費用の目安原則かからない合計2万円〜7万円程度申立費用数千円程度
作成までの期間合意できればすぐ2週間〜2か月程度数か月〜(期日を重ねる)
不払い時の強制執行要件を満たせば月8万円/人以下の養育費に限り可(2026年4月改正民法)強制執行認諾文言付きなら金額の上限なく可金額の上限なく可
証拠としての強さ通常強い(公文書)強い(裁判所の書面)
原本の保管本人公証役場家庭裁判所
向いているケース夫婦で協力でき、養育費が月8万円/人以下で他の金銭給付がない場合夫婦で協力でき、養育費が月8万円/人超または財産分与・慰謝料等がある場合当事者同士の話し合いが難しい場合

チャイルドサポートが支援できる範囲

株式会社チャイルドサポートは、法務大臣認証のADR機関であり、離婚公正証書の作成に向けて次のサポートを提供しています。

  • 行政書士による離婚協議書・公正証書案の作成支援(34,800円・税込):離婚専門の行政書士が、お二人の合意内容をオーダーメイドの書面にまとめます。
  • 離婚ADR(民間調停)(59,800円・税込):法務大臣認証ADR機関として、条件の話し合いそのものを中立の立場でサポートします。特定和解が成立した場合、養育費等について和解合意書に法的強制力を持たせることができ、公正証書を作成し直す必要がありません。
  • チャイルドサポートサイン(電子署名の手配2,900円・税込):2026年改正民法の要件を満たす離婚協議書をスマホで作成・締結できます。
  • 養育費保証:万一支払いが止まった場合に立替え・保証するサービスです。

ご注意(支援できない範囲):個別の紛争についての法的な判断の提供(いわゆる法律相談)や、相手方との交渉の代理は、行政書士および当社が行うことはできません。争いが大きい場合や法的判断が必要な場合には、弁護士へのご相談(法テラス等を含む)をご案内しています。当社のサポートは、お二人の合意形成と、その合意を適切な書面にすることの支援に限られます。

よくある質問(FAQ)

離婚協議書だけ作りました。公正証書も作ったほうがいいですか?

取り決めの内容によります。2026年4月の改正民法により、要件を満たす離婚協議書であれば、子ども1人あたり月額8万円以下の養育費に限り差押えが可能になりました。養育費が月8万円/人を超える場合や、財産分与・慰謝料など養育費以外の金銭の支払いがある場合は、金額の上限なく差押えできる公正証書の作成をおすすめします。

相手が公証役場に行ってくれない場合はどうすればいいですか?

公正証書は原則として夫婦双方が公証役場に出向く必要がありますが、事情によっては代理人による作成が認められることもあります。それも難しい場合は、私文書の離婚協議書を作成する、家庭裁判所の調停を利用するなどの方法で、同等の効力を持つ書面を得ることを検討します。状況に応じた進め方は当社の無料相談でご案内できます。

離婚届を出した後からでも公正証書は作れますか?

はい、作れます。離婚成立後でも、合意した内容を公正証書にすることは可能です。前文の書き方が「離婚後」のパターンになるだけで、手続きの流れはほぼ同じです。ただし、離婚届の提出後は相手の協力を得にくくなるケースもあるため、可能であれば離婚届の提出前に作成しておくことをおすすめします。

公正証書ができるまで、どれくらいの期間がかかりますか?

公証役場に原案を提出してから、公証人の文案作成に2週間程度〜2か月程度かかるのが一般的です。その後、夫婦で公証役場に出向いて署名・押印する日(所要30分〜1時間程度)を予約します。お急ぎの場合は、原案を早めに固めておくことが最大の時短になります。

公正証書の費用は、夫婦のどちらが負担するものですか?

法律上の決まりはなく、夫婦の合意で自由に決められます。実務では、折半にするケースや、お金を受け取る側が負担するケースなどさまざまです。お住まいの自治体に公正証書作成費用の補助制度があれば、自己負担を抑えられることもあります。

2026年の法改正で「公正証書は不要になった」と聞きましたが、本当ですか?

不要になったわけではありません。改正民法で、要件を満たす離婚協議書(私文書)でも月8万円/人以下の養育費に限り差押えが可能になりましたが、それを超える養育費や財産分与・慰謝料などは対象外です。差押えできる範囲に差がある以上、取り決めの内容に応じて公正証書が必要かどうかを判断することが大切です。

財産分与や慰謝料を分割払いにする約束も、公正証書にすべきですか?

はい、おすすめします。2026年4月の改正民法で私文書(要件を満たす離婚協議書)に認められた差押えは養育費に限られるため、財産分与・慰謝料・解決金などは、私文書のままでは不払い時に差し押さえできません。とくに分割払いは支払いが長期に及び不払いリスクが高いため、強制執行認諾文言付きの公正証書にしておくと、滞納時に裁判を経ずに差押えへ進めます。

年金分割をするのに公正証書は必要ですか?

合意分割で按分割合を取り決めた場合、当事者双方で年金事務所に出向くなら当事者が作成した合意書でも手続きできますが、相手の協力なしに一方だけで手続きするには、公正証書の謄本または公証人の認証を受けた合意書が必要とされています。離婚後の協力が不確実な場合は、公正証書にしておくと確実に手続きできます。

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監修者・更新日

監修:佐々木裕介(弁護士・第二東京弁護士会/株式会社チャイルドサポート 代表取締役)

株式会社チャイルドサポートは、法務大臣認証のADR機関として、協議離婚の法的支援(離婚協議書・離婚公正証書の作成支援、離婚ADR)と養育費保証を提供しています。

最終更新日:2026年7月2日