モラハラ夫と一緒に暮らす日々から逃れたいと、離婚を決意する方もいるでしょう。
しかし、そこまで妻を追い詰めるような言動をしておきながら、いざ「離婚したい」と伝えると、モラハラ夫は離婚に応じてくれないことが多々あります。
モラハラ夫が離婚してくれない理由・心理とは?
モラハラ夫が妻からの離婚希望に応じようとしない理由は、以下のような複数の要因が考えられます。
自己正当化
モラハラ夫は自分の行動を正当化し、妻に対して「私は悪くない」「君が悪い」という自己正当化を行っていることがあります。
自分のモラハラ行為に気づかず、逆に妻を責めることで自己防衛の姿勢を取ることがあります。
世間体への配慮
モラハラ夫は離婚した場合の世間体や周囲からの評価を気にすることがあります。
そのため、離婚を避けることで社会的な評価やプライドを守ろうとします。
支配欲とコントロール
モラハラ夫は妻に対して支配欲やコントロール欲が強い場合が多いです。
離婚に応じることで、その支配やコントロールを失うことを恐れている可能性があります。
ストレス発散の対象
モラハラ夫は妻を攻撃することで自分のストレスを発散している場合があります。
妻との関係を終わらせることで、他にストレスを発散する方法を見つけなければならなくなることを望んでいない可能性が高いです。
モラハラ夫が離婚してくれない場合の対処法
モラハラ夫とはそもそもの感性が違うため、離婚に応じてくれない場合、口頭での説得だけではうまくいかないこともあるかもしれません。
しかし、諦める必要はありません。
モラハラ夫が離婚してくれない場合には、以下のような対処法を行いましょう。
記録をつけて証拠を集める
モラハラの行為や暴言などをできるだけ具体的に記録に残し、証拠を集めましょう。
メールやSNS上でのやり取り、目撃者の証言などが有力な証拠となります。
これにより、離婚時の交渉や裁判において有利な立場を築くことができます。
モラハラの証拠になり得るものの例としては、次のようなものが挙げられます。
日々の生活の中で夫のモラハラ行為を記録するなどして、証拠をしっかりと集めておきましょう。
- モラハラを受けている場面の動画・録音データ: モラハラ行為が目撃される場面を動画や録音で記録することで、具体的な言動を証拠として持つことができます。
- モラハラ被害について記録した日記やメモ: 日々の出来事やモラハラの被害について日記やメモを取ることで、状況を客観的に示す証拠となります。
- モラハラ夫とのやりとりしたメールやLINE(暴言が書かれているものなど): メールやLINEなどのやり取りで、モラハラ行為が含まれる場合、これらを保存して証拠として利用できます。
思い切って別居する
モラハラ夫からの精神的な苦痛を避けるためにも、思い切って別居することを検討してみましょう。
別居を通じて、自分自身の心身の健康を回復させる時間を持つことが重要です。
離婚に応じてくれない場合は、無理に一緒にいる必要はありません。
別居期間が長くなるにつれ、モラハラ夫は妻に固執しなくなり、離婚に応じる可能性が高まります。
モラハラ夫が離婚してくれないからと、自分の気持ちを押し殺して一緒に生活を続けるのは心の安定に良くありません。
心の安定を取り戻すためにも、モラハラ夫と距離を置くことが大切です。
さらに別居している事実は、裁判で離婚を認めてもらえる理由の一つになることがあります。
離婚には民法上の離婚理由(法定離婚事由)のいずれかに当てはまる事情が必要ですが、相当長期にわたって別居している場合は、婚姻関係が破綻していると判断され、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。
その結果、離婚が認められるケースもあるのです。裁判所の運用としては、一般的に3年間の別居期間があると離婚が認められやすくなると言われています。
別居期間中に適切な記録を残し、弁護士や公的機関に相談することで、離婚の実現に近づけるでしょう。
相手が下手に出ても受け入れない
モラハラ夫は離婚を望んでいない場合、しばしば交渉を巧みに避けることがあります。
離婚を切り出した際、モラハラ夫が態度を一変させて「俺が悪かった。考え直してほしい。」といった反省の言葉を口にすることも。
しかし、このような言葉に対しては注意が必要です。
モラハラ夫が一時的に反省しているだけで、実際にはその後再びモラハラ行為を繰り返す可能性もあるからです。
モラハラ夫は自分のストレス発散の対象として妻を手放したくない場合があるため、一時的に反省の態度を見せることもあります。
