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不倫による離婚の進め方|慰謝料請求と手続きのポイント

2025 10/01
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2025年9月30日2025年10月1日

配偶者の不倫が発覚したとき、多くの方が「離婚すべきか」「慰謝料は請求できるのか」「どう手続きを進めればいいのか」と悩みます。不倫は法律上「不貞行為」として離婚の正当な理由となり、精神的苦痛に対する慰謝料請求も可能です。しかし、実際に離婚を進めるには適切な証拠の確保や法的手続きの理解が欠かせません。

本記事では、不倫による離婚を考えている方に向けて、法的根拠から慰謝料の相場、具体的な手続きの流れ、証拠収集の方法まで、実務的な観点から詳しく解説します。感情的になりがちな場面だからこそ、冷静に法的知識を身につけ、適切な対応を取ることが将来の生活安定につながります。

目次
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1. 不倫と離婚の関係

不倫は法定離婚原因として認められている

民法第770条第1項第1号では、「配偶者に不貞な行為があったとき」を離婚原因の一つとして明確に規定しています。この「不貞行為」とは、一般的に配偶者以外の異性と性的関係を持つことを指します。つまり、配偶者が不倫をした場合、法律上、離婚を請求する正当な理由が認められるのです。

不倫が発覚した際、被害を受けた配偶者は離婚を選択する権利を持ちます。相手が離婚を拒否したとしても、不貞行為の事実が証明できれば、最終的には裁判によって離婚が認められる可能性が高くなります。

不倫と「婚姻関係の破綻」の関係

裁判所は単に不倫の事実があったかどうかだけでなく、その不倫によって婚姻関係が修復不可能なほど破綻したかどうかも重視します。一度の過ちで深く反省している場合と、長期間にわたって不倫関係を続けていた場合では、婚姻関係への影響度が異なるためです。

ただし、継続的な不倫関係や、不倫相手との間に子どもがいるケース、不倫発覚後も関係を続けているケースなどでは、婚姻関係の破綻が明確と判断されやすくなります。

証拠の重要性

不倫を理由に離婚や慰謝料を請求する場合、「不倫があった」という事実を証明する責任は請求する側にあります。単なる疑いや憶測では法的な主張として認められません。そのため、不倫の証拠収集が離婚手続きにおいて極めて重要な役割を果たすのです。

証拠が不十分な場合、相手が不倫を否定すれば離婚請求が認められなかったり、慰謝料額が大幅に減額されたりするリスクがあります。逆に、確実な証拠があれば交渉を有利に進められ、早期解決につながる可能性が高まります。

2. 不倫による慰謝料請求

慰謝料請求の法的根拠

不倫は配偶者に対する裏切り行為であり、被害を受けた配偶者に深い精神的苦痛を与えます。この精神的苦痛に対して、民法第709条(不法行為)および第710条(財産以外の損害の賠償)に基づいて、慰謝料を請求することができます。

不倫による慰謝料は、単に「浮気をされた」という感情的な問題ではなく、法律で認められた正当な権利です。婚姻関係という法的に保護された権利を侵害された対価として、金銭的な賠償を求めることができるのです。

慰謝料の相場と金額を左右する要素

不倫による慰謝料の相場は、一般的に100万円から300万円程度とされています。ただし、これはあくまで目安であり、個別の事情によって大きく変動します。

慰謝料額を増額する要因

  • 不倫関係の期間が長い(数年単位)
  • 不倫の回数や頻度が多い
  • 不倫相手との間に子どもができた
  • 婚姻期間が長く、それまで円満だった
  • 不倫によって精神疾患を発症した
  • 不倫した側の収入が高い
  • 子どもがいる家庭での不倫
  • 不倫発覚後も関係を続けている

慰謝料額を減額する要因

  • 不倫関係の期間が短い(数回程度)
  • もともと婚姻関係が冷え切っていた
  • 不倫発覚後に深く反省し、関係を清算した
  • 不倫した側の経済力が低い
  • 被害者側にも婚姻関係悪化の原因があった

