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  4. 【保存版】公正証書テンプレートと記載例|正しく作成するためのポイントと注意点

【保存版】公正証書テンプレートと記載例|正しく作成するためのポイントと注意点

2025 7/16
Uncategorized
2025年7月16日
目次
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1. はじめに|公正証書のテンプレートが必要なあなたへ

離婚協議書の作成、養育費の取り決め、金銭貸借契約など、人生の重要な局面で「公正証書を作りたい」というニーズは決して少なくありません。しかし、いざ公証役場に相談に行こうと思っても、「何を準備すればいいのか分からない」「どんな内容を記載すればいいのか不安」という声をよく耳にします。

公正証書は、公証人という法律の専門家が関与して作成される公的な文書です。普通の契約書とは異なり、法的な証明力と執行力を持つため、トラブルが発生した際の強力な証拠となります。特に、強制執行認諾文言が付いた公正証書であれば、裁判を経ることなく強制執行手続きに移ることが可能です。

しかし、公正証書の作成には一定の時間とコストがかかります。公証役場での打ち合わせをスムーズに進めるためには、事前に内容を整理し、記載したい項目を明確にしておくことが重要です。

本記事では、公正証書のテンプレートと具体的な記載例を紹介するとともに、作成時の注意点や手続きの流れについて詳しく解説します。これから公正証書を作成しようと考えている方にとって、実用的なガイドラインとなることを目指しています。

ただし、ここで紹介するテンプレートは、あくまで参考例です。実際の公正証書作成においては、必ず公証人との相談を通じて、個々の事情に応じた内容調整を行う必要があります。

2. 公正証書とは?テンプレートを使う意味

2.1 公正証書の基本概念

公正証書とは、法務大臣が任命した公証人が、法律に従って作成する公的な文書です。私人間で作成する一般的な契約書とは異なり、国家機関である公証人が関与することで、高い証明力と執行力を持つ特徴があります。

公正証書の最大の特徴は、その「公的性格」にあります。公証人は、元裁判官や元検察官などの法律実務経験者から選任され、中立公正な立場で文書を作成します。そのため、公正証書に記載された内容は、法的に高い信頼性を持つことになります。

2.2 一般的な契約書との違い

一般的な契約書は、当事者間で自由に作成できますが、その内容が法的に適切であるかどうかは保証されません。また、相手方が約束を守らなかった場合、まず裁判を起こして債務名義を取得する必要があります。

これに対し、公正証書は作成段階で公証人による法的チェックが入るため、内容の適法性が担保されます。さらに、強制執行認諾文言が付された公正証書であれば、相手方が債務を履行しない場合、裁判を経ることなく直ちに強制執行手続きに移行できます。

2.3 テンプレートを使用する意義

公正証書のテンプレートを事前に準備する意義は、主に以下の点にあります。

まず、公証役場での打ち合わせ時間を短縮できることです。公証人との相談は予約制であり、限られた時間内で内容を決定する必要があります。事前にテンプレートを用意しておけば、具体的な条項について効率的に議論できます。

次に、記載漏れを防ぐことができます。公正証書に記載されていない事項については、後日トラブルになる可能性があります。テンプレートを参考にすることで、必要な項目を網羅的に検討できます。

また、作成費用を抑える効果もあります。公証人手数料は基本的に定額ですが、相談回数が多くなれば、それに応じて時間的コストも増加します。テンプレートによる事前準備は、このような無駄を省くことにつながります。

