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  4. 【完全ガイド】公正証書作成に必要な書類一覧と準備の進め方

【完全ガイド】公正証書作成に必要な書類一覧と準備の進め方

2025 7/16
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2025年7月16日
目次
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離婚の問診票はこちら

1. はじめに|「公正証書を作りたいけど、何を持っていけばいい?」

離婚協議が成立し、いよいよ公正証書を作成しようと思い立った時、多くの方が直面するのが「具体的に何を準備すればいいのか分からない」という悩みです。公証役場に電話をかけても、「必要書類は当日お持ちください」と言われるだけで、具体的な一覧を教えてもらえないことがほとんどです。

この準備不足が原因で、せっかく公証役場に足を運んだのに「書類が足りません」と言われ、後日再び訪問することになってしまうケースが後を絶ちません。特に離婚協議の場合、相手方との都合を合わせて予約を取るため、一度の失敗が大きな時間的ロスにつながってしまいます。

公正証書の作成は、単なる書類作成ではありません。法的効力を持つ重要な契約書として、将来にわたってあなたの権利を守る大切な文書です。だからこそ、準備段階から確実に、そして効率的に進めることが重要なのです。

本記事では、公正証書作成に必要な書類を目的別に整理し、準備の進め方から注意点まで、実際に公証役場で働く公証人の視点も交えながら、分かりやすく解説していきます。この記事を読めば、必要書類の準備で迷うことなく、スムーズに公正証書作成を進めることができるでしょう。

2. 公正証書とは?準備書類が重要な理由

公正証書の法的な位置づけ

公正証書とは、公証人が公証人法に基づいて作成する公文書のことです。私人間の契約や合意を、国家の機関である公証人が正式に認証することで、極めて高い法的効力を持つ文書となります。

一般的な私文書(当事者同士で作成した合意書など)と比べて、公正証書には以下のような特徴があります:

証拠能力の高さ:裁判所において、その内容が真実であることを強く推定される文書として扱われます。つまり、「本当にそんな約束をしたのか」という争いが生じにくくなります。

強制執行の可能性:特に金銭の支払いを約束する内容の場合、強制執行認諾条項を付けることで、相手方が約束を守らない時に、裁判を経ずに直接財産の差し押さえなどの強制執行手続きを取ることができます。

改ざんの困難性:公証役場で原本が保管されるため、後から内容を勝手に変更されるリスクがありません。

なぜ厳格な書類審査が必要なのか

公正証書がこれほど強い法的効力を持つからこそ、その作成過程では厳格な本人確認と内容確認が行われます。公証人は、以下の点を確実に確認する義務があります:

本人確認の徹底:公正証書を作成する当事者が、確実に本人であることを複数の書類で確認します。なりすましによる虚偽の契約を防ぐためです。

意思確認の実施:当事者が自由な意思で契約内容に同意していることを確認します。強制や詐欺によって作成された公正証書は無効となるため、慎重な確認が必要です。

内容の適法性確認:契約内容が法律に違反していないか、実現可能な内容かを確認します。特に養育費や慰謝料などの金銭的な約束については、支払い能力との関係も含めて検討されます。

関係性の証明:例えば離婚の場合、本当に夫婦関係にあるのか、子どもとの親子関係は確実なのかを戸籍謄本などで確認します。

これらの確認を行うために、公証人は様々な書類の提出を求めるのです。書類の準備が面倒に感じるかもしれませんが、これらは全て、あなたの権利を確実に守るための重要なプロセスなのです。

書類不備がもたらすリスク

必要書類の準備が不十分だった場合、以下のようなリスクが生じます:

作成スケジュールの遅延:特に離婚協議の場合、相手方との調整が必要なため、一度の延期が大きな遅延につながります。

合意内容の変更リスク:時間が経過することで、一度合意した内容について相手方が心変わりする可能性があります。

追加の費用負担:公証役場への交通費や、場合によっては弁護士等の同行費用が重複してかかることがあります。

精神的な負担:離婚協議中のデリケートな時期に、手続きの混乱が精神的なストレスを増加させます。

だからこそ、事前の準備を確実に行うことが重要なのです。

3. 公正証書の種類ごとに異なる必要書類

公正証書と一口に言っても、その目的や内容によって必要な書類は大きく異なります。ここでは、主要な公正証書の種類別に、特に重要な書類を整理して説明します。

離婚・養育費関係の公正証書

主なケース:

  • 協議離婚の際の養育費・慰謝料の取り決め
  • 財産分与の詳細な取り決め
  • 面会交流の具体的な約束
  • 離婚後の各種取り決めの変更

特に重要な書類:

  • 戸籍謄本(夫婦関係を証明)
  • 子どもの戸籍謄本(親子関係を証明)
  • 住民票(現在の住所を証明)
  • 身分証明書(本人確認用)
  • 印鑑・印鑑証明書(強制執行条項を付ける場合)
  • 合意内容の下書き(金額や支払い方法など)

離婚関係の公正証書では、特に「誰と誰の間の約束なのか」「子どもとの関係は確実なのか」という点が重要になります。そのため、戸籍関係の書類が特に重要視されます。

金銭貸借関係の公正証書

主なケース:

  • 個人間の金銭貸借の契約
  • 事業資金の貸し借り
  • 借金の返済計画の確認
  • 保証人設定を含む貸借契約

特に重要な書類:

  • 借用書の下書き(金額、利率、返済方法など)
  • 貸付・借入れの経緯がわかる資料(振込明細など)
  • 支払い用の口座情報
  • 担保設定がある場合の不動産登記簿謄本
  • 連帯保証人がいる場合の保証人の印鑑証明書