実際の裁判例を見ると、悪質なケースでは500万円以上の慰謝料が認められた例もあれば、事情によっては100万円を下回る判断がなされることもあります。

誰に対して慰謝料を請求できるか

不倫による慰謝料は、不倫をした配偶者だけでなく、不倫相手に対しても請求することができます。これは、二人が共同で不法行為を行ったと考えられるためです。

配偶者への請求

婚姻関係にある配偶者は、配偶者としての貞操義務に違反しています。離婚する場合もしない場合も、慰謝料請求の対象となります。

不倫相手への請求

不倫相手が「配偶者のいる人」であることを知っていた場合、または知らなかったことに過失がある場合には、慰謝料請求が可能です。ただし、以下のケースでは請求が難しくなります。

  • 不倫相手が既婚であることを知らず、知らなかったことに過失もない
  • もともと婚姻関係が完全に破綻していた(別居が長期間続いているなど)

連帯責任と求償権

配偶者と不倫相手は連帯して責任を負います。つまり、どちらか一方に全額請求することも、両方に分けて請求することも可能です。ただし、二重に受け取ることはできません。

また、一方が支払った場合、もう一方に対して「求償権」として一部を請求できる場合があります。実務上は、経済力のある方から優先的に回収を図ることが多くなります。

慰謝料請求の方法

内容証明郵便による請求

まずは内容証明郵便で慰謝料請求書を送付するのが一般的です。請求の意思表示を明確にし、後日の証拠とすることができます。請求書には以下の内容を記載します。

  • 不倫の事実とその証拠があること
  • 請求する慰謝料の金額と根拠
  • 支払期限と振込先
  • 応じない場合は法的措置を取る旨

当事者間での交渉

内容証明送付後、直接または代理人を通じて交渉を行います。感情的になりやすい場面ですが、冷静に法的根拠に基づいた話し合いを進めることが重要です。

調停による請求

交渉がまとまらない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、その中で慰謝料についても協議します。調停委員が間に入るため、直接顔を合わせずに話し合いを進められます。

訴訟による請求

調停でも合意に至らない場合、最終的には訴訟を提起します。裁判では証拠に基づいて慰謝料の有無や金額が判断されます。判決が出れば、強制執行も可能になります。

慰謝料請求の時効

不倫による慰謝料請求には時効があります。民法改正により、2020年4月以降に発生した不倫については、以下のいずれか早い方が時効となります。

  • 不倫の事実と相手を知ったときから3年
  • 不倫行為のときから20年

時効が成立すると請求権が消滅するため、不倫が発覚したら早めに行動することが大切です。内容証明郵便の送付や調停の申立てによって時効を中断させることができます。

3. 不倫離婚の手続きの流れ

協議離婚:話し合いによる離婚

日本の離婚の約90%は協議離婚です。夫婦間の話し合いで離婚条件に合意し、離婚届を提出すれば離婚が成立します。裁判所を通さないため、最も早く、費用も抑えられる方法です。

協議離婚で決めるべき事項

不倫が原因の離婚でも、以下の点について合意する必要があります。

  • 離婚するかどうか
  • 慰謝料の金額と支払方法
  • 財産分与(婚姻期間中に築いた財産の分配)
  • 子どもがいる場合の親権者
  • 養育費の金額と支払方法
  • 面会交流の方法

公正証書の作成が重要

口頭での約束や簡単な合意書だけでは、後で「言った・言わない」のトラブルになったり、約束が守られなかったりするリスクがあります。

そこで重要なのが「離婚協議書」を公正証書にすることです。公正証書にしておけば、相手が慰謝料や養育費の支払いを怠った場合、裁判を経ずに強制執行(給与の差し押さえなど)が可能になります。