2.4 公正証書の種類と適用場面

公正証書は、様々な場面で活用されています。代表的なものとして、以下のような類型があります。

離婚協議書:養育費、慰謝料、財産分与などの取り決めを記載

金銭貸借契約書:借入金の返済条件や保証に関する取り決め

不動産売買契約書:不動産の売買代金や引渡し条件

遺言書:財産の相続に関する遺言者の意思表示

任意後見契約書:将来の判断能力低下に備えた代理人契約

それぞれの類型において、記載すべき項目や注意点が異なるため、適切なテンプレートを選択することが重要です。

3. 公正証書の基本構成と書き方のルール

3.1 公正証書の基本構成要素

公正証書の構成は、ある程度定型化されています。一般的には、以下の要素から構成されます。

標題:文書の性質を明確にする表題

当事者情報:氏名、住所、生年月日、職業など

前文:契約の背景や目的を簡潔に記載

本文:具体的な合意内容を条項別に記載

強制執行認諾文言:強制執行を受けることへの同意

作成日時・場所:公正証書を作成した日時と公証役場

署名・押印:当事者と公証人の署名・押印

3.2 当事者情報の記載方法

当事者情報は、公正証書の効力に直接関わる重要な要素です。以下の点に注意して記載する必要があります。

氏名:戸籍上の正式な氏名を記載します。通称名や旧姓は使用できません。

住所:住民票上の住所を正確に記載します。居住実態と異なる場合でも、住民票上の住所を優先します。

生年月日:和暦で記載するのが一般的です。

職業:具体的な職業名を記載します。無職の場合は「無職」と記載します。

法人が当事者となる場合は、法人名、所在地、代表者氏名を記載します。この場合、法人の登記事項証明書が必要になります。

3.3 本文の記載ルール

公正証書の本文は、合意内容を条項別に整理して記載します。以下の原則に従って作成します。

明確性:あいまいな表現は避け、具体的で明確な内容とします。

完全性:当事者間の合意事項を漏れなく記載します。

実現可能性:現実的に履行可能な内容とします。

適法性:法令に反する内容は記載できません。

条項の番号付けは、「第1条」「第2条」という形式が一般的です。各条項には見出しを付けると、内容が分かりやすくなります。

3.4 強制執行認諾文言の重要性

強制執行認諾文言は、公正証書の最大の特徴である「即座の強制執行」を可能にする重要な文言です。一般的には以下のような表現を用います。

「債務者は、本契約に基づく金銭債務について、強制執行を受けても異議のない旨を陳述した。」

この文言がない場合、公正証書であっても強制執行を行うためには別途裁判が必要になります。ただし、すべての債務について強制執行認諾文言を付することができるわけではありません。金銭債務以外の債務(例:不動産の引渡し債務)については、原則として認められません。

3.5 作成日時と署名・押印

公正証書の作成日時は、公証人が文書を完成させた日時を記載します。当事者が合意した日とは異なる場合があります。

署名・押印については、当事者本人が公証人の面前で行う必要があります。代理人による署名・押印の場合は、正当な代理権を証明する書類(委任状など)が必要です。

印鑑については、実印の使用が原則ですが、公証人が本人確認を行っている場合は、認印でも構いません。ただし、後日のトラブルを避けるため、実印の使用を推奨します。

4. 公正証書テンプレート【金銭貸借の場合】

4.1 金銭貸借契約における公正証書の特徴

金銭貸借契約の公正証書は、個人間の貸し借りから事業資金の融資まで、幅広い場面で活用されています。特に、返済が滞った場合の回収手段として、強制執行認諾文言付きの公正証書は大きな効力を発揮します。

金銭貸借契約の公正証書を作成する際は、以下の要素を明確に定める必要があります。

借入金額:元本の具体的な金額

返済方法:一括返済か分割返済か

返済期日:具体的な返済日

利息:利息の有無と利率

遅延損害金:返済が遅れた場合の損害金

保証人:保証人の有無と責任の範囲

4.2 基本的な金銭貸借契約テンプレート

以下は、個人間の金銭貸借契約における公正証書の基本的なテンプレートです。

金銭消費貸借契約公正証書

貸主(債権者)
氏名:○○ ○○
住所:〒000-0000 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
生年月日:昭和○○年○月○日

借主(債務者)
氏名:△△ △△  
住所:〒000-0000 △△県△△市△△町△丁目△番△号
生年月日:昭和△△年△月△日

第1条(借入金額)
借主は、貸主から金○○万円を借り受けた。

第2条(返済方法)
借主は、前条の借入金を令和○年○月○日までに一括して返済する。

第3条(利息)
借主は、借入金に対し年○%の割合による利息を支払う。

第4条(返済場所)
借主は、貸主の指定する銀行口座(○○銀行○○支店 普通預金 口座番号○○○○○○○ 名義○○○○)に振込みの方法により返済する。振込手数料は借主の負担とする。

