離婚は人生の重大な決断です。
なかなか最適だと思える答えが出せず、躊躇している方も多いのではないでしょうか。
収入がない場合や子どもの親権が欲しい場合、離婚したいと思ってもすぐには踏み出せないものです。
離婚を考え始めたら、準備しておきたいことをまとめました。
自分の心の整理をする
子連れ離婚は、簡単に決断できるものではありません。
自分の気持ちだけでなく、子どもの気持ちも考慮して今後の生活を考える必要があります。
一時的な感情で決めるのではなく、じっくり考えて慎重に判断しましょう。
自分の気持ち
①離婚を考えている理由は何か?
②離婚を決意できない原因や迷っている理由は?
③配偶者の長所と短所は?
④夫婦関係を再構築できる可能性は?そのために自分ができることは?
⑤離婚について、子どもにどのように話す?
離婚後のライフプラン
①当面の生活費はある?具体的な金額は?
②自分の1か月の生活費は?何にいくら必要?
③離婚後のライフプラン
・住む場所
・仕事
④子どもとの生活
・具体的な生活スタイル
・必要な教育費と工面の方法
全ての項目を書いて自分の気持ちをはっきりさせて、生活の見通しが立ちましたか?
それでも離婚を決断するなら、相手との話し合いを進めてみましょう。
事前準備なしで離婚を進めるとどうなる?
いきなり離婚宣告してしまうと、不利な条件で離婚してしまう可能性が高まります。
改めて冷静になって離婚という事実に向き合い、あらかじめ準備しておきましょう。
準備して、話し合いの長期化を防ぐ
離婚の話し合いは、心もお金も時間も削られていく一方です。
可能な限り、話し合いが長引かないように進めましょう。
長期化すればするほど先行きが見えなくなり、多くのマイナスを生む結果となりがちです。
相手の言いなりにならず、話し合いの長期化を防ぐためには、事前準備が必要です。
離婚前に準備すべきこと
離婚は計画的に進める必要があります。
まずは、どうして離婚したいのかを具体的に考えてみましょう。
離婚の理由を明確に
話し合いで離婚が決まれば協議離婚、話し合いが決裂すれば、調停離婚、裁判離婚に進みます。
協議離婚や調停離婚では、離婚の理由を問われることはありませんが、相手が納得できる理由を示さなければ、離婚の合意を得ることは難しいです。
離婚の理由がはっきりしないのなら、もう一度自分の気持ちを見つめ直してみる時間を取ってみましょう。
お金と子どもに関する情報を整理
離婚の際に一番大きな問題となるのは、お金です。
結婚後に夫婦で築いた財産は夫婦で分け合うことになるので、共有の財産を把握しましょう。
子どもの親権を取りたい場合は、子どもの生活環境の準備も大事なポイントです。
養育費や子どもの預け先、進学先について調べておきましょう。
子どもと安定した生活が送れるよう、離婚後の家計をイメージしたり、仕事や住まい探しをしたり、離婚後の生活設計まで立てておくと安心です。
準備すべきチェックリスト
話し合いを有利に進めたり、離婚後に子どもが安心して生活を送れるために以下のチェックリストを確認しておきましょう。
□離婚したい具体的な理由を書き出す
□民法が定める5つの離婚理由(①不貞 ②悪意の遺棄 ③3年以上の生死不明 ④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない ⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由)に当てはまるか確認する
□結婚後に夫婦で築いた財産を全て把握する
□お金について明確な話し合いができるよう、預貯金通帳や源泉徴収票など、共有財産に関する資料を集める
□親権を取りたい場合は、子どもの養育に関わってきた証拠を集める(母子手帳、育児日記など)
□養育費の相場を調べる
□子どもの進学先や預け先をピックアップする
□離婚後に必要な手続きをピックアップする
□別居先を考える
□仕事を探す
離婚後の生活設計の立て方
離婚後の生活に困ることがないよう、収入・支出といったお金の流れを試算して、生活設計を立てておく必要があります。
離婚後の毎月の支出をシミュレーションしてみよう
はじめに、毎月の支出を把握してみましょう。
金額はおおまかでも良いので、食費、住居費、光熱費などの生活費、教育費、保険料などを書き出します。
毎月の支出がなんとなく分かったら、収入を計算します。
子どもがいる場合は、養育費、児童手当、児童扶養手当も収入に含まれます。
収支がマイナスだったら見直しが必要
収入と支出が分かったら、収入の合計から支出の合計額を引きます。
もしマイナスならば、収入を増やすか支出を減らす方法を考えましょう。
職についていない人は、早めに仕事探しをし、仕事をしていても収入が足りない場合は、転職や仕事を増やすことを検討します。
就職や転職を有利にするために、資格取得やパソコンなどのスキルアップに取り組むことも大切です。
支出を減らすためには、住居費や通信費のような毎月ほぼ一定のお金がかかる固定費の見直しから始めます。
お金のシミュレーションをして、生活の目処がついたら相手に別居や離婚を切り出してみましょう。
財産分与の方法 夫婦の家や車、貯金はどうなる?