公証役場で公証人が作成する公正証書は、「執行認諾文言」を入れることで、強力な効力を持つ法的文書となります。作成費用は内容により異なりますが、数万円程度です。

調停離婚:家庭裁判所での話し合い

協議では合意できない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。日本では「調停前置主義」が採用されており、いきなり裁判を起こすことはできず、まず調停を経る必要があります。

調停の申立て方法

相手方の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意した家庭裁判所に申し立てます。申立てには以下が必要です。

  • 夫婦関係調整調停(離婚)申立書
  • 夫婦の戸籍謄本
  • 年収を証明する資料(源泉徴収票など)
  • 不倫の証拠資料
  • 申立手数料(収入印紙1200円)
  • 連絡用郵便切手

調停の進行

調停委員2名(通常は男女1名ずつ)と裁判官1名が調停委員会を構成します。夫婦は別々の待合室で待機し、交互に調停室に呼ばれて事情を説明します。直接顔を合わせることは基本的にありません。

調停は通常、月1回程度のペースで開かれ、数回から半年程度かけて話し合いが進められます。

調停成立と調停調書

合意に至れば調停成立となり、「調停調書」が作成されます。調停調書は確定判決と同じ効力を持ち、強制執行も可能です。調停成立後は、10日以内に離婚届を市区町村役場に提出します。

審判離婚:裁判官による判断

調停で大筋の合意はできたものの、細部で折り合いがつかない場合など、裁判官が職権で審判を下すことがあります。ただし、審判に対しては2週間以内に異議を申し立てることができ、異議があると審判は効力を失います。実務上、審判離婚はあまり多くありません。

裁判離婚:判決による離婚

調停が不成立に終わった場合、離婚訴訟を提起することができます。訴訟では、法律で定められた離婚原因(民法770条)の存在を証明しなければなりません。

離婚訴訟の流れ

  1. 訴状の作成・提出
  2. 被告(相手方)による答弁書の提出
  3. 口頭弁論期日での主張・立証
  4. 証拠調べ(書証の提出、証人尋問など)
  5. 和解の試み(裁判所からの和解勧告)
  6. 判決の言い渡し

訴訟は通常、半年から1年以上かかることもあります。弁護士費用も含めると、経済的・時間的負担は大きくなります。

判決と控訴

判決に不服がある場合、2週間以内に控訴できます。控訴審でも決着がつかなければ、さらに上告することも可能ですが、実際には一審判決で確定するケースが多数です。

判決確定後、10日以内に判決謄本と確定証明書を添えて離婚届を提出します。

離婚と同時に解決すべき問題

親権

未成年の子どもがいる場合、離婚届には親権者の記載が必須です。協議離婚では話し合いで決めますが、合意できなければ調停や裁判で家庭裁判所が判断します。

判断基準は「子どもの利益」です。これまでの監護実績、経済力、監護環境、子どもの意思などが総合的に考慮されます。不倫をした側が親権を取れないわけではありませんが、不倫によって子どもの監護が疎かになっていた場合などは不利に働くことがあります。

養育費

親権を持たない親も、子どもの親として養育費を支払う義務があります。金額は双方の収入、子どもの人数・年齢などから、裁判所の「養育費算定表」を参考に決定されます。

養育費は子どもが成人するまで(または大学卒業まで)の長期間にわたるため、公正証書や調停調書で取り決めておくことが重要です。

財産分与

婚姻期間中に夫婦で築いた財産は、離婚時に分配します。原則として2分の1ずつですが、一方に特別な貢献があった場合などは割合が変わることもあります。

不倫をした側も財産分与を請求できます。財産分与は夫婦の協力で形成した財産の清算であり、慰謝料とは性質が異なるためです。ただし、慰謝料と財産分与を一体として考慮し、全体として妥当な金額に調整されることもあります。