金銭貸借の場合、「本当にお金の貸し借りがあったのか」「返済能力はあるのか」という点が重要になります。そのため、実際の金銭の動きを証明する書類が必要です。

遺言に関する公正証書

主なケース:

  • 公正証書遺言の作成
  • 遺言の内容変更
  • 遺言執行に関する取り決め

特に重要な書類:

  • 遺言者の戸籍謄本
  • 相続人となる人の戸籍謄本
  • 財産目録(不動産、預金、株式など)
  • 不動産登記簿謄本
  • 証人2名の身分証明書

遺言の場合、「誰が相続人なのか」「どのような財産があるのか」を明確にする必要があります。そのため、家族関係と財産関係の書類が特に重要です。

任意後見契約の公正証書

主なケース:

  • 将来の認知症等に備えた後見人設定
  • 財産管理の委任契約
  • 身上監護の取り決め

特に重要な書類:

  • 本人の戸籍謄本・住民票
  • 後見人候補者の戸籍謄本・住民票
  • 家族関係がわかる書類
  • 財産目録
  • 印鑑証明書

任意後見契約では、「本人の判断能力が十分な状態で契約しているか」「後見人として適切な人物か」という点が重要になります。

不動産関係の公正証書

主なケース:

  • 不動産の売買契約
  • 不動産の贈与契約
  • 借地借家契約の取り決め

特に重要な書類:

  • 不動産登記簿謄本
  • 固定資産税評価証明書
  • 住宅地図
  • 実印・印鑑証明書
  • 不動産の権利証

不動産関係では、「対象不動産の特定」「権利関係の確認」が最も重要になります。

このように、公正証書の種類によって必要書類は大きく異なりますが、どのケースでも共通して重要なのは「本人確認」と「契約内容の根拠となる書類」です。次の章では、すべてのケースに共通する書類について詳しく説明します。

4. 一般的な共通書類【全ケースに共通】

公正証書の種類や内容に関わらず、すべてのケースで必要となる共通書類があります。これらは公証人による本人確認と意思確認の基礎となる重要な書類です。

本人確認書類

必須レベル:★★★(絶対必要)

公正証書作成において、最も重要なのが確実な本人確認です。公証人は、公正証書を作成する当事者が間違いなく本人であることを確認する法的義務があります。

有効な本人確認書類の例:

  • 運転免許証(最も一般的で確実)
  • マイナンバーカード(顔写真付き)
  • パスポート(有効期限内のもの)
  • 住民基本台帳カード(顔写真付き)
  • 官公庁発行の身分証明書

注意すべきポイント:

  • 有効期限が切れていないことを必ず確認
  • 顔写真がはっきりと確認できる状態であること
  • 住所変更がある場合は、裏面の記載も最新であること
  • 健康保険証などの顔写真のない書類は、単体では不十分な場合が多い

実際の確認プロセス: 公証人は、提出された身分証明書と面前の本人を慎重に照合します。顔写真との一致はもちろん、住所や氏名についても、他の提出書類と一致しているかを確認します。このため、住所変更などがある場合は、事前に身分証明書の変更手続きを済ませておくことが重要です。

住民票

必須レベル:★★★(絶対必要)

住民票は、現在の住所を公的に証明する書類です。本人確認書類の住所と一致していることが重要です。

取得時の注意点:

  • 発行から3ヶ月以内のもの(これは法的な要件)
  • 個人番号(マイナンバー)は記載不要
  • 世帯全員分ではなく、本人分のみで十分
  • 本籍地の記載は通常不要だが、公証役場によっては求められることがある

取得方法:

  • 市区町村役場の窓口
  • コンビニエンスストア(マイナンバーカード必要)
  • 郵送請求(時間がかかるため注意)

よくある失敗: 住民票の有効期限(3ヶ月)を見落として、古い住民票を持参してしまうケースが多くあります。公正証書の作成予定日から逆算して、適切なタイミングで取得することが重要です。

印鑑

必須レベル:★★☆(内容により異なる)

印鑑の種類については、公正証書の内容や強制執行条項の有無によって要件が異なります。

認印で十分なケース:

  • 一般的な合意事項の確認
  • 強制執行条項を付けない公正証書
  • 遺言書の作成(遺言者の意思確認が主目的)

実印が必要なケース:

  • 強制執行認諾条項を付ける公正証書
  • 不動産に関する契約
  • 高額な金銭債務の契約
  • 保証人が設定される契約

印鑑の準備方法: 実印の場合は、市区町村役場での印鑑登録が必要です。印鑑登録から印鑑証明書の発行まで、通常は即日可能ですが、混雑状況によっては時間がかかる場合があります。

印鑑証明書

必須レベル:★★☆(実印使用時は必須)

実印を使用する場合は、必ず印鑑証明書が必要になります。

有効期限と取得方法:

  • 発行から3ヶ月以内のもの
  • 市区町村役場の窓口で取得
  • コンビニエンスストア(マイナンバーカード必要)
  • 本人以外が取得する場合は委任状が必要

注意すべきポイント:

  • 印鑑証明書に記載された住所と、住民票の住所が一致していること
  • 実印の印影が、印鑑証明書の印影と完全に一致していること
  • 公正証書作成時に持参する実印が、登録された印鑑と同一であること

合意内容の下書き

必須レベル:★★★(絶対必要)

これは正式な書類ではありませんが、公正証書作成において最も重要な準備の一つです。

下書きに含むべき内容:

  • 契約の当事者(氏名、住所、生年月日)
  • 契約の目的と背景
  • 具体的な約束事項(金額、期限、方法など)
  • 違反時の取り決め
  • 強制執行条項の希望の有無