第5条(期限の利益の喪失)
借主について次の各号のいずれかに該当する事由が生じたときは、借主は当然に期限の利益を失い、直ちに元利金を返済しなければならない。
(1)本契約に基づく債務の履行を怠ったとき
(2)借主の信用状態が著しく悪化したとき
(3)借主が所在不明となったとき

第6条(遅延損害金)
借主が返済を遅滞したときは、遅滞した元本に対し年○%の割合による遅延損害金を支払う。

第7条(強制執行認諾)
借主は、本契約に基づく金銭債務について、強制執行を受けても異議のない旨を陳述した。

令和○年○月○日
○○公証役場において作成

貸主 ○○ ○○  印
借主 △△ △△  印
公証人 □□ □□ 印

4.3 分割返済の場合のテンプレート

まとまった金額の貸し借りでは、分割返済を選択することも多くあります。この場合のテンプレートは以下のようになります。

第2条(返済方法)
借主は、前条の借入金を次の通り分割して返済する。
令和○年○月○日から令和○年○月○日まで、毎月○日に金○万円ずつ、合計○回に分割して返済する。

第3条(返済場所)
借主は、貸主の指定する銀行口座(○○銀行○○支店 普通預金 口座番号○○○○○○○ 名義○○○○)に振込みの方法により返済する。振込手数料は借主の負担とする。

第4条(期限の利益の喪失)
借主が分割金の支払いを○回以上怠ったときは、借主は当然に期限の利益を失い、直ちに残元利金を一括返済しなければならない。

4.4 保証人付きの場合のテンプレート

借主の信用力に不安がある場合、保証人を付けることがあります。この場合は、保証人に関する条項を追加します。

保証人
氏名:◇◇ ◇◇
住所:〒000-0000 ◇◇県◇◇市◇◇町◇丁目◇番◇号
生年月日:昭和◇◇年◇月◇日

第○条(保証)
保証人は、借主の本契約に基づく一切の債務について連帯保証する。

第○条(強制執行認諾)
保証人は、保証債務について、強制執行を受けても異議のない旨を陳述した。

保証人 ◇◇ ◇◇ 印

4.5 利息制限法への配慮

金銭貸借契約では、利息制限法の規定を遵守する必要があります。個人間の貸し借りであっても、以下の利率を超える利息は無効となります。

  • 元本10万円未満:年20%
  • 元本10万円以上100万円未満:年18%
  • 元本100万円以上:年15%

公正証書においても、これらの制限を超える利息条項は記載できません。適法な利率の範囲内で設定する必要があります。

5. 公正証書テンプレート【離婚・養育費の場合】

5.1 離婚協議書における公正証書の意義

離婚協議において公正証書を作成する最大の意義は、養育費や慰謝料の支払いに関する取り決めを法的に確実なものにすることです。厚生労働省の調査によると、離婚後の養育費の受給率は約24%と低く、多くの場合で支払いが滞っているのが現実です。

公正証書を作成することで、以下のメリットが得られます。

強制執行の可能性:支払いが滞った場合、裁判を経ることなく給与差押えなどの強制執行が可能 心理的抑制効果:支払義務者に対する心理的なプレッシャー 証拠能力:離婚条件の合意内容を公的に証明

5.2 基本的な離婚協議書テンプレート

離婚協議書公正証書

夫
氏名:○○ ○○
住所:〒000-0000 ○○県○○市○○町○丁目○番○号
生年月日:昭和○○年○月○日

妻  
氏名:△△ △△
住所:〒000-0000 △△県△△市△△町△丁目△番△号
生年月日:昭和△△年△月△日

第1条(離婚の合意)
夫と妻は、協議離婚することに合意した。

第2条(親権者の指定)
夫妻間の長男○○(平成○○年○月○日生)の親権者を妻と定める。

第3条(養育費)
夫は、長男○○の養育費として、令和○年○月から長男が満20歳に達する日の属する月まで、毎月末日限り、金○万円を妻名義の銀行口座(○○銀行○○支店 普通預金 口座番号○○○○○○○)に振り込む方法により支払う。振込手数料は夫の負担とする。