年金分割

婚姻期間中の厚生年金記録を分割する制度です。離婚後の老後生活を支える重要な制度で、原則として2分の1ずつ分割されます。離婚成立後2年以内に年金事務所で手続きが必要です。

4. 不倫の証拠収集と実務上の注意点

有効な証拠の種類

不倫の証拠として有効なのは、「配偶者が配偶者以外の異性と性的関係を持った」ことを証明または強く推認させる資料です。

写真・動画

最も直接的で有効な証拠です。

  • ラブホテルに出入りする写真(同じ日に入る写真と出る写真のセット)
  • 不倫相手の自宅に宿泊している様子
  • 車内でキスをしている写真
  • 旅行先でのツーショット写真

肉体関係そのものを撮影することは現実的ではないため、ラブホテルへの出入りなど、「性的関係があったと推認できる状況」を記録することがポイントです。

探偵・調査会社の調査報告書

プロの探偵による尾行調査で作成された報告書は、裁判でも高い証拠価値を持ちます。日時、場所、行動が詳細に記録され、写真も添付されているため、信頼性が高いとされます。

費用は数十万円から100万円以上と高額ですが、確実な証拠を得られる可能性が高い方法です。複数回の不倫の事実を記録することで、証拠としての価値がさらに高まります。

メール・LINE・SNSのやり取り

性的関係を示唆する内容のメッセージは有力な証拠となります。

  • 「昨夜は楽しかった」「また会いたい」などのメッセージと日時の整合性
  • ホテルの予約確認メール
  • 親密な関係を示す写真の送受信履歴
  • 「愛してる」などの愛情表現

ただし、単に「会った」「ご飯を食べた」だけでは肉体関係の証明としては弱いため、他の証拠と組み合わせることが重要です。

クレジットカードの利用明細

ラブホテルやホテル、レストランなどの利用履歴は、不倫相手と会っていた事実を裏付けます。特に、配偶者が「仕事で出張していた」と言っていた日に、別の場所でホテルを利用していたなどの矛盾が見つかれば、有力な証拠となります。

GPSや位置情報の記録

スマートフォンの位置情報履歴や、車に取り付けたGPSの記録も、どこにいたかを証明する補助的な証拠となります。ただし、プライバシー侵害の問題があるため、取得方法には注意が必要です。

通話履歴

頻繁な通話記録は親密な関係を示す状況証拠となります。深夜や早朝の長時間通話、毎日のように連絡を取り合っている事実などは、不倫関係を推認させる材料になります。

ホテルの領収書やレシート

財布や車の中から見つかったラブホテルの領収書、避妊具の購入レシートなども証拠となります。日付が記載されているため、他の証拠と組み合わせることで信憑性が高まります。

第三者の証言

友人や同僚など、二人の親密な関係を目撃した第三者の証言も証拠になり得ます。ただし、証人が法廷で証言することへの心理的負担も考慮する必要があります。

証拠収集の実務的ポイント

複数回の不倫を証明する

1回の不貞行為でも法的には離婚原因となりますが、複数回の証拠があると「継続的な関係」として認定されやすく、慰謝料額も増額される傾向にあります。理想的には3回以上の不倫の事実を証明できる証拠を集めることが望ましいとされます。

日時と場所の特定

「いつ、どこで」という情報が明確な証拠ほど証明力が高くなります。曖昧な情報では相手に言い逃れの余地を与えてしまいます。

証拠の保全

デジタルデータは消去・改変が容易なため、発見したらすぐにコピーや写真撮影で保全します。

  • スマートフォンのメッセージは画面を撮影し、日時が分かるようにする
  • データはクラウドやUSBメモリなど複数箇所に保存
  • 紙の資料は原本を隠し、コピーを保管

時系列の整理

収集した証拠は時系列で整理し、ストーリーが見えるようにします。いつから不倫が始まり、どのように進展したかを説明できる形にまとめることで、証拠としての説得力が増します。