夫婦で築いた財産は、2分の1ずつ分けるのが基本です。
家や車など現時点での金額がはっきりしないものは、評価額を算出します。
財産となるものをリストアップ
お金の問題を解決する第一歩は、結婚後に夫婦が協力して築き上げた共有財産を把握することです。
夫婦どちらかの名義であっても、結婚後に夫婦が協力して取得した財産であれば、共有財産とみなされます。
まずは財産分与の話し合いに備えて、共有財産をリストアップしましょう。
財産には、現金、預貯金、株式・債券などの有価証券、不動産、自動車、生命保険金、退職金などのプラスの財産と、住宅ローン、借金などのマイナスの財産があります。
どちらも財産分与の計算に組み込まれるため、両方をきちんと把握しておきましょう。
財産を確認できる資料の用意
財産を確認するためには、資料を入手する必要があります。
預貯金なら通帳、生命保険なら保険証書、不動産ならば契約書や権利書です。
年収は会社員なら源泉徴収票、自営業者なら確定申告書の控えなどで確認できます。
不動産や自動車のように、金額がはっきりしないものは、現在の評価額を計算します。
自分で調べることも、専門家に査定を依頼する方法もあります。
また、入手した資料は必ずコピーを取っておきましょう。
離婚を切り出す前に調べよう
年収と財産のチェックは、離婚を考え始めたらすぐに行いましょう。
離婚を切り出したあとでは、相手の通帳などを確認するのが困難になったり、相手名義の財産を把握することが難しくなったりします。
夫婦の収入と財産の調べ方
夫婦の収入や財産は、実際にどのように調べたら良いのでしょうか?
お金で損しないためにも、事前に調べておきましょう。
■会社員の収入
会社が発行する源泉徴収票、市区町村が発行する課税証明書
■自営業者の収入
確定申告書の控え、市区町村が発行する課税証明書
■預貯金
預貯金通帳で、金融機関、支店、口座番号、預貯金残高、満期を確認する。
子ども名義の口座も含めて、家族全員の口座を調べる。
■有価証券(株式・債券)、投資信託
金融機関が発行する年間取引報告書などで、金融機関、支店、口座番号、所有する有価証券の種類、口数などを確認する。
評価額は原則として離婚成立時を基準とする。
非上場株式は、会社の計算書類(貸借対照表、損益計算書)から計算することが多い。
■不動産
契約書、権利書を確認する。
法務局で登記事項証明書を取得しておく。
評価額は、不動産業者に簡易査定をしてもらうか、専門家に鑑定を依頼する。
■自動車
車検証を確認する。
評価額は中古車業者に査定依頼するか、インターネットで調べる。
■生命保険
保険証書で、保険会社、保険の種類、契約者、受取人、保険料、満期、解約返戻金を調べる。
■退職金
すでに支払われた場合は、退職金計算書や通帳で確認する。
まだ支払われていない場合は、雇用契約書や就業規則などで退職金の有無や見込みを調べる。
■年金
「年金分割のための情報提供請求書」を年金事務所に提出して、「年金分割のための情報通知書」を入手する。
特に、協議離婚で3号分割ではなく合意分割を求める場合、公正証書に合意分割の記載をするにあたって「年金分割のための情報通知書」を公証役場から求められますので、早めに年金事務所に対して請求をしておくようにしましょう。
■住宅ローン借金(マイナス事項)
金融機関が発行する残高明細書で確認する。
その他、結婚後に購入した家財道具、美術品なども共有財産に含まれます。
話し合いが必要なものをリストアップしておくと良いでしょう。
まとめ
離婚を決意すると早く離婚したい気持ちが先行してしまいがちですが、一旦冷静になって離婚準備を進めましょう。
準備をしていく中で、配偶者の別の一面が見えてきたり、有利に働く証拠が出てきたりするかもしれません。
気持ちよく新しいスタートを切るために、チェックリストを確認しながら事前準備をしてみてくださいね。