養育費保証って聞いたことはあってもわかりにくいですよね?
でもでも、養育費保証は離婚前に検討する方が絶対にお得なんです!
この記事では子づれ離婚を検討されている方むけに、養育費保証サービスの基本事項から、サービスごとの特徴や費用について解説していきます。
※2024年8月の情報を基に解説しています。
※本記事では一般的な事項を簡易な言葉で説明していますが、実際の費用や契約内容は保証事業者ごとに異なります。
養育費保証への加入に際しては各保証事業者との契約内容をご理解のうえ、ご契約は自己責任でお願いします。
養育費保証とは?
養育費ってなに?本当にもらえるの??
両親は、子どもが自分たちと同じように生活するためのお金を出さなければいけないことが法律で決まっています。
離婚後も子どもと同居する親は、日常的に子どものためにお金を使うことでこの義務を果たします。
一方で、同居していない親の義務がなくなるわけではありません。
そこで子どもと同居していない親が、子どもの生活のために支払うお金が養育費です。
養育費は法律で決まっている子どもの権利なので、すべての子どもが必ずもらえるはずのお金なのですが・・・
残念ながら日本では、7割以上の子どもが養育費を受け取れていないのが実情です。
その理由は養育費をもらうためのステップにあります。
- 日本では、離婚をする両親間で養育費について合意しなければ養育費はもらえません。
- 日本では、合意した毎月の養育費を、相手に支払い続けてもらわないと養育費はもらえません。
つまり、「養育費の請求」と「養育費の受け取り」の両方に手続き的な問題があります。
権利なのにもらえないってどういうこと?と思われるかもしれませんが、理想を実現するための手段が十分に整備されていない、中途半端な状況というのが日本の現状です。
養育費保証サービスってなに?
養育費保証サービスは「養育費の受け取り」で生じる問題に備えるためのサービスです。
養育費をもらう側、つまり子どもと同居する親が加入することで、相手が一方的に養育費の支払いを止めたり減額したりした場合でも、一定期間は保証事業者から養育費の支払いを受けられます。
養育費の保証期間は契約プランによって様々ですが、12か月の保証が一般的で、中には36か月という長期の保証を提供している事業者もあるようです。
なお、保証期間というのは保証事業者から養育費の立て替え払いを受けられる月数であり、養育費保証に加入できる期間ではありません。
養育費の合意ができていないと保証には入れない?
「そもそも養育費の合意が難しいのに、養育費保証なんて関係ない!」
そう思われた方もいらっしゃると思います。
養育費保証サービスはいくつかの事業者から提供されており、それぞれに特徴があります。
「養育費の請求」からサポートする保証事業者もありますので、ぜひ本記事を最後までお読みいただき、ご自身にあった保証サービスを見つけてください。
一定期間しか保証されなくても大丈夫なの?
「保証に入っていても数か月後には支払いが止まるのなら、保証に入る意味ってあるの?」
と思われた方もおられるかと思います。
実はこの数か月の保証はとても重要な意味を持っています。
それを理解するために、まずは「保険」と「保証」の違いを理解しましょう。
保険も保証も、万が一に備えるものである点では同じです。
しかし、「保険」は事故や病気などの不幸な出来事に備えるものであるのに対し、「保証」はだれかが義務を怠った場合に備えるものであるという違いがあります。
保証では義務を怠った人が必ずいる、という点がポイントです。
説明のために、あなたが養育費保証に加入しているとしましょう。
あなたへの養育費の支払いが止まった時、保証事業者はあなたに保証金として毎月の養育費を支払う一方で、相手が怠った養育費の支払いを相手方へ請求します。
そのための法的手段が「強制執行」です。
養育費の支払いが止まってから、強制執行を完了するまでに必要な期間はおよそ3か月~6か月です。
強制執行の完了後には、これまで通り相手からあなたへ養育費の支払いが続けられるよう手続きを進めます。
これが保証期間が数か月程度でいい理由です。
ただし、強制執行には失敗するケースもあります。
相手方の収入や財産がなくなってしまったケースや、行方不明になってしまったケースなどです。
この場合には保証事業者も、あなたへの養育費の立て替え払いを続けることはできず、保証期間の経過後に養育費の立て替え払いを打ち切ります。
しかし、保証期間が12か月以上あれば、強制執行の失敗後にあなたが生活を立て直すための時間を確保できます。
強制執行はだれがするの?
養育費の支払いが止まったとき、多くの養育費保証サービスでは保証事業者が強制執行手続きを無料で勝手に実施してくれます。保証事業者としても立て替えた養育費を相手から回収したいので、どの保証事業者でもできる限りの手段を尽くしてくれるでしょう。
一方で、実は強制執行そのものはご自身でも行うことのできる手続きです。
ただし、支払いを逃れようとする相手に対して強制執行を行うことは容易ではなく、手続きが複雑になるケースも多いことから、弁護士に依頼して行うのが現実的です。
弁護士費用は平均で30万円程度と高額なうえ、失敗したりもう一度支払いが止まったりするリスクもありますので、個人ではなかなか強制執行に踏み切れないというのが現実でしょう。
これらの費用と手間とリスクを避けられるという点も、養育費保証の大きなメリットの1つです。
養育費保証は入ったほうがいい?