作成時のポイント: 完璧な文書である必要はありません。むしろ、当事者の真意を正確に反映した、理解しやすい内容であることが重要です。公証人は、この下書きを基に、法的に適切な表現に修正した公正証書を作成します。

形式について: 手書きでも、パソコンで作成したものでも構いません。重要なのは、合意内容が明確で、漏れがないことです。

手数料

必須レベル:★★★(絶対必要)

公正証書作成には手数料がかかります。金額は契約内容や目的価格によって異なります。

支払い方法:

  • 現金のみ(クレジットカード不可)
  • 当日支払い
  • 釣り銭の準備は十分でない場合があるため、なるべく端数のないように準備

手数料の目安:

  • 100万円以下の契約:5,000円
  • 100万円超200万円以下:7,000円
  • 200万円超500万円以下:11,000円
  • 500万円超1,000万円以下:17,000円

詳細な手数料については、事前に公証役場に確認することをお勧めします。

これらの共通書類は、公正証書作成の基礎となるものです。どれか一つでも欠けていると、公正証書の作成ができない可能性があります。次の章では、特に離婚・養育費に関する公正証書について、より詳細な書類要件を説明します。

5. 離婚・養育費に関する公正証書の書類【事例別】

離婚に関する公正証書は、最も多く作成される公正証書の一つです。養育費、慰謝料、財産分与など、複数の要素が含まれることが多いため、必要書類も多岐にわたります。

離婚公正証書作成に必要な基本書類

戸籍謄本(夫婦関係証明用)

  • 必須レベル:★★★(絶対必要)
  • 取得場所:本籍地のある市区町村役場
  • 有効期限:発行から3ヶ月以内
  • 注意点:離婚届提出前の状態(婚姻関係が記載されている)のものが必要

戸籍謄本は、公正証書を作成する両当事者が確実に夫婦関係にあることを証明する重要な書類です。既に離婚が成立している場合でも、元夫婦関係を証明するために必要になることがあります。

子どもの戸籍謄本

  • 必須レベル:★★★(養育費条項がある場合)
  • 目的:親子関係の確認、養育費支払い対象の特定
  • 注意点:養育費の対象となる子ども全員分が必要

養育費の支払いを約束する場合、「誰に対する養育費なのか」を明確にする必要があります。特に、再婚等により複雑な家族関係がある場合は、親子関係の証明が重要になります。

住民票

  • 必須レベル:★★★(絶対必要)
  • 内容:夫婦それぞれの現住所を証明
  • 注意点:既に別居している場合は、それぞれの住所での住民票が必要

離婚協議中は既に別居しているケースが多いため、夫婦それぞれが現在の住所での住民票を取得する必要があります。

養育費支払いに関する追加書類

養育費算定の根拠資料

  • 必須レベル:★★☆(推奨)
  • 具体例:源泉徴収票、確定申告書、給与明細(直近3ヶ月分)
  • 目的:支払い能力の確認、適正な養育費額の決定

養育費の金額は、家庭裁判所の算定表に基づいて決定されることが一般的です。この算定には、支払い義務者の年収が重要な要素となります。

支払い口座情報

  • 必須レベル:★★★(口座振込の場合)
  • 内容:養育費振込先の口座情報(銀行名、支店名、口座番号、口座名義)
  • 注意点:口座名義は受取人本人である必要

養育費の支払い方法として口座振込を選択する場合、振込先の口座情報を正確に記載する必要があります。間違いがあると、後日の変更が困難になる可能性があります。

慰謝料に関する追加書類

慰謝料支払いの根拠資料

  • 必須レベル:★☆☆(任意)
  • 具体例:不倫の証拠、DVの診断書、精神的苦痛に関する資料
  • 注意点:プライバシーに配慮し、必要最小限の資料のみ

慰謝料の支払いを約束する場合、その根拠となる事実関係を整理した資料があると、公証人の理解が得やすくなります。ただし、詳細な証拠の提出は必須ではありません。

慰謝料の支払いスケジュール

  • 必須レベル:★★★(分割払いの場合)
  • 内容:支払い回数、各回の支払い金額、支払い期日
  • 注意点:現実的な支払い計画であることが重要

慰謝料を分割で支払う場合、具体的な支払いスケジュールを明記する必要があります。支払い義務者の収入状況を考慮した、現実的な計画でなければなりません。

財産分与に関する追加書類

不動産に関する書類

  • 必須レベル:★★★(不動産がある場合)
  • 具体例:登記簿謄本、固定資産税評価証明書、住宅ローンの残高証明書
  • 注意点:共有名義の場合は、名義変更の手続きについても確認が必要

夫婦の共有財産に不動産がある場合、その評価額や権利関係を明確にする必要があります。住宅ローンが残っている場合は、ローンの承継についても取り決めが必要です。

預金・株式等の金融資産

  • 必須レベル:★★☆(該当する場合)
  • 具体例:通帳のコピー、株式の評価証明書、保険証券
  • 注意点:評価時点を明確にし、分与方法を具体的に定める

金融資産の分与については、評価時点での残高や評価額を基準とすることが一般的です。株式や投資信託などの変動する資産については、評価方法を明確にしておくことが重要です。

面会交流に関する追加書類

面会交流の具体的な取り決め

  • 必須レベル:★★☆(面会交流条項がある場合)
  • 内容:面会の頻度、時間、場所、方法等の詳細
  • 注意点:子どもの年齢や生活状況を考慮した現実的な内容