違法な証拠収集のリスク

確実な証拠を得たいあまり、違法な方法で証拠を収集してしまうと、かえって不利な立場に立たされる可能性があります。

盗聴器の設置

配偶者の車や不倫相手の部屋に盗聴器を設置する行為は、プライバシー侵害として違法となる可能性が高く、場合によっては証拠能力が否定されます。また、住居侵入罪に問われるリスクもあります。

不正アクセス

配偶者のメールアカウントやSNSに、本人の許可なくパスワードを使ってログインする行為は、不正アクセス禁止法違反となる可能性があります。刑事罰の対象にもなり得ます。

他人の敷地への侵入

不倫相手の自宅敷地内に無断で立ち入って写真を撮るなどの行為は、住居侵入罪や軽犯罪法違反となる可能性があります。

GPSの無断取付け

配偶者の車に無断でGPSを取り付ける行為は、プライバシー侵害となり得ます。ただし、夫婦共有の車に取り付ける場合などは、グレーゾーンとされています。

許容される範囲

一方で、以下のような行為は一般的に許容されると考えられています。

  • 自宅内の共有スペースにある配偶者の持ち物を確認
  • 夫婦共有のパソコンの閲覧履歴を確認
  • 家計管理の一環としてクレジットカード明細を確認
  • 公道など公共の場所での尾行や撮影

ただし、これらも程度によってはプライバシー侵害と判断される可能性があるため、慎重な判断が必要です。

証拠不十分のリスク

証拠が不十分な場合、以下のようなリスクが生じます。

離婚請求の棄却

裁判で不倫の事実が認定されなければ、離婚請求そのものが棄却される可能性があります。証拠不足で「不倫があったとは認められない」と判断されるケースです。

慰謝料請求の減額・棄却

不倫の事実は認められても、証拠の内容次第で慰謝料額が大幅に減額されたり、請求自体が認められなかったりすることがあります。

相手の反論を許す

証拠が曖昧だと、相手は「単なる友人関係」「仕事の同僚との会食」などと反論しやすくなります。確実な証拠があれば、こうした言い逃れを防げます。

交渉の長期化

証拠が不十分だと、相手が態度を硬化させ、交渉が長期化する傾向があります。確実な証拠があれば、早期の合意につながりやすくなります。

5. 不倫離婚を進める際の留意点

感情と法的判断の分離

配偶者の不倫が発覚したとき、怒り、悲しみ、裏切られたという感情は当然のものです。しかし、離婚手続きを進める際には、感情的な対応と法的に正しい対応を分けて考えることが重要です。

感情的な行動のリスク

  • 不倫相手に感情的に詰め寄る:脅迫と受け取られるリスク
  • SNSで不倫の事実を公表:名誉毀損で逆に訴えられる可能性
  • 配偶者の私物を勝手に処分:器物損壊や財産権の侵害
  • 過度に高額な慰謝料を要求:恐喝と見なされるリスク

感情的になることは自然ですが、行動に移す前に一度冷静になり、法的に問題がないか検討することが大切です。

法的根拠に基づいた主張

離婚や慰謝料の請求は、感情論ではなく法的根拠に基づいて行います。「許せない」という気持ちは理解できますが、裁判所は客観的な証拠と法律の規定に基づいて判断します。

弁護士に相談することで、感情と法的判断を整理し、適切な方針を立てることができます。

離婚後の生活設計

離婚を決断する前に、離婚後の生活について現実的に考えておくことが重要です。

経済面の準備

  • 自分の収入で生活できるか
  • 住居はどうするか(賃貸、実家、住宅ローンの残る自宅など)
  • 子どもがいる場合の教育費の確保
  • 財産分与や慰謝料でどの程度の資金が得られるか