あなたは10年後の自分を信じられますか?
養育費は平均で13年間という長期間に渡って回収を続けなければならないものです。
転職、再婚、介護、詐欺、依存症・・・環境の変化や自身を取り巻く問題は、想像以上にたくさんあります。
自分でさえ10年後はどうなっているのかわからないのに、他人がこれから何年も大事な約束を守り続けられると、どうして信じられるのでしょうか?
養育費の不払いは病気や事故のように偶然起こるものではなく、他人の悪意や怠慢により引き起こされるものです。
偶然よりもはるかに起こりやすく、日本ではほぼ2人に1人の割合で、養育費の支払いが途中で止まっていると考えられています。
約束を守り続けるために第三者の手を借りるという意味で、養育費保証は子づれ離婚をするすべての方が加入すべきサービスだといえるでしょう。
養育費の不払いが発生する理由については別の記事で詳しく説明していますのでそちらを参照してください。
養育費保証にはいくら必要?料金で見るサービスの違い。
さて、絶対に加入しておくべき養育費保証ですが、気になるのは料金ですよね?
養育費保証サービスではほとんどの事業者で、初回手数料+養育費の〇〇%という料金体系を基本としているようです。
しかしその保証料率は、事業者やプランによって3%~30%程度と幅広い料金設定となっています。
どうしてそんなにも保証料率が違うのでしょうか?
月額保証料率が3%程度のプラン
2024年8月時点では3社がこの価格帯のプランを提供をしており、中には月額保証料率が1%以下のプランを提供する事業者もあるようです。(チャイルドサポート調べ)
たとえば養育費月額が5万円の場合には、月額1,500円程度で保証を受けられます。
圧倒的な低価格が魅力の保証サービスですが、その代わりに保証の加入には非常に厳しい審査があります。
年間で30件に1件でも強制執行に失敗したら保証事業者は赤字になる・・・
というほどの良心的な価格設定ですので、どうしても審査は厳しくなります。
審査については別の記事で詳しく解説していますのでそちらを参考にしてください。
また、非常に良心的な価格であるために採算がとりづらく、事業者が養育費保証事業から撤退するケースが起きやすいという点にも注意が必要です。
実際にこの数年の間でも、この価格帯でサービスを提供していた複数の事業者が養育費保証事業から撤退しています。
とはいえ、まずはすべての方がこの価格帯の保証への加入を目指すべきです。
加入に必要な最低限の条件(養育費の合意)を満たしている方は、まずはこの価格帯のサービスへ審査の申し込みをしてみましょう。
月額保証料率が10%程度のプラン
2024年8月時点で、この価格帯の養育費保証サービスを提供しているのはチャイルドサポートだけです。
(チャイルドサポート調べ)
たとえば養育費月額が5万円の場合には、月額5,000円程度で保証を受けられます。
3%プランに比べると保証料は高くなりますが、その代わりに以下の2つのメリットがあります。
1.相手と養育費について合意するためのサポートが受けられる
実はほとんどすべての保証事業者で、養育費保証サービスの加入には強制執行を行うための正式な書面(公正証書、調停証書または審判書)が必要です。
チャイルドサポートでは養育費を含めた離婚条件を合意し、正式な書面にするためのサポートサービスを提供しています。
しかもチャイルドサポートの養育費保証にご加入いただける方は、実質無料でこのサービスを利用できます。
離婚条件の取り決め方については別の記事で詳しく解説していますのでそちらを参考にしてください。
2.幅広い方にご加入いただける
10%プランでも年間で10件に1件の割合で強制執行に失敗すると事業者は赤字になりますので、残念ながら加入時の審査はあります。
とはいえ価格設定が3%程度の保証サービスに比べると審査の条件は緩くなり、より幅広い方にご加入いただくことができます。
3%プランに比べると保証料は高めですが、離婚条件の取り決め方についての記事で説明しているように、ほとんどの方が正式な書面を作成するために多額の費用を支払っています。離婚前にまとまった費用をかけずに済むことを考えると、実は多くのケースでトータルコストが最も安くなるプランであるといえるでしょう。
離婚前または離婚直後で養育費の合意にお悩みの方や、3%プランの審査に通らない方にお勧めのサービスです。
月額手数料率が30%程度のプラン
2024年8月時点で、この価格帯の保証サービスは弁護士または弁護士法人だけが提供しています。
(チャイルドサポート調べ)
たとえば養育費月額が5万円の場合には、月額15,000円程度でサービスを受けられます。
実はこの価格帯のサービスは、厳密には養育費保証サービスではありません。
ほとんどの場合に養育費の立て替え払いサービスがついていないためです。
しかし料金体系が似ていることや、養育費の回収や強制執行といった保証以外の機能が共通しているため、ここでは保証の一種として紹介しています。