面会交流については、後日のトラブルを防ぐため、可能な限り具体的な取り決めを行うことが重要です。子どもの成長に応じて変更が必要になる可能性も考慮しておきます。

特殊なケースでの追加書類

外国人との離婚の場合

  • 必須レベル:★★★(該当する場合)
  • 具体例:在留カード、パスポート、本国の婚姻証明書
  • 注意点:翻訳が必要な場合があり、公証人との事前相談が重要

国際結婚の場合、国籍や在留資格の確認が必要になります。本国の法律により婚姻の成立要件が異なる場合があるため、事前の相談が特に重要です。

事業者同士の離婚の場合

  • 必須レベル:★★☆(該当する場合)
  • 具体例:事業の登記簿謄本、決算書、事業用資産の目録
  • 注意点:事業承継や共同経営の解消についても検討が必要

夫婦が共同で事業を行っている場合、離婚に伴う事業の承継や分割についても公正証書に盛り込むことができます。この場合、事業の評価に関する資料が必要になります。

書類準備のチェックリスト

離婚公正証書作成のための書類準備チェックリストを以下に示します:

基本書類(必須)

  • [ ] 夫婦の戸籍謄本(3ヶ月以内)
  • [ ] 子どもの戸籍謄本(養育費がある場合)
  • [ ] 夫婦それぞれの住民票(3ヶ月以内)
  • [ ] 身分証明書(運転免許証等)
  • [ ] 印鑑(実印推奨)
  • [ ] 印鑑証明書(実印の場合)

養育費関連(該当する場合)

  • [ ] 年収証明書(源泉徴収票等)
  • [ ] 振込先口座情報
  • [ ] 養育費算定表(参考資料)

慰謝料関連(該当する場合)

  • [ ] 慰謝料の根拠資料
  • [ ] 支払いスケジュール案

財産分与関連(該当する場合)

  • [ ] 不動産登記簿謄本
  • [ ] 固定資産税評価証明書
  • [ ] 住宅ローン残高証明書
  • [ ] 預金通帳のコピー
  • [ ] 株式等の評価証明書

その他

  • [ ] 合意内容の下書き
  • [ ] 手数料(現金)
  • [ ] 面会交流の取り決め案

これらの書類を事前に準備しておくことで、スムーズな公正証書作成が可能になります。不明な点がある場合は、公証役場に事前相談することをお勧めします。

6. 書類準備の進め方【3ステップ】

公正証書作成の書類準備は、段階的に進めることで効率的かつ確実に行うことができます。以下の3ステップに分けて、具体的な進め方を説明します。

Step1|まずは草案を作る(Wordや手書きでも可)

草案作成の目的

公正証書の草案を作成することは、単に公証人への説明資料を準備するためだけではありません。草案を作成する過程で、自分たちの合意内容を整理し、必要な書類が何かを明確にすることができます。

草案に含めるべき基本項目

  1. 当事者の情報
    • 氏名(戸籍上の正式な表記)
    • 生年月日
    • 住所(現在の住民票上の住所)
    • 連絡先(電話番号、メールアドレス)
  2. 合意の背景
    • 離婚の場合:婚姻した日、別居開始日、離婚に至った経緯(簡潔に)
    • 金銭貸借の場合:貸借の日時、金額、貸借の理由
    • 遺言の場合:遺言作成の動機、相続人との関係
  3. 具体的な約束事項
    • 金銭の支払い:金額、支払い方法、支払い期限
    • 物の引き渡し:対象物、引き渡し期限、引き渡し方法
    • 行為の履行:具体的な行為内容、履行期限
  4. 違反時の取り決め
    • 遅延損害金の定め
    • 強制執行の可否
    • 解除条件

草案作成のポイント

完璧を求めない:草案は法的文書ではありません。むしろ、当事者の真意を分かりやすく表現することが重要です。法的な表現については、公証人が適切に修正してくれます。

具体性を重視:「適切な金額」「適当な時期」などの曖昧な表現は避け、具体的な数字や日付を記載します。例えば、「毎月末日までに5万円を振り込む」といった明確な表現を心がけます。

優先順位を明確に:複数の約束事項がある場合、どれが最も重要かを明確にしておきます。これにより、公正証書の文面でも重要な事項を強調することができます。

相手方との事前確認:草案を作成したら、相手方と内容を確認し、認識の違いがないかを確認します。公証役場に行ってから内容の変更を求めることは、手続きの遅延につながります。

草案作成の実例(離婚の場合)

公正証書作成に関する合意事項(草案)

当事者:

甲:山田太郎(昭和50年4月1日生)

住所:東京都新宿区○○1-2-3

乙:山田花子(昭和52年6月15日生)

住所:東京都渋谷区○○4-5-6

合意内容:

1. 甲乙は、令和○年○月○日に協議離婚することに合意する。

2. 甲は乙に対し、慰謝料として金200万円を支払う。

   支払い方法:令和○年○月○日までに一括払い

   振込先:○○銀行○○支店 普通預金 口座番号○○○○○○○

3. 甲は、長男○○(平成○年○月○日生)の養育費として、

   月額5万円を毎月末日までに上記口座に振り込む。

   支払い期間:令和○年○月から長男が20歳に達するまで

4. 長男の面会交流は、月1回、第2土曜日の10時から17時まで

   甲の住所にて行う。

Step2|公証役場へ事前相談 or 電話連絡

事前相談の重要性

公正証書作成において、事前相談は非常に重要な工程です。多くの方が「すべて準備してから行けばよい」と考えがちですが、実際には事前相談を行うことで、以下のメリットがあります。