第4条(養育費の変更)
前条の養育費は、子の病気、進学その他特別の事情が生じた場合、当事者間の協議により変更することができる。

第5条(面会交流)
夫と長男○○との面会交流については、子の福祉を最優先とし、原則として月1回程度、事前に妻と協議の上実施する。

第6条(慰謝料)
夫は、妻に対し慰謝料として金○○万円を支払う義務があることを認め、これを令和○年○月○日限り、妻名義の前記銀行口座に振り込む方法により支払う。

第7条(財産分与)
夫妻間には、前条の慰謝料を除き、財産分与すべき財産はない。

第8条(清算条項)
夫妻は、本協議書に定めるもののほか、夫妻間には何らの債権債務がないことを相互に確認する。

第9条(強制執行認諾)
夫は、第3条および第6条の金銭債務について、強制執行を受けても異議のない旨を陳述した。

令和○年○月○日
○○公証役場において作成

夫 ○○ ○○  印
妻 △△ △△  印  
公証人 □□ □□ 印

5.3 養育費に関する詳細な取り決め

養育費の取り決めは、離婚後の子どもの生活に直結する重要な事項です。以下の点を具体的に定める必要があります。

支払期間:子どもが何歳まで養育費を支払うか 支払金額:月額の具体的な金額 支払方法:振込み、手渡しなどの方法 支払期日:毎月の支払日 増額・減額事由:将来の事情変更に対する取り決め

第3条(養育費の詳細)
(1)夫は、長男○○の養育費として、令和○年○月から長男が大学を卒業する日の属する月(ただし、満22歳に達する日の属する月を限度とする)まで、毎月25日限り、金○万円を支払う。
(2)前項の養育費は、夫の年収が○○万円以上増加した場合、または○○万円以上減少した場合は、当事者間の協議により変更することができる。
(3)長男が私立学校に進学する場合の入学金・学費については、別途協議する。

5.4 面会交流に関する取り決め

面会交流は、子どもの福祉を最優先に考慮して取り決める必要があります。具体的すぎる取り決めは後日の変更に対応できない場合があるため、適度な柔軟性を持たせることが重要です。

第5条(面会交流の詳細)
(1)夫と長男○○との面会交流は、原則として月1回、第○土曜日の午前10時から午後6時までとする。
(2)面会交流の実施については、子の学校行事、病気その他の事情により、事前に妻と協議の上変更することができる。
(3)夫は、面会交流時に子を妻の住所地以外に宿泊させる場合は、事前に妻の承諾を得るものとする。
(4)夫は、面会交流に要する交通費その他の費用を負担する。

5.5 慰謝料・財産分与に関する取り決め

慰謝料と財産分与は、離婚原因や夫婦の財産状況により大きく異なります。以下の点を明確に定める必要があります。

慰謝料の有無と金額:離婚原因に応じた慰謝料 財産分与の方法:不動産、預貯金、退職金などの分与方法 債務の負担:住宅ローンなどの債務の負担者 清算条項:その他の債権債務がないことの確認

第6条(財産分与の詳細)
(1)夫名義の○○銀行○○支店の普通預金(口座番号○○○○○○○)の残高○○万円のうち、○○万円を妻に分与する。
(2)夫名義の不動産(所在:○○県○○市○○町○丁目○番○号)については、夫が単独で所有し、妻は一切の権利を放棄する。
(3)前項の不動産に係る住宅ローン債務○○万円については、夫が単独で負担する。

5.6 年金分割に関する取り決め

離婚時の年金分割は、婚姻期間中の厚生年金の記録を分割する制度です。合意分割の場合は、按分割合を定める必要があります。

第○条(年金分割)
夫妻は、婚姻期間中の厚生年金の記録につき、妻を第1号改定者、夫を第2号改定者として、按分割合を○分の○と定めて年金分割を行う。

6. テンプレートを使用する際の注意点

6.1 テンプレートの限界を理解する

公正証書のテンプレートは、あくまで一般的な条項をまとめた参考例です。個々の事情に応じたカスタマイズが必要であり、テンプレートをそのまま使用することは適切ではありません。

個別事情への対応:当事者の具体的な状況に応じた調整が必要 法改正への対応:法律の改正により、条項の見直しが必要な場合がある 判例の発展:新しい判例により、従来の条項が不適切になる場合がある

6.2 自己作成の限界

公正証書は、公証人による法的チェックを経て作成されますが、当事者が持参する原案の段階で重大な誤りがあると、修正に時間を要する場合があります。

法的知識の不足:法律の素人が作成した条項には、法的な問題が含まれる可能性 表現の不適切さ:あいまいな表現により、後日の解釈でトラブルが発生する可能性 必要条項の欠落:重要な条項が欠落している可能性