子どもへの影響

  • 親権や監護権の取得
  • 転校の必要性
  • 子どもの心理的ケア
  • 養育費の確保方法

社会的な関係

  • 姓を旧姓に戻すか(子どもとの姓の違い)
  • 住所変更や各種手続き
  • 親族や友人との関係

離婚は人生の大きな転換点です。感情的に「すぐに離婚したい」と思っても、冷静に準備を整えてから進めることで、離婚後の生活を安定させることができます。

公正証書化の重要性

協議離婚や調停離婚で合意した内容は、必ず書面化し、特に金銭の支払いについては公正証書にすることを強く推奨します。

公正証書のメリット

  • 法的に強力な効力を持つ
  • 相手が支払いを怠った場合、裁判を経ずに強制執行可能
  • 公証人が関与するため、内容の法的な妥当性が担保される
  • 原本が公証役場に保管されるため、紛失や改ざんのリスクがない

公正証書に記載すべき内容

  • 離婚の合意
  • 慰謝料の金額、支払方法(一括か分割か)、支払期限
  • 財産分与の内容
  • 養育費の金額、支払日、支払期間、支払方法
  • 面会交流の方法
  • 年金分割の合意
  • 清算条項(これ以外の請求はしない旨)
  • 執行認諾文言(支払いを怠った場合に強制執行を受けることを認める旨)

公正証書作成の手続き

  1. 夫婦で合意内容を確認し、原案を作成
  2. 最寄りの公証役場に連絡し、予約を取る
  3. 必要書類(戸籍謄本、印鑑証明書、実印など)を準備
  4. 公証人と内容を確認し、修正があれば調整
  5. 夫婦双方が公証役場に出向き、公正証書を作成
  6. 費用を支払い、正本・謄本を受け取る

費用は慰謝料や養育費の総額によって異なりますが、一般的には数万円程度です。この費用を惜しんで口約束だけで済ませると、後で数百万円の回収ができなくなるリスクがあります。

子どもの心理的ケア

不倫による離婚は、子どもにも大きな影響を与えます。親の感情的な対立に巻き込まれないよう、配慮が必要です。

子どもへの説明

子どもの年齢に応じて、離婚の事実を適切に説明します。ただし、「お父さん/お母さんが浮気したから」など、一方の親を悪者にする説明は避けるべきです。子どもにとっては両方とも大切な親であり、どちらかを否定することは子ども自身のアイデンティティを傷つけます。

面会交流の重要性

不倫をした親であっても、子どもにとっては親です。子どもの健全な成長のためには、非監護親との定期的な面会交流が重要とされています。感情的に「会わせたくない」と思っても、子どもの利益を最優先に考える姿勢が求められます。

ただし、DVや虐待があった場合、面会交流を制限することも検討すべきです。

カウンセリングの活用

離婚によって子どもが不安定になっている場合、スクールカウンセラーや専門のカウンセラーへの相談も有効です。子どもの気持ちを専門家がサポートすることで、心の傷を最小限に抑えることができます。

弁護士への相談・依頼のメリット

不倫による離婚は法的に複雑な問題を含むため、弁護士に相談・依頼することで多くのメリットがあります。

証拠収集のアドバイス

どのような証拠が有効か、どのように収集すべきか、違法とならない範囲はどこまでかなど、専門的なアドバイスを受けられます。探偵を雇う場合も、弁護士と連携することで効率的な調査が可能になります。

交渉の代理

感情的になりやすい当事者同士の交渉を、弁護士が代理することで冷静かつ効率的に進められます。相手も弁護士が入ることで事の重大性を認識し、真摯な対応をとる可能性が高まります。

適切な慰謝料額の算定

過去の判例や実務の相場を踏まえ、適切な慰謝料額を算定してもらえます。高すぎる請求は相手の反発を招き、低すぎる請求は損をすることになります。

調停・裁判の対応

家庭裁判所での調停や訴訟では、法的な主張・立証が必要です。弁護士が代理人として出席することで、有利な結果を得られる可能性が高まります。特に相手に弁護士がついている場合、こちらも弁護士をつけないと不利になりがちです。