事前相談で確認すべき事項

  1. 管轄の確認
    • 公証役場は全国にありますが、どこでも良いわけではありません
    • 当事者の住所地または契約履行地を管轄する公証役場を選択
    • 遠方の場合は、出張サービスの可否も確認
  2. 必要書類の最終確認
    • 地域や公証人によって、求められる書類が微妙に異なる場合があります
    • 特殊なケースでは、標準的な書類以外が必要になることもあります
    • 書類の有効期限についても再確認
  3. 手数料の確認
    • 契約内容によって手数料が変わるため、概算を確認
    • 支払い方法(現金のみ、釣り銭の準備状況)
    • 追加費用(謄本交付費用など)
  4. 所要時間の確認
    • 公正証書作成にかかる時間
    • 当日の混雑状況
    • 複数回の訪問が必要かどうか

事前相談の方法

電話での相談

  • 最も手軽で、基本的な確認事項は十分に聞けます
  • 営業時間:通常は平日9時〜17時(土日祝日は休業)
  • 質問事項を事前にメモしておくと効率的

窓口での相談

  • より詳細な相談が可能
  • 草案の内容について具体的なアドバイスを受けられる
  • 予約制の場合が多いため、事前の電話確認が必要

オンライン相談

  • 一部の公証役場では実施
  • 書類の事前確認も可能
  • 感染症対策や遠方の場合に有効

事前相談での質問例

電話相談での質問例(離婚公正証書の場合)

「離婚に関する公正証書を作成したいのですが、

必要な書類を確認させてください。

1. 夫婦の戸籍謄本と子どもの戸籍謄本、住民票は3ヶ月以内のもので良いでしょうか?

2. 養育費の強制執行条項を付けたいのですが、実印と印鑑証明書が必要でしょうか?

3. 慰謝料200万円、養育費月5万円の場合、手数料はいくらになりますか?

4. 作成当日の所要時間はどのくらいでしょうか?

5. 夫婦で一緒に来る必要がありますか?」

事前相談で得られる追加情報

公証人の専門性:公証人によって得意分野が異なります。離婚関係の公正証書を多く扱っている公証人に担当してもらうと、より適切なアドバイスを受けられます。

地域の慣行:同じ法律に基づいていても、地域によって実務上の取り扱いが異なる場合があります。事前相談でこれらの情報を得ることができます。

混雑状況:公証役場によっては、特定の時期(年度末、夏季休暇前など)に混雑することがあります。スケジュールを調整する参考になります。

Step3|不足資料を役所や金融機関で取得

効率的な書類取得の計画

事前相談で必要書類が確定したら、効率的に取得するための計画を立てます。書類によって取得場所や所要時間が異なるため、計画的に進めることが重要です。

取得場所別の書類一覧

市区町村役場で取得する書類

  • 戸籍謄本(本籍地の役場)
  • 住民票(現住所の役場)
  • 印鑑証明書(印鑑登録をした役場)
  • 所得証明書(住民税の課税証明書)

法務局で取得する書類

  • 不動産登記簿謄本
  • 商業登記簿謄本(法人の場合)

金融機関で取得する書類

  • 残高証明書
  • 住宅ローン残高証明書
  • 取引履歴

その他の機関で取得する書類

  • 源泉徴収票(勤務先)
  • 年金額改定通知書(年金事務所)
  • 確定申告書の控え(税務署)

取得時の注意点

戸籍謄本の取得

  • 本籍地でのみ取得可能
  • 本籍地が遠方の場合は郵送請求も可能(10日程度要する)
  • 離婚前の状態が記載されたものが必要な場合は、離婚届提出前に取得
  • 戸籍の広域交付サービス(令和5年3月開始)により、一部の戸籍は住所地でも取得可能

住民票の取得

  • 現住所の市区町村役場で取得
  • コンビニエンスストアでも取得可能(マイナンバーカード必要)
  • 世帯全員分は不要で、本人分のみで十分
  • 本籍地記載の要否について事前確認が必要

印鑑証明書の取得

  • 印鑑登録をした市区町村役場で取得
  • 印鑑登録証(印鑑登録カード)が必要
  • マイナンバーカードがあれば、コンビニエンスストアでも取得可能
  • 代理人が取得する場合は、特別な手続きが必要

不動産登記簿謄本の取得

  • 全国の法務局で取得可能(オンラインでも可)
  • 地番や家屋番号を正確に把握しておく必要
  • 住所と地番が異なる場合があるため、事前確認が重要

効率的な取得スケジュール

1週間前:

  • 戸籍謄本の取得(本籍地が遠方の場合は郵送請求)
  • 不動産登記簿謄本の取得(オンライン請求)

3日前:

  • 住民票の取得
  • 印鑑証明書の取得
  • 金融機関での残高証明書取得

前日:

  • 全書類の最終確認
  • 有効期限のチェック
  • 不足書類の最終確認

書類取得の費用

一般的な書類取得費用の目安:

  • 戸籍謄本:450円
  • 住民票:300円
  • 印鑑証明書:300円
  • 不動産登記簿謄本:600円
  • 残高証明書:500円〜1,000円(金融機関により異なる)

取得困難な書類への対処法

古い戸籍が必要な場合

  • 戸籍は保存期間があり、古いものは取得できない場合があります
  • 代替書類について公証人と相談
  • 除籍謄本や改製原戸籍が必要な場合もあります

外国の書類が必要な場合

  • 領事館での認証が必要
  • 翻訳文の添付が必要
  • 手続きに時間がかかるため、早めの準備が必要

紛失した書類の再発行

  • 印鑑登録証を紛失した場合は、再登録が必要
  • 権利証を紛失した場合は、本人確認情報の提供が必要
  • 時間がかかるため、早期の発見・対処が重要

デジタル化への対応

マイナンバーカードの活用

  • コンビニエンスストアでの証明書取得が可能
  • 手数料が安い場合がある
  • 土日祝日でも取得可能

オンライン申請の活用

  • 登記簿謄本はオンラインで取得可能
  • 郵送による戸籍謄本取得も電子申請が可能な自治体もある
  • 時間短縮と手間の削減が可能

この3ステップを踏むことで、公正証書作成に必要な書類を効率的かつ確実に準備することができます。特に、事前相談を行うことで、個別の事情に応じた適切な準備が可能になります。