6.3 強制執行認諾文言の適用範囲

強制執行認諾文言は、すべての債務について適用できるわけではありません。以下の制限があります。

金銭債務のみ:原則として金銭の支払債務のみが対象 将来債務の制限:将来発生する可能性のある債務は制限される場合がある 公序良俗違反:公序良俗に反する債務は認められない

6.4 具体性と明確性の確保

公正証書の条項は、具体的で明確な表現を用いる必要があります。あいまいな表現は、後日のトラブルの原因となります。

避けるべき表現:

  • 「できる限り」「なるべく」などの程度を表す表現
  • 「適宜」「適切に」などの抽象的な表現
  • 「相当額」「相当期間」などの不確定な表現

推奨される表現:

  • 具体的な金額:「金○○万円」
  • 具体的な期日:「令和○年○月○日」
  • 具体的な方法:「○○銀行○○支店の普通預金口座への振込み」

6.5 当事者の真意の確認

公正証書の作成に際しては、当事者の真意を確認することが重要です。以下の点に注意が必要です。

強制や詐欺の有無:一方当事者による強制や詐欺がないか 錯誤の有無:条項の内容について誤解がないか 行為能力の確認:当事者に適切な判断能力があるか

6.6 プライバシーの保護

公正証書は公文書として保存されるため、プライバシーの保護にも配慮が必要です。

個人情報の取扱い:必要最小限の個人情報のみを記載 秘密保持:公証人には守秘義務があるが、当事者間での情報管理も重要 第三者への開示:正当な理由なく第三者に開示してはならない

7. 公証役場に持参する前のチェックリスト

7.1 書面の準備に関するチェック

公証役場に相談に行く前に、以下の書面を準備しましょう。

□ 公正証書の原案

  • 当事者情報(氏名、住所、生年月日)が正確に記載されているか
  • 合意内容が具体的で明確に記載されているか
  • 強制執行認諾文言が適切に記載されているか
  • 誤字脱字がないか

□ 本人確認書類

  • 運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど
  • 有効期限が切れていないか
  • 住所に変更がないか

□ 印鑑

  • 実印を準備(認印でも可能だが実印を推奨)
  • 印鑑登録証明書(必要に応じて)

7.2 内容に関するチェック

□ 金額・数値の確認

  • 金額に誤りがないか
  • 利率が利息制限法の範囲内か
  • 支払期日が現実的か

□ 当事者情報の正確性

  • 戸籍上の氏名と一致しているか
  • 住民票上の住所と一致しているか
  • 生年月日が正確か

□ 合意内容の完全性

  • 当事者間の合意事項が全て記載されているか
  • 将来のトラブルを防ぐための条項が含まれているか
  • 例外的な事情に対する対応が定められているか

7.3 法的要件に関するチェック

□ 強制執行認諾文言

  • 金銭債務について適切に記載されているか
  • 「強制執行を受けても異議のない旨を陳述した」という文言が含まれているか
  • 対象となる債務が具体的に特定されているか

□ 法令遵守

  • 利息制限法等の法律に違反していないか
  • 公序良俗に反する内容が含まれていないか
  • 強行法規に抵触していないか

□ 実現可能性

  • 債務の履行が現実的に可能か
  • 相手方の支払能力に見合った内容か
  • 履行期間が適切か

7.4 手続きに関するチェック

□ 公証役場の予約

  • 事前予約が取れているか
  • 必要書類について確認済みか
  • 手数料の概算を確認済みか

□ 代理人の場合

  • 委任状が適切に作成されているか
  • 代理権限が明確に定められているか
  • 代理人の本人確認書類が準備されているか

□ 法人の場合

  • 登記事項証明書が準備されているか
  • 代表者の資格証明書があるか
  • 会社の意思決定手続きが適切に行われているか

7.5 最終確認事項

□ 当事者の意思確認

  • 全ての当事者が内容を理解し同意しているか
  • 強制や詐欺等の不当な圧力がないか
  • 重要事項について十分な説明を受けているか

□ 緊急時の対応

  • 連絡先が明確になっているか
  • 急な変更に対する対応方法が決まっているか
  • 公証役場への連絡方法を確認済みか

8. テンプレート活用のメリットと限界

8.1 テンプレート活用のメリット

8.1.1 時間効率の向上

公正証書のテンプレートを活用する最大のメリットは、作成時間の大幅な短縮です。一から条項を考える必要がなく、必要な項目が体系的に整理されているため、効率的に原案を作成できます。