保証料率が10%程度までの養育費保証サービスとの最大の違いは、すでに不払いが発生していたり、養育費の合意が非常に難しい場合でも利用できる可能性があることです。
すでに不払いが発生している場合の強制執行や、当事者間で話し合いができない場合の代理交渉を弁護士が行い、養育費が正常に支払われる状態にしたうえで、養育費の回収を代行してくれます。
この価格帯のサービスが弁護士法人でしか提供されていない理由は、法的紛争の代理行為は弁護士の独占業務であり、ほかの事業者では行えないためです。
サービス料がとても高いと思われるかもしれませんが、お金に困っている方にも利用しやすいよう着手金や初期費用を低く設定している弁護士法人も多く、弁護士費用の相場から考えると良心的な価格設定になっているといえます。
離婚前に相手と話し合って養育費の取り決めを行い、不払い発生前に保証料率が3%~10%程度の保証に入る方がいいのは明らかでしょう。
とはいえ養育費が全くもらえないよりは、高めの手数料を支払ってでも養育費をもらえるようにした方がお得ですので、本当にお困りの方にはおすすめのサービスです。
保証に入るのに相手の同意は必要?加入条件の違いから見るサービスの特徴
「養育費保証のことを相手に切り出しづらい!」
そういう方も多いかと思います。
相手の同意が必要かどうかは加入するプランによって異なり、相手の同意がなくても加入できるプランを提供している保証事業者も存在します。
そもそも弁護士事務所が提供している手数料率が30%程度のサービスは、相手の同意を得ることが非常に難しいときのためのサービスです。
ここでは保証料率が3%~10%程度の保証について、相手の同意が必要なプランと同意がいらないプランそれぞれの一般的な仕組みを見ていきましょう。
解説を分かりやすくするために、あなたが養育費をもらう側として説明をすすめます。
相手の同意が必要なプランの仕組み
相手の同意が必要なプランの方が一般的です。
このプランではあなたと相手それぞれが、保証事業者と契約を結びます。
あなたが保証事業者と結ぶ契約には、養育費の保証契約と支払代行のサービス契約が含まれます。
一方で相手方では、養育費の集金代行の委託契約を結びます。
保証事業者は毎月の養育費を相手方から受け取り、保証掛金を差し引いた金額をあなたに支払います。
相手方では費用は発生せず、あなたが保証掛金を負担することになります。
相手の同意が必要なプランには、以下のように様々なメリットがあります。
- 保証事業者が養育費の回収を行ってくれるので、養育費のために相手とのコミュニケーションを続ける必要がない。
- 多くの保証事業者では相手の口座から養育費の自動引き落としを行うため、相手方での振り込み忘れが発生しない。
- 保証事業者が間に入っていることを相手が意識することで、養育費の支払いが止まるリスクが大きく下がる。
- 双方が合意して保証に入ることで信頼関係が改善され、離婚により生じる子どもへの悪影響が軽減される。
デメリットは最初に相手の同意を得るという手間だけです。
相手の同意がいらないプランの仕組み
選択肢は多くありませんが、一部の保証事業者では相手の同意なしで加入できる養育費保証プランを提供しています。
このプランではあなたが保証事業者と養育費の保証契約を結びます。
相手方が結ぶ契約はありません。
あなたは毎月の養育費を相手から直接受け取り、保証事業者へ保証料を支払います。
相手からの養育費の支払いがとまり、保証事業者があなたの代わりに相手方へ支払いを催促するときになって初めて、保証事業者が相手へ連絡を行います。
一般的にはこの時になって初めて、相手はあなたが養育費保証に入っていることを知ることになります。
相手の同意が必要のないプランのメリットは、なんといっても保証に入るのに相手の同意をえる必要がないことです。
ただ、相手の同意が必要なプランにあるようなメリットは受けられません。
相手の同意が必要なプランよりも審査が厳しく、保証料率が高めになることもデメリットといえるでしょう。
結局、どっちのプランがいいの?
相手の同意が必要なプランの方が、メリットが多く断然おすすめです。
どうしても相手の同意が得られない方のみ、相手の同意がいらないプランを検討しましょう。
相手との関係性次第にはなりますが、相手と会話することすら難しい方でなければ、ダメ元でも保証への加入を交渉してみるといいでしょう。
相手はあなたが自分を信用してくれないことに不満を持つかもしれません。
しかし、それは養育費の支払いから逃れるための逃げ道を残しておきたいという気持ちからくるものであり、しっかりと支払いを続ける意思のある方ほど保証に入ることに前向きです。
交渉をすることで相手の気持ちを確認できますし、強制執行のリスクを相手へ伝える機会にもなります。
まとめ
この記事では養育費保証サービスの一般的な特徴や比較について解説しました。
離婚前に養育費保証サービスへ加入することの重要性をご理解いただけたら幸いです。
あくまで一般的な内容となっていますので、より詳しい情報は各保証事業者のホームページなどでご確認ください。