また、DVには周期があるとされ、モラハラを含むDVの中には「ハネムーン期」と呼ばれる優しくなる時期があるとされます。
モラハラ夫が下手に出てくるのは、このハネムーン期にあたる可能性も考えられますので、安易に受け入れることは避けるべきです。
離婚を考える際には、モラハラ夫の言動にだけ惑わされず、冷静に判断することが重要です。
再発防止策がなされていない限り、再度モラハラ行為が起きる可能性があることを念頭に置きながら、自分の心と身を守る決断をすることが大切です。
公的機関や弁護士に相談する
離婚に関する問題は専門的な知識と経験が必要です。
公的機関や弁護士に相談し、適切なアドバイスや支援を受けることで、離婚手続きや財産分与、養育費の交渉において有利な状況を築くことができます。
モラハラ夫が離婚に応じない場合は、まず都道府県や市区町村が設置している配偶者暴力相談支援センターや警察署のDV相談窓口、福祉事務所などの公的機関に相談してみることをおすすめします。
これにより、現状を改善するためのアドバイスを受けることができるだけでなく、相談記録が残るためモラハラの事実を証明する際の有用な証拠となります。
さらに、弁護士に相談することも検討してください。
弁護士は法的観点から状況を分析し、どのような対処法が適切かをアドバイスしてくれます。
また、依頼すれば代理人としてモラハラ夫との交渉を引き受けることもできます。
モラハラ夫との離婚は精神的な負担が大きいこともありますが、公的機関や弁護士のサポートを受けることで、より適切な解決策を見つけることができるでしょう。
第三者を入れて話し合う
離婚の方法はいくつかありますが、まずは夫婦間の話し合い(協議)から始め、協議による離婚を目指していくのが一般的です。
ただし、モラハラ夫との対等な話し合いは難しいことがあります。
そこで、第三者を間に入れて話し合うことを検討してみてください。
モラハラ夫は外面が良い傾向にあるため、第三者が仲介に入れば、理不尽な攻撃がなくなる可能性が高いです。
そのため、より落ち着いて話し合いに臨むことができるでしょう。
特に、法律の専門家である弁護士に代理人として話し合いの場に同席してもらうと安心です。
弁護士は法的な知識に基づいた見解を示してくれるため、モラハラ夫も納得しやすくなるかもしれません。
また、弁護士に依頼していることで、離婚に真剣に取り組んでいることをモラハラ夫に伝えることもできます。
法的なサポートを受けることで、より円滑な話し合いが進み、離婚に向けた進展が期待できるでしょう。
子どもがいる場合の別居は?
特に子供がいる場合には、早めの別居を検討することをおすすめします。
モラハラをする父親と、そのモラハラに苦しめられている母親、そんな2人を見ている子どもは、相当なストレスを感じるでしょう。
子どもの心の健康を守るためにも、早めの別居が重要です。
子供の今後の成長に悪影響を及ぼすおそれも考えられます。
離婚裁判でモラハラを立証するのは難しい?
離婚裁判でモラハラを立証することは難しい場合があります。
モラハラは精神的な虐待であり、一般的な身体的な虐待や暴力とは異なるため、証拠を収集しにくいためです。
まずは別居を最優先で検討してみましょう。
モラハラ夫の場合、妻を自分の管理下に置くことを是とすることがあり、簡単に離婚に応じてくれない場合が多い一方で、モラハラは民法上の離婚原因として認められづらいため、離婚が成立するまでには長期戦を覚悟する必要があるかもしれません。
別居期間を3年間は継続する必要があることを覚悟せざるをえませんが、その間、婚姻費用(生活費)を請求する調停を起こすことを忘れないようにしましょう。婚姻費用は養育費の金額と比べて月々の負担額が数万円高くなることが一般的です。モラハラ夫の立場からすると、高い金額の婚姻費用の支払いを数年間継続させられ、一緒に住むことも叶わず、次第に「離婚やむなし」という諦めを感じるようになります。この諦めの気持ちを形成することが戦略になるケースも多いです。
離婚には個々の状況に応じて異なるアプローチが必要です。モラハラの被害を受けている場合、弁護士や専門家のアドバイスを受けることで適切な戦略を立てることができます。
また、弁護士を通じて相手との交渉を行うことで、感情的な面を抑えて冷静に解決に向けて進むことができる場合もあります。
まとめ
モラハラ夫との離婚は長期戦を覚悟する必要があります。
まずは自分の感情を整理し、安全な場所を確保しましょう。
自分や子どものために前向きに進む決断をすることが大切です。
専門家のサポートを受けながら、自分と子どもの未来を守るために最善の方法を見つけていきましょう。