公証役場での相談時間も短縮されます。公証人は多忙であり、限られた時間内で内容を決定する必要があります。事前にテンプレートベースで原案を準備することで、公証人との打ち合わせを効率的に進めることができます。

8.1.2 記載漏れの防止

テンプレートには、一般的に必要とされる条項が網羅的に含まれています。これにより、重要な事項の記載漏れを防ぐことができます。

特に以下の項目は、記載漏れが発生しやすい項目です:

  • 遅延損害金に関する条項
  • 期限の利益喪失事由
  • 管轄裁判所の定め
  • 清算条項

8.1.3 法的リスクの軽減

適切に作成されたテンプレートは、法的な問題を回避するための配慮がなされています。利息制限法等の法令遵守、判例に基づく条項の修正など、法的リスクを軽減する効果があります。

8.1.4 費用の削減

テンプレートを使用することで、弁護士等の専門家への依頼費用を削減できる場合があります。また、公証役場での相談回数を減らすことで、間接的なコストも削減できます。

8.2 テンプレート活用の限界

8.2.1 個別事情への対応不足

テンプレートは一般的な条項をまとめたものであり、個々の事情に応じた細かな調整には限界があります。

複雑な財産関係:多数の不動産や事業資産がある場合 特殊な職業:芸能人、プロスポーツ選手など特殊な収入形態 国際的要素:外国人との契約、海外資産の処理

8.2.2 法改正への対応遅れ

法律の改正や新しい判例により、テンプレートの内容が不適切になる場合があります。定期的な更新が必要ですが、個人でこれを行うのは困難です。

8.2.3 専門的判断の必要性

テンプレートでは対応できない専門的な判断が必要な場合があります。

税務上の取扱い:贈与税、所得税等の税務処理 他の法律との関係:労働法、会社法等との調整 将来の制度変更:年金制度、税制の変更への対応

8.3 テンプレートの種類と特徴

8.3.1 無料テンプレート

インターネット上で提供される無料のテンプレートは、手軽に利用できる反面、以下の問題があります:

メリット:

  • 無料で利用可能
  • 多様な種類が存在
  • 即座に利用開始可能

デメリット:

  • 法的な正確性に疑問
  • 更新が不定期
  • サポート体制が不十分

8.3.2 有料テンプレート

法律事務所や専門機関が提供する有料テンプレートは、品質は高いものの、費用がかかります:

メリット:

  • 法的チェックが行われている
  • 定期的な更新がある
  • サポート体制が充実

デメリット:

  • 費用が発生
  • 利用条件に制限がある場合
  • 過度に複雑な場合がある

8.3.3 専門家作成テンプレート

弁護士、司法書士等の専門家が作成したテンプレートは、最も信頼性が高いといえます:

メリット:

  • 高い専門性
  • 個別事情への対応可能
  • 継続的なサポート

デメリット:

  • 高額な費用
  • 専門家の選定が必要
  • 時間的制約

8.4 適切なテンプレートの選択方法

8.4.1 契約の性質による選択

契約の性質や複雑さに応じて、適切なテンプレートを選択する必要があります:

単純な契約:金銭貸借、賃貸借等 → 基本的なテンプレートで対応可能

複雑な契約:事業承継、複雑な財産分与等 → 専門家作成のテンプレートが必要

特殊な契約:国際契約、知的財産関連等 → 専門家への依頼が必要

8.4.2 当事者の知識レベルによる選択

当事者の法的知識レベルに応じた選択も重要です:

法律知識が豊富:詳細なテンプレートも活用可能 一般的知識レベル:平易な表現のテンプレートが適切 知識が不足:専門家のサポートが必要

9. よくある質問(FAQ)

9.1 テンプレートの使用に関するFAQ

Q1: テンプレートをそのまま使用してもよいですか?