7. 公正証書作成時の書類に関する注意点

公正証書作成時には、書類の準備だけでなく、その取り扱いや管理についても注意が必要です。せっかく苦労して集めた書類が、些細な不備で使えなくなることを避けるため、以下の点に十分注意しましょう。

書類の有効期限に関する注意点

法定の有効期限

3ヶ月以内の書類:

  • 戸籍謄本・戸籍抄本
  • 住民票・住民票記載事項証明書
  • 印鑑証明書
  • 所得証明書・課税証明書

これらの書類は、法令により「発行から3ヶ月以内」という有効期限が定められています。この期限を過ぎた書類は、たとえ内容に変更がなくても使用できません。

実務上の有効期限:

  • 残高証明書:1ヶ月以内(金融機関により異なる)
  • 不動産登記簿謄本:3ヶ月以内(内容に変更がない限り)
  • 源泉徴収票:最新年度のもの

有効期限管理のポイント

取得タイミングの計画: 公正証書作成の予定日から逆算して、適切なタイミングで書類を取得します。あまり早すぎると期限切れになり、遅すぎると準備が間に合わなくなります。

予備日の設定: 公正証書作成の予定日に加えて、予備日も考慮して書類を取得します。当日の体調不良や相手方の都合により延期になる可能性があるためです。

一括取得の活用: 複数の書類を同日に取得することで、有効期限を揃えることができます。これにより、一部の書類だけ期限切れになるリスクを減らせます。

印鑑の種類と要件

認印で十分なケース

一般的な合意事項の確認や、強制執行条項を付けない公正証書の場合は、認印で十分です。認印とは、市区町村役場に登録していない印鑑のことで、シャチハタ以外の印鑑であれば使用可能です。

実印が必要なケース

強制執行認諾条項付きの公正証書: 債務不履行の場合に裁判を経ずに強制執行を行うことができる条項を付ける場合は、実印の使用が必要です。

高額な契約: 慰謝料や養育費の総額が高額な場合、実印の使用を求められることがあります。

不動産に関する契約: 不動産の売買、贈与、担保設定等に関する公正証書では、実印が必要です。

印鑑使用時の注意点

印影の確認: 実印を使用する場合、印鑑証明書の印影と完全に一致している必要があります。少しでも欠けていたり、汚れていたりすると使用できません。

押印の方法: 公正証書への押印は、公証人の面前で行う必要があります。事前に押印した書類は受け付けられません。

印鑑の保管: 公正証書作成日まで、印鑑を安全に保管する必要があります。紛失や破損があると、手続きが大幅に遅れる可能性があります。

書類の原本とコピーに関する注意

原本が必要な書類

以下の書類は、原本の提出が必要です:

  • 戸籍謄本・戸籍抄本
  • 住民票
  • 印鑑証明書
  • 残高証明書
  • 不動産登記簿謄本

コピーで十分な書類

以下の書類は、コピーでも受け付けられる場合があります:

  • 源泉徴収票
  • 給与明細
  • 通帳の写し
  • 契約書の写し

ただし、公証役場や公証人によって取り扱いが異なるため、事前確認が必要です。

書類の保管方法

原本の保護: 戸籍謄本等の原本は、折り曲げたり汚したりしないよう、クリアファイルに入れて保管します。

コピーの準備: 重要な書類については、念のためコピーを取っておきます。公証役場でコピーが必要になった場合に備えるためです。

持参方法: 書類を公証役場に持参する際は、整理して持参します。ばらばらに持参すると、紛失や混乱の原因となります。

書類の不備が発覚した場合の対処法

軽微な不備の場合

住所の相違: 身分証明書の住所と住民票の住所が異なる場合、住民票の附票や戸籍の附票で住所の変遷を証明できれば、手続きを進められることがあります。

氏名の表記違い: 旧字体と新字体の違いなど、軽微な表記の違いは、戸籍謄本で正式な表記を確認することで対応できます。

重大な不備の場合

有効期限切れ: 書類の有効期限が切れている場合は、再取得が必要です。この場合、公正証書作成の予定を延期する必要があります。

必要書類の不足: 必要書類が不足している場合も、延期が避けられません。事前相談で確認した書類リストを再度チェックし、不足書類を取得します。

対処法のポイント

早期発見: 公証役場に向かう前に、書類の最終確認を行います。チェックリストを作成し、一つずつ確認することが重要です。

代替手段の確認: 書類が取得できない場合は、代替手段がないかを公証人に相談します。同等の証明力を持つ別の書類で代用できる場合があります。

スケジュールの調整: 書類の不備が発覚した場合は、無理に予定を進めず、適切に延期します。不備のある状態で作成された公正証書は、後日問題となる可能性があります。

特殊な状況での注意点

海外在住の場合

領事館での手続き: 海外在住の場合、在外日本領事館で在留証明書や署名証明書を取得する必要があります。

翻訳文の添付: 外国の公的機関が発行した書類を使用する場合は、日本語翻訳文を添付する必要があります。

郵送による手続き: 海外からの書類取得は郵送が基本となるため、十分な時間的余裕を持って準備する必要があります。

高齢者の場合

代理人の活用: 高齢で外出が困難な場合は、代理人による書類取得が可能です。ただし、委任状等の追加書類が必要になります。

出張サービス: 一部の公証役場では、出張サービスを提供している場合があります。費用は高くなりますが、検討の価値があります。

意思確認の重要性: 高齢者の場合、意思確認が特に重要になります。事前に十分な説明を行い、本人の真意を確認しておくことが必要です。

法人が関与する場合

商業登記簿謄本: 法人が当事者となる場合は、商業登記簿謄本の添付が必要です。

代表者の証明: 法人の代表者が手続きを行う場合は、代表者であることを証明する書類が必要です。

法人の印鑑証明書: 法人の実印を使用する場合は、法人の印鑑証明書が必要になります。

これらの注意点を十分に理解し、適切に対応することで、公正証書作成を円滑に進めることができます。

8. よくある質問Q&A

公正証書作成に必要な書類について、実際に公証役場を利用された方々から寄せられる質問をまとめました。準備段階で不安に感じがちなポイントを解決していきましょう。

Q1:全て揃ってなくても公証役場に行っていいですか?

A:はい、むしろ事前相談をおすすめします。

多くの方が「完璧に準備してから行かなければ」と考えがちですが、公証役場では事前相談を積極的に受け付けています。特に初回は以下のような段階でも対応してもらえます:

  • 公正証書にしたい内容の概要だけ決まっている段階
  • 必要書類の一部しか手元にない状態
  • そもそも何が必要かわからない状況

事前相談では、公証人が具体的な必要書類を教えてくれるだけでなく、文書の内容についてもアドバイスを受けられます。仮予約を取って、準備期間を確保することも可能です。

ただし、正式な作成当日は全ての書類が揃っている必要があります。事前相談で確認したリストを元に、漏れなく準備しましょう。

Q2:離婚後でも公正証書は作成できますか?

A:法的には可能ですが、現実的には困難な場合が多いです。

離婚後の公正証書作成には以下の課題があります:

可能なケース:

  • 元配偶者との連絡が取れ、協力が得られる
  • 養育費や慰謝料の支払いについて改めて合意できる
  • 両者が公証役場に出向くことに同意している

困難なケース:

  • 連絡が取れない、または拒否される
  • 離婚時と状況が大きく変わっている
  • 感情的な対立が続いている

離婚後の場合、戸籍謄本は「離婚の記載がある戸籍」を用意する必要があります。また、養育費の取り決めなど、離婚時に決めておくべき内容を後から追加で合意するのは現実的に困難です。

そのため、離婚を検討している段階、または離婚届提出前に公正証書を作成することを強く推奨します。

Q3:印鑑証明は絶対に必要ですか?

A:必須ではありませんが、強制執行条項をつけるなら実印+印鑑証明が推奨されます。

印鑑の種類と印鑑証明の要否は、作成する公正証書の内容によって変わります:

認印で足りるケース:

  • 単純な契約内容の記録
  • 当事者間の合意事項の明文化
  • 将来の紛争防止が主目的

実印+印鑑証明が必要なケース:

  • 強制執行条項付きの公正証書
  • 金銭の支払い義務を含む内容
  • 法的効力を最大限に活用したい場合

特に養育費や慰謝料などの金銭支払いを含む離婚公正証書では、支払いが滞った際の強制執行を可能にするため、実印と印鑑証明が求められることが一般的です。

印鑑証明書は発行から3ヶ月以内のものが必要で、市区町村の窓口またはマイナンバーカード対応のコンビニで取得できます。

Q4:戸籍謄本と住民票は必ず原本が必要ですか?

A:原本が基本ですが、一部の公証役場ではコピーも認められる場合があります。

公正証書作成では、本人確認の信頼性を確保するため、原本の提出が原則です。しかし、実際の運用は公証役場によって若干異なります:

原本が必要な理由:

  • 偽造防止のため
  • 公証人による内容確認の信頼性担保
  • 法的効力の根拠となる重要書類のため

例外的にコピーが認められるケース:

  • 事前に公証人が原本を確認済み
  • 他の書類で本人確認が十分に取れている
  • 公証役場の判断で問題ないと認められた場合

不安な場合は、事前に利用予定の公証役場に確認することをおすすめします。また、原本を紛失するリスクを避けるため、重要書類は事前にコピーを取って保管しておきましょう。

Q5:子どもの戸籍も必要と聞きましたが、どこまで必要ですか?

A:養育費の対象となる子ども全員の戸籍が必要です。

離婚に伴う公正証書で養育費を定める場合、以下の情報が必要となります:

必要な子どもの情報:

  • 対象となる子ども全員の戸籍謄本
  • 現在の年齢と就学状況
  • 親権者の確認ができる書類

戸籍取得時の注意点:

  • 子どもが複数いる場合は全員分が必要
  • 子どもの戸籍は親の戸籍と別になっている場合がある
  • 発行から3ヶ月以内のものを用意する

子どもが成人している場合でも、大学在学中などで養育費の対象とする場合は戸籍が必要です。また、将来的に養育費の支払い期間を「大学卒業まで」とする場合、その根拠となる資料も準備しておくと良いでしょう。

Q6:財産分与がある場合、どのような書類が追加で必要ですか?