書面作成のサポート

離婚協議書や公正証書の原案作成、内容証明郵便の作成など、法的に有効な書面を作成してもらえます。素人が作った書面では、後で解釈をめぐってトラブルになることがあります。

精神的な負担の軽減

弁護士に任せることで、相手や不倫相手との直接のやり取りから解放され、精神的な負担が大きく軽減されます。不倫発覚後の混乱した状態では、専門家のサポートが大きな助けとなります。

弁護士費用の目安

弁護士費用は事務所や事案の複雑さによって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。

  • 相談料:30分5,000円〜1万円程度(初回無料の事務所も多い)
  • 着手金:20万円〜50万円程度
  • 成功報酬:得られた経済的利益の10〜20%程度

費用は高額に感じられますが、適切な対応により得られる慰謝料や財産分与の増額、養育費の確保などを考えると、結果的にプラスになることが多いです。また、法テラスを利用すれば、収入が一定以下の場合に費用の立替制度を利用できます。

不倫相手への対応

配偶者だけでなく、不倫相手にも慰謝料請求する場合、適切な対応が必要です。

直接対決は避ける

感情的に不倫相手に詰め寄ると、脅迫や恐喝と受け取られるリスクがあります。特に職場に押しかけたり、家族に知らせると脅したりする行為は、逆に損害賠償請求を受ける可能性があります。

内容証明郵便で正式に請求

弁護士名で内容証明郵便を送ることで、法的な請求であることを明確にします。不倫相手も事の重大性を認識し、真摯に対応する可能性が高まります。

示談交渉

多くの場合、不倫相手は事態の早期収拾を望むため、示談に応じる傾向があります。慰謝料額や支払方法について交渉し、合意できれば示談書を作成します。

示談書に盛り込むべき事項

  • 慰謝料の金額と支払方法
  • 今後一切の接触禁止条項(二度と配偶者と会わない、連絡しない)
  • 口外禁止条項(不倫の事実を第三者に話さない)
  • 清算条項(これ以外の請求はしない旨)

接触禁止条項は特に重要です。慰謝料を支払った後も不倫関係が続くようでは意味がありません。違反した場合のペナルティ(違約金)を設定することもあります。

離婚を選択しない場合の対応

不倫が発覚しても、子どものためや経済的理由、あるいは関係修復を望んで離婚しない選択をする人もいます。

関係修復のためのカウンセリング

夫婦カウンセリングを受けることで、不倫に至った背景や夫婦関係の問題を整理し、今後の関係修復を図ることができます。専門家のサポートを受けることで、感情的な対立を避け、建設的な話し合いが可能になります。

誓約書の作成

離婚しない場合でも、配偶者に誓約書を書いてもらうことを検討します。

  • 不倫の事実を認める
  • 深く反省し、二度と不倫しないことを誓約
  • 不倫相手と完全に関係を断つ
  • 再度不倫した場合は離婚に同意し、慰謝料○○円を支払う

この誓約書は、将来的に再び不倫した場合の重要な証拠となります。

慰謝料請求は可能

離婚しない場合でも、配偶者や不倫相手に慰謝料請求することは可能です。ただし、離婚する場合よりも慰謝料額は低くなる傾向があります(婚姻関係が継続しているため)。

タイミングと戦略

離婚を進める際には、タイミングや戦略も重要です。

証拠が揃ってから行動

不倫を疑っても、確実な証拠が揃う前に問い詰めると、相手が警戒して証拠を隠滅する可能性があります。十分な証拠を収集してから、一気に行動に移すことが効果的です。

経済的準備を整える

特に専業主婦(夫)の場合、離婚後の生活基盤を整えてから離婚を切り出す方が有利です。就職先を見つける、資格を取得する、実家のサポートを確保するなど、準備を整えておきます。