A1: テンプレートは参考例であり、そのまま使用することは推奨されません。必ず個々の事情に応じた調整を行い、公証人との相談を通じて適切な内容に修正してください。特に金額、期日、当事者情報等は必ず実際の内容に変更する必要があります。

Q2: テンプレートを修正する際の注意点は何ですか?

A2: 以下の点に注意して修正してください:

  • 法令に違反する内容にしないこと
  • あいまいな表現を避け、具体的で明確な表現を使用すること
  • 当事者の真意を正確に反映させること
  • 強制執行認諾文言を適切に記載すること

Q3: 複数のテンプレートを組み合わせて使用できますか?

A3: 可能ですが、条項間の整合性に注意が必要です。異なるテンプレートから条項を組み合わせる場合、条項番号の重複、内容の矛盾、用語の不統一等が発生する可能性があります。組み合わせる際は、全体の構成を確認し、必要に応じて調整してください。

9.2 公正証書作成に関するFAQ

Q4: 公正証書の作成にはどのくらい時間がかかりますか?

A4: 事前準備の状況により異なりますが、一般的には以下のような流れになります:

  • 初回相談:1-2時間
  • 内容調整:1-2週間
  • 最終確認・作成:1-2時間

複雑な内容の場合は、さらに時間を要する場合があります。

Q5: 公正証書の作成費用はどのくらいですか?

A5: 公証人手数料は、目的の価額に応じて法定されています:

  • 100万円以下:5,000円
  • 100万円超200万円以下:7,000円
  • 200万円超500万円以下:11,000円
  • 500万円超1,000万円以下:17,000円

この他に、謄本代等の実費が必要です。

Q6: 公正証書作成後に内容を変更できますか?

A6: 公正証書作成後の内容変更は原則として困難です。軽微な誤字脱字等の場合は訂正が可能ですが、実質的な内容変更には当事者全員の同意が必要で、新たな公正証書の作成が必要になることが多いです。

9.3 強制執行に関するFAQ

Q7: 強制執行認諾文言があれば必ず強制執行できますか?

A7: 強制執行認諾文言があっても、以下の場合は強制執行が制限される可能性があります:

  • 債務者に執行すべき財産がない場合
  • 債務者が破産等の手続きに入った場合
  • 執行対象財産が差押禁止財産の場合

Q8: 強制執行の手続きはどのように行いますか?

A8: 以下の手続きが必要です:

  1. 公正証書の執行文の付与(公証役場)
  2. 債務者への送達(公証役場)
  3. 執行裁判所への申立て(地方裁判所)
  4. 強制執行の実施

Q9: 強制執行にかかる費用はどのくらいですか?

A9: 主な費用は以下の通りです:

  • 執行文付与手数料:1,400円
  • 送達手数料:1,400円+郵送料
  • 執行申立手数料:4,000円
  • 執行官手数料:6,500円~

この他に、予納金等が必要な場合があります。

9.4 特殊なケースに関するFAQ

Q10: 外国人との契約でも公正証書を作成できますか?

A10: 可能ですが、以下の点に注意が必要です:

  • 日本語での作成が原則
  • 外国語併記も可能(翻訳費用が必要)
  • 外国人の本人確認書類が必要
  • 印鑑の代わりに署名も可能

Q11: 法人が当事者の場合の注意点は何ですか?

A11: 以下の書類が必要です:

  • 登記事項証明書(3か月以内)
  • 代表者の資格証明書
  • 会社の意思決定を証する書類(取締役会議事録等)
  • 代表者の本人確認書類

Q12: 公正証書に印紙は必要ですか?

A12: 公正証書自体には印紙は不要です。ただし、公正証書の謄本を取得する際は、印紙税が課税される場合があります。

9.5 トラブル対応に関するFAQ

Q13: 相手方が公正証書の作成を拒否した場合はどうすればよいですか?

A13: 公正証書の作成には当事者全員の同意が必要です。拒否された場合の対応方法:

  • 公正証書作成の必要性を説明
  • 調停等の利用を検討
  • 弁護士等の専門家への相談

Q14: 公正証書に記載されていない事項でトラブルが発生した場合はどうなりますか?