A:分与対象財産の価値を証明する書類が必要です。

財産分与を含む公正証書では、対象財産の詳細と評価額を明確にする必要があります:

不動産の場合:

  • 不動産登記簿謄本(法務局で取得)
  • 固定資産評価証明書
  • 住宅ローン残高証明書(残債がある場合)

預金・貯金の場合:

  • 通帳のコピー(残高がわかるページ)
  • 預金証明書(金融機関発行)

株式・投資信託の場合:

  • 証券会社の残高証明書
  • 評価額がわかる明細書

その他の財産:

  • 生命保険の解約返戻金証明書
  • 退職金の概算額がわかる書類

これらの書類は、財産分与の公平性を担保し、後日のトラブルを防ぐために重要です。評価額が変動する財産については、公正証書作成時点での評価を基準とすることが一般的です。

Q7:公正証書作成までにどのくらいの期間がかかりますか?

A:書類準備から完成まで、通常2週間から1ヶ月程度が目安です。

公正証書作成の一般的なスケジュール:

1週目:事前準備

  • 必要書類の確認と収集
  • 合意内容の整理
  • 公証役場への事前相談予約

2週目:事前相談

  • 公証人との面談
  • 書類の確認と不足分の指摘
  • 文書内容の調整

3週目:最終準備

  • 不足書類の取得
  • 内容の最終確認
  • 作成日の予約

4週目:作成当日

  • 当事者両名の出頭
  • 最終確認と署名
  • 公正証書の完成

ただし、以下の要因で期間が延びる場合があります:

  • 書類取得に時間がかかる
  • 合意内容の調整が必要
  • 公証役場の予約が取りにくい
  • 当事者の都合が合わない

急ぎの場合は、事前に公証役場に相談することで、スケジュールを調整してもらえる可能性があります。

9. まとめ|書類準備が公正証書作成の成否を分ける

公正証書の作成において、適切な書類準備は成功の鍵となります。本記事で解説した内容を踏まえ、効率的な準備を進めましょう。

書類準備の重要性を再確認

公正証書は法的効力を持つ重要な文書であり、その作成には厳格な手続きが求められます。必要書類の不備は、以下のような問題を引き起こす可能性があります:

書類不備による影響:

  • 作成予定日の延期
  • 追加の役所手続きによる時間的ロス
  • 公証役場への複数回の足運び
  • 当事者間の協議継続期間の延長
  • 最悪の場合、公正証書作成の断念

これらの問題を避けるためには、事前の十分な準備が不可欠です。

目的別書類準備の基本原則

公正証書の種類によって必要書類は異なりますが、共通する基本原則があります:

1. 本人確認の徹底 すべての公正証書作成において、当事者の本人確認は最重要項目です。運転免許証やマイナンバーカードなど、写真付きの身分証明書を必ず用意しましょう。

2. 合意内容の裏付け 契約内容を証明する書類や、金銭の支払い根拠となる資料が必要です。特に離婚公正証書では、養育費算定の根拠となる収入証明なども重要な書類となります。

3. 法的効力の担保 強制執行条項を付ける場合は、実印と印鑑証明書が必要です。将来的なトラブル防止のため、可能な限り法的効力を高める準備をしておきましょう。

効率的な準備の進め方

書類準備を効率化するための具体的な手順を、改めて整理します:

Phase 1:情報収集(1-2日)

  • 作成する公正証書の種類を明確化
  • 必要書類の一覧作成
  • 公証役場への事前問い合わせ

Phase 2:基本書類の収集(3-5日)

  • 本人確認書類の確認
  • 住民票・戸籍謄本の取得
  • 印鑑証明書の取得

Phase 3:個別書類の準備(5-7日)

  • 契約内容に応じた専門書類の収集
  • 財産関係書類の整理
  • 合意内容の文書化

Phase 4:最終確認(1-2日)

  • 書類の有効期限チェック
  • 不足書類の最終確認
  • 公証役場での事前相談

「備えあれば憂いなし」の心構え

公正証書作成は、多くの方にとって人生で数回しか経験しない手続きです。そのため、準備段階で不安を感じるのは自然なことです。

しかし、適切な準備をしていれば、公正証書作成は決して難しい手続きではありません。以下の心構えを持って臨みましょう:

準備の心構え:

  • 完璧を目指さず、まずは基本書類から収集
  • 不明な点は公証役場に積極的に相談
  • 当事者間の合意が最も重要な要素
  • 書類は手段であり、目的は円滑な契約締結

公正証書作成後の書類管理

公正証書が完成した後も、関連書類の適切な管理が重要です:

保管すべき書類:

  • 公正証書の正本・謄本
  • 作成時に使用した全ての書類のコピー
  • 公証役場とのやり取り記録

保管上の注意点:

  • 正本は特に厳重に保管
  • 謄本は必要に応じて使用
  • 定期的に保管状況を確認
  • 紛失時の再発行手続きを把握

最後に:成功への道筋

公正証書作成における書類準備は、単なる事務手続きではありません。それは、当事者間の合意を法的に有効な形で残し、将来のトラブルを防ぐための重要なプロセスです。

適切な準備を行うことで、以下のメリットが得られます:

  • スムーズな作成手続き
  • 法的効力の確実な担保
  • 当事者間の信頼関係の維持
  • 将来的なトラブルの予防

「備えあれば憂いなし」という言葉通り、十分な準備こそが公正証書作成成功の鍵となります。本記事で紹介した内容を参考に、抜け漏れのない書類準備を進めてください。

不明な点があれば、遠慮なく公証役場に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けながら、確実で効率的な公正証書作成を実現しましょう。

佐々木裕介

佐々木 裕介(弁護士・行政書士)

「失敗しない子連れ離婚」をテーマに各種メディア、SNS等で発信している現役弁護士。離婚の相談件数は年間200件超。協議離婚や調停離婚、養育費回収など、離婚に関する総合的な法律サービスを提供するチャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所を運営。

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