財産の把握

離婚を切り出す前に、夫婦の財産を把握しておきます。預金通帳のコピー、不動産の登記簿、株式や保険の証券などを確認・保全しておくことで、財産分与の交渉が有利になります。

離婚を切り出した後では、相手が財産を隠したり、使い込んだりするリスクがあります。

子どもの監護実績

親権を希望する場合、日頃から主たる監護者として子どもの世話をしている実績が重要です。保育園や学校の送迎、病院への付き添い、PTAへの参加などの記録を残しておくと有利になります。

6. まとめ

不倫による離婚は、感情的にも法的にも複雑な問題を伴います。しかし、適切な知識と準備をもって臨むことで、自分の権利を守り、新しい人生への一歩を踏み出すことができます。

本記事の重要ポイント

不倫の法的位置づけ

不倫は民法770条1項1号に規定される法定離婚原因であり、離婚請求の正当な理由となります。また、不法行為として慰謝料請求の対象にもなります。配偶者の不倫によって精神的苦痛を受けた場合、法律はあなたを保護します。

慰謝料請求の実際

慰謝料の相場は100万円〜300万円程度ですが、不倫の悪質性、婚姻期間、子どもの有無などによって増減します。請求先は不倫した配偶者だけでなく、不倫相手にも及びます。両者は連帯して責任を負うため、経済力のある方から優先的に回収することも可能です。

離婚手続きの流れ

日本の離婚手続きは、協議離婚→調停離婚→裁判離婚という段階を踏みます。約90%は協議離婚で解決しますが、合意できない場合は家庭裁判所の手続きを利用します。どの段階であっても、合意内容は公正証書化することで、将来の履行確保が可能になります。

証拠の決定的重要性

不倫の事実を証明する証拠がなければ、離婚請求も慰謝料請求も認められません。ラブホテルへの出入り写真、探偵の調査報告書、親密なメッセージのやり取りなど、肉体関係を推認させる証拠を複数確保することが重要です。ただし、違法な方法での証拠収集は避けなければなりません。

専門家のサポート

離婚は人生の重大な決断です。法的知識がないまま進めると、本来得られるはずの権利を失ったり、不利な条件で合意してしまったりするリスクがあります。弁護士に相談することで、証拠収集、交渉、調停・裁判対応がスムーズになり、精神的な負担も軽減されます。

離婚後の生活設計

離婚は終わりではなく、新しい人生の始まりです。経済面、子どもの養育、住居など、離婚後の生活を現実的に考え、準備を整えることが大切です。慰謝料や養育費の確保、財産分与の適切な配分は、将来の生活安定に直結します。

最後に伝えたいこと

配偶者の不倫は、深い心の傷を残します。信じていた人に裏切られた悲しみ、怒り、自尊心の低下など、様々な感情に襲われるでしょう。しかし、その感情に流されて衝動的に行動すると、法的に不利な立場に立たされることがあります。

まずは冷静になり、信頼できる専門家に相談することから始めてください。弁護士はあなたの権利を守り、最善の解決策を一緒に考えてくれます。また、心理的なサポートが必要な場合は、カウンセラーに相談することも有効です。

離婚するかしないかの選択は、あなた自身が決めることです。周囲の意見に流されず、自分と子ども(いる場合)の将来を最優先に考えて判断してください。どちらの選択をするにしても、適切な法的手続きを踏むことで、納得のいく解決が得られます。

不倫による離婚は辛い経験ですが、同時に新しい人生を始めるチャンスでもあります。適切な準備と専門家のサポートによって、あなたが望む未来を手に入れることができます。一人で抱え込まず、勇気を出して第一歩を踏み出してください。

佐々木裕介

佐々木 裕介(弁護士・行政書士)

「失敗しない子連れ離婚」をテーマに各種メディア、SNS等で発信している現役弁護士。離婚の相談件数は年間200件超。協議離婚や調停離婚、養育費回収など、離婚に関する総合的な法律サービスを提供するチャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所を運営。

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