A14: 公正証書に記載されていない事項については、以下の対応が考えられます:

  • 当事者間での協議
  • 調停の申立て
  • 訴訟の提起

このため、公正証書作成時にはできるだけ詳細な取り決めを行うことが重要です。

Q15: 公正証書の効力に疑問がある場合はどうすればよいですか?

A15: 以下の方法で確認・対応できます:

  • 公証役場での相談
  • 弁護士等の専門家への相談
  • 公正証書無効確認訴訟の提起(重大な瑕疵がある場合)

10. まとめ|テンプレートで準備、作成は専門家と

10.1 テンプレート活用の基本姿勢

公正証書のテンプレートは、作成プロセスを効率化し、記載漏れを防ぐ有効なツールです。しかし、テンプレートはあくまで「出発点」であり、個々の事情に応じた調整が不可欠です。

重要なのは、テンプレートを盲目的に信頼するのではなく、「参考資料」として活用することです。自分の状況に適した内容かどうかを慎重に検討し、必要に応じて専門家の助言を求めることが重要です。

10.2 公正証書作成の流れと準備

効果的な公正証書作成のためには、以下のステップを踏むことを推奨します:

ステップ1: 事前準備

  • 自分の状況の整理
  • 必要な書類の収集
  • テンプレートを参考にした原案の作成

ステップ2: 専門家への相談

  • 弁護士、司法書士等への相談
  • 原案の法的チェック
  • 個別事情への対応検討

ステップ3: 公証役場での相談

  • 公証人との打ち合わせ
  • 内容の最終調整
  • 作成スケジュールの確認

ステップ4: 公正証書の作成

  • 当事者全員の出席
  • 内容の最終確認
  • 署名・押印

10.3 専門家活用の重要性

公正証書の作成において、専門家の活用は非常に重要です。特に以下の場合は、専門家への相談を強く推奨します:

複雑な法的関係:多数の当事者、複雑な財産関係等 高額な取引:多額の金銭が関わる契約 特殊な条項:一般的でない特殊な取り決め 国際的要素:外国人との契約、海外資産の処理

専門家への相談により、以下のメリットが得られます:

  • 法的リスクの軽減
  • 適切な条項の作成
  • 将来のトラブル防止
  • 税務上の配慮

10.4 公正証書の限界と他の選択肢

公正証書は強力な法的効力を持つ文書ですが、万能ではありません。以下の限界があることを理解しておく必要があります:

執行の限界:債務者に財産がない場合の回収困難 内容の変更:作成後の内容変更の困難さ 費用と時間:作成に要する費用と時間

場合によっては、以下の選択肢も検討する必要があります:

  • 通常の契約書での対応
  • 調停調書の活用
  • 和解調書の作成

10.5 デジタル化時代の公正証書

近年、公正証書の作成プロセスにもデジタル化の波が押し寄せています。オンライン相談、電子署名の活用等、新しい技術を活用したサービスも登場しています。

ただし、公正証書の本質的な価値は、公証人という専門家による法的チェックと、当事者の真意確認にあります。技術の進歩により手続きが簡便になったとしても、慎重な準備と専門家との連携の重要性は変わりません。

10.6 最終的な推奨事項

公正証書の作成を検討している方に対する最終的な推奨事項は以下の通りです:

  1. 十分な事前準備:テンプレートを活用し、必要な情報を整理する
  2. 専門家への相談:複雑な案件では必ず専門家の助言を求める
  3. 慎重な内容検討:将来のトラブルを防ぐための詳細な取り決め
  4. 継続的なフォロー:作成後の状況変化への対応

公正証書は、人生の重要な局面での「約束」を法的に確実なものにする重要なツールです。適切に作成・活用することで、安心して将来に向かうことができます。テンプレートを出発点として、専門家と連携しながら、あなたの状況に最適な公正証書を作成してください。

公正証書の作成は決して簡単な作業ではありませんが、適切な準備と専門家のサポートにより、確実で効果的な文書を作成することができます。本記事が、あなたの公正証書作成の一助となることを願っています。

佐々木裕介

佐々木 裕介(弁護士・行政書士)

「失敗しない子連れ離婚」をテーマに各種メディア、SNS等で発信している現役弁護士。離婚の相談件数は年間200件超。協議離婚や調停離婚、養育費回収など、離婚に関する総合的な法律サービスを提供するチャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所を運